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【書籍化コミカライズ】やんちゃ姫さまの大冒険 うちの第三王女、冒険者になるってよ(web版)  作者: サエトミユウ
7章 姫さま、とうとう封印に向かったってよ

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89/111

第89話 護衛騎士、魔王の眷属に心当たりがある

 すみません!

 89話の内容を88話に入れてしまいました!

 まるっと入れ替えてます……!

 こちらの内容をすでに読まれた方、大変申し訳ございませんでした!

 前話をお読みいただければと思います……!





 森が途切れ、木々どころか草一つ生えていないような場所まで来た。

 この不毛地帯は魔王のせいだろうな。

「姫さま、あの奥のほうの岩場が恐らく魔王のいる辺りではないかと。いけるところまで行きますね」

「わかった。いったん降りたら魔王の封印を調べ――」

 姫さまが、言いかけた言葉を途中で止めて、前方を注視した。

 続いて俺も、何かがいるのがわかり、馬車を止めて、降りた。

 つい、愚痴を漏らしてしまう。

「……あの役人、出ないって言ってなかったか?」

「言ってたな」

 姫さまが俺の言葉を肯定した。


 ――魔王種と、そこから現れた魔王の眷属がいた。


 魔物は、動物を襲わない。

 魔王の眷属も、恐らく馬を襲わないだろう。

 だが、そうは言っても流れ弾に当たったり、またそうじゃなくても馬が脅えると思うので馬車をすぐ止めて、俺と姫さまが魔王の眷属に向かって歩くことにした。


「……嫌な予感がします。姫さま、ありったけの身代わり人形を出してください」

 強敵の予感がする。

 姫さまは、マジックバッグから籠いっぱいの人形を出した。

「馬車にも積んであるから、足りると思う」

「人形の破壊具合を見て、追加で出せるようにもしていてください」

 姫さまがうなずく。


 俺は、姫さまに認識阻害の護符を貼り陰から攻撃するよう伝え、俺自身はわざとわかるように足音を立てて進んだ。

 魔王の眷属は、ボウッと立っていたが、俺を見る。

 ……その、魔王の眷属の顔を見た俺は、一瞬自失した。

「…………は?」

 それは、アニキのパーティにいた、魔術師二人の顔とソックリだった。


「…………嘘だろ?」

 魔王の眷属、魔王種に取り込んだ人間を眷属にするってか!?

 ならヤバい。

 アイツらの魔術はとんでもないんだ。

 俺は、姫さまから離れるように思いきり反対側に走った。

 怒り顔のロランス、泣き顔のサロメ。もう一人はわからんが、たぶんその前後に連れ去られた人間だろう。

 それが合体し、俺に向かって魔術を放つ。

「うわーっ!」

 必死で避けた!

 後ろで大爆発。マジかよ、生前と威力が変わってないんですけど!

 いや死んでるのかどうかわからんが……。

「ロランス! サロメ! 俺だ、アルジャンだ!」

 一応名乗りをあげてみた。

 だが答えない。表情は変わらない。

「……アニキと合流できなくて、ある意味正解だったな」


 アニキは「どうやってでも助ける」と言うだろう。

 だけど俺は、姫さまの護衛として、勇者の生存を第一に考え、コイツらを殺す。

 ……それに……。あの内臓じゃ、恐らく長生きできない。魔王の眷属とは、攫ってきた人間を使い捨ての駒にしているだけだ。

 俺は姫さまに聴こえるように叫ぶ。

「姫さま! 怒り顔と泣き顔は、魔術を混ぜて攻撃してきます! どちらかを落とさないと、かなりヤバいです! ただ、どちらも魔術師なので、スピードはなく、耐久性もないはずです!」

 言い終わると魔王の眷属に向かって走った。

 どっちでもいいが、サロメがいいだろうな。どっちももやしっ子だったが、サロメはロランスよりもやしっ子だ。

 ……と、もう一人の知らない奴に向き直った。

「お前が防御担当か!」

 勇者の剣を叩きつける。

 俺は、最初に戦った魔王の眷属をイメージして、ちょっと削れる程度の防御力だと思っていたのだが……。

「あれ?」

 サクッと切れました! やったね!

「■■■■■■■!」

「耳もとで叫ぶなうるせぇぞ!」

 怒鳴りながら、再度剣を叩き込もうとしたとき。

 ズン、と重くなる。

「な……に?」

 マジか。重力の魔術をかけてきやがった!

 ……得意だったのは……たぶんロランスだな。クソ、油断した!

「アルジャン!」

 姫さまが悲鳴のように声を上げ、魔法銃を撃ち込んだ。

 ロランスを狙った弾だったが、ぐりん、と回転し、サロメに当たってサロメの頭が吹き飛ぶ。

 それを間近で見て、悟った。

 本当にコイツらは魔物になったんだな、って。

 ロランスとサロメは恋人同士だった。それはもう、二人は愛し合っていた。

 だから、いくら敵を倒すためとはいえ、自分が今敵に魔術をかけているからとはいえ、サロメを犠牲にするなんて、俺の知っているロランスでは考えられないのだ。

「く……そ」

 姫さまが慌てたようにこちらに向かってくる。

 いや姫さま、俺の身代わり人形あるんだからそう慌てなくても……。

「…………は?」

 笑い顔が、俺に抱きついた。

 そして、腕の怪我なんてなんのその、俺を持ち上げやがった!

「はい!?」

 そのまま逃走に移る。

「おい、離せこの野郎!」

 キモいからやめて!


「アルジャン! アルジャン! どうにか抜け出せ!」

 姫さまが悲鳴のように俺に訴える。

「……ヒュドラ!」

「シャー!」

 ヒュドラが荷運び担当の腕に嚙みつき、食いちぎり始めた。

 魔王種の近くまで来てようやく食いちぎり、俺を落とす。

 あっぶねー……。怖いわ!

「姫さま! 浄化の玉を!」

「わ、わかった!」

 姫さまがマジックバッグから浄化の玉を取り出そうとすると、魔王の眷属は姫さまにロックオンし、そちらに走り出そうとした。

「待てコラァ!」

 慌ててタックルをかまして捕まえる。そのまま抱え上げ後ろに放り投げようとし……。

「「あ」」

 バランスを崩した俺は、魔王の眷属ともども、魔王種の中に呑み込まれていった。

「アルジャンーーーーッ!」

 姫さまの悲鳴が、微かに聴こえてきた……。




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2024年9月5日 ドラゴンノベルスより発売
やんちゃ姫さまの大冒険 うちの第三王女、冒険者になるってよ


著者: サエトミユウ / イラスト:きんし

― 新着の感想 ―
[一言] 俺ぁ連れ去ったという時点で怪しいと思ってたんだよ
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