コミック1巻発売記念SS はじめてのちゅー
あたしはパシアン姫。姫さまと呼んでいいぞ!
あたしは今、冒険者として旅をしてるんだ。
大好きなアルジャンと一緒に!
……アルジャンには言ってないけど、魔王復活の調査も内密に行っているのだ。
勇者の使命だからな!
もうひとつ、使命がある。
それは……アルジャンとちゅーをするのだ!
アルジャンは初心だから、あたしがちゅーしようとするとすぐ避けるんだ。
ちっちゃいころから隙をみてはちゅーしようとしてんだけど、すぐ避ける。
しゃがんでるアルジャンに忍びより……。
「とぅッ!」
抱きついて、ちゅー……しようとしたら頭をつかまれた。
「危ないから暴れないでくださいよ」
バタバタ手足を振り回したけど、届かない。
すると、いつの間にかアルジャンがあたしを脇に抱えて歩いてく。
「はい姫さま。邪魔……いえ、危険なので馬車の中にいてください」
バンッ!
思いっきりドアを閉めて行っちゃった。
「……おい絵本。アルジャンとちゅーするにはどうすればいいんだ?」
「寝込みを襲え」
絵本にそう言われた。
それで、アルジャンが寝ている隙を狙おうとしてるんだけど、アルジャンは、あたしが近づくと起きちゃう。
「どうかしましたか?」
って言われてそのままずっと起きてる。
アルジャンが寝ずの番をしてるなんて知らなかったから、それからはアルジャンが寝られないようなことはしないと決めた。
「他にはないか?」
「隙を見て襲え」
絵本にそう言われた。
隙かぁ……。
…………。
ないぞ?
ギルドであたしに話しかけてるときにしゃがみこんだので、「今だ!」って思って迫ったけど、説明しながらめっちゃ避けた。
「隙がない。どうすればいいんだ?」
「直接本人に言え」
絵本にそう言われた。
アルジャンと馬車に乗ってるとき、クシャミをしてたから「チャンスだ!」と思って、
「風邪か? 人に移すと治るらしいぞ。さぁ来い!」
って言ったけど、
「するか!」
って言われて流された。
むぅ。
アルジャンは初心なので、しょうがないのだ。
しょうがないのだけど……。
いつか、アルジャンのはじめてのちゅーを、奪ってやるからな!
(終わり)
【お知らせ】
『やんちゃ姫さまの大冒険』コミック1巻発売記念SSでした!
「さぁ来い!」「するか!」がすごく好きだったので、ここをピックアップしました。
原作はアルジャン視点で書かれているため、姫さまが単なる腕白者になってるんですよねー。
実際はこうなのか~と思うと、アルジャンの鈍感っぷりがすごいなと思います。もう少し気付け。




