第八話 類は友を呼ぶのか……
こうして、クロス発案の唐突な
【ステータス閲覧会Part1】が始まった。
先発は
「じゃ、まずは言いだしっぺの俺からか?」
という言葉から、クロスになった。
「俺の構成は見たらわかると思うが、火力特化だぜ!」
プレイヤー名 『クロス』種族『人間』
職業『覇者』レベル1
HP 225/225(165+30%
MP 37/37
STR 265(200+30%)2%
DEF 60(50+20%
INT 0 (0−30%
MIND 55 (55
AGI 265(200+30%)2%
DEX 0 (0−90%
SP 0
職業スキル
覇気
スキル
剣術Level1 STR強化Level1 AGI強化Level1
狂化Level1 格闘術Level1 憤怒
称号
風来人 ユニーク職業 憤怒の大罪 異常者
装備
武器 初心者の大剣
頭 無
腕 無
服 旅の服
靴 旅の靴
アクセサリー 無
覇者……HP、STR、AGIに大補正、DEF中補正、大剣に大補正、魔法系統にマイナス大補正、DEXにマイナス極補正
覇気……レベル以下の敵を怯ませ、確率で恐怖を与える
恐怖状態……体が震えて思うように力が出せなくなる
剣術 剣による行動に補正がかかる
レベル1 スラッシュ
格闘術 格闘による行動に補正がかかる
レベル1 ストレート
STR強化……レベル×2%STRを上げる
AGI強化……レベル×2%AGIを上げる
憤怒……DEFとMINDを足して2倍にした数値を全てSTRに統合する
憤怒の大罪……憤激し、あらゆるものに当たり散らした者に与えられる称号。憤怒を獲得し、SPを50得る
そう言って見せたステータスは、本人の言う通り火力と速度に極振りしたような形になっていた。
えぇ……いや、【憤怒】を獲得していたことにも驚いたけどさ、それ以上に……
「本気で言ってるの?このステータス。
極端すぎるし、器用と知能なんてあって無いようなものじゃん!」
僕が見たままの欠点を言うと
「わぁ……見事までの火力特化だね。このステなら雑に殴るだけで強いし。それにこのマイナス補正は一周回って笑えてくるほど酷い」
ルナがフォローになってないフォローをする
え、新手の冗談とかじゃないよね
だってこれ脳筋だよ?
え、理想的なまでの脳筋プレイだよ?
走って殴って終わりの脳筋だよ?
いやまぁ……クロスの性格的に分かっていたことだけどさ、もう少し……こう、何があるじゃん?
防御に少し振って置くとかさ……
攻撃役には少しでも生存確率を上げて欲しいというか……何というか
分かってくれる?
「おう!マジだぜ!」
そう迷いなく言われてもね
まぁ、苦労するのは僕じゃないからいいんだけど
そう。
苦労するのは殆どの攻撃は避けるプレイヤースキル必須のステータスを駆使するクロスなのだ。
え、支援?何それ美味しいの?
え?【怠惰】を持っている僕がやる?
チョットナニイッテルカワカラナイ
っと、そうだ。これだけは聞いておくか
「いや、色々おかしいけどさぁ……百歩、1万歩譲ってステータスについては理解した。そういう構築もあるよね。
それはそれとして、憤怒って何があったの?」
クロスは理由もなく激怒することはない
(大抵の人もそうだけどね)
と思って聞いてみるとクロスは不愉快なことを思い出したのか、眉をひそめて静かに怒りが再燃し始めた
そんなに酷かったのか……
「聞いてくれよ!俺の担当が酷かったんだ。
種族設定のところでは手が滑りましたとか言って強制的に人間にしてくるし、選んでもねぇランダムを勝手に設定しておきながら『やり直しは効きません♪』とか吐かすし!ステータスの振り分けが終わったと思ったら『あっ、間違えました♡』ってリセットしてくるし、チュートリアルでは戦おうとしたら『えっ、本当にこんなかわいいスラムさんを倒すんですか!?人の心は無いんですかぁ?』って何度も妨害を噛ましてくるし!散々だったんだよ」
……それは誰だってキレるね
本当にそんなことするAIあるの?
………あったんだろうなぁ
じゃないと普段あまり怒らない(っと、勝手に判定している)クロスがこんなに怒る筈ないし…
うん。
僕らにはどうにも出来ないし、運営が無事に対処してくれることを祈るしかないね!
クロスは気の毒だけど、僕の担当じゃなくて良かった
クロスのステータスについてはここで一度切り上げ、次はルナが開示する
「最初から濃いね……私はこんな感じだよ。クロスと違って一般的だね」
プレイヤー名 『ルナ』 種族『邪人』
職業『魔導書使い』レベル1
HP 10/10(0
MP 142/142
STR 0(−20%
DEF 0(0−20%
INT 234(150+30%+20%
MIND 30(30
AGI 50(50
DEX 28(25+10%
SP 0
職業スキル
魔導書化
スキル
魔化Level1 土魔法Level1 火魔法Level1
風魔法Level1 水魔法Level1 嫉妬
称号
風来人 異常者
嫉妬の大罪
装備
武器 初心者の杖
頭 無
腕 無
服 旅のローブ
靴 旅の靴
アクセサリー
邪人……INT、MPにプラス大補正。STR、DEFにマイナス補正
魔導書使い……INT、DEXにプラス補正。
魔導書化……保有する魔法を本にMPを使用して封じ込める。封じた魔法は使い捨てでMP消費無しで発動可能
火魔法……火属性の魔法を使用可能になる
水魔法……水属性の魔法を使用可能になる
風魔法……風属性の魔法を使用可能になる
土魔法……土属性の魔法を使用可能になる
嫉妬……所持していない確認済みのスキルを一つ使用できる
嫉妬の大罪……何かに嫉妬し、傷けた者に与えられる称号。嫉妬を獲得し、SPを50得る
と、自称普通が申しております
ふぅ……取り敢えず、これだけは言いたい
「「普通ではないな(ね」」
「えぇ?そうかな」
あ、ハモった
それは置いといて、ルナにも聞きたいことが色々できたよ……
「一応、想像はついているけど、コンセプトは?」
「魔導書と魔法が使いたかったから……魔法特化だよ」
わぁ、これじゃクロスのことを言えないね。
魔法使いだからって、少しは防御や攻撃にも振っていいだろうに……
杖で殴るサブプランが成り立たなくなるじゃないか!
まぁ、いいや
ルナにもルナなりの考えがあるのだろう
クロスと同じで
でも、
「それじゃあクロスと何も変わらないよ?」
これだけは言っておく
ルナに何か訂正して欲しいことがあればクロスを引き合いにするといい。そうすれば少しは真面目に考えてくれる
……馬鹿(僕らの中で)と同じにはなりたくないのかな
「うぅ……クロスも一緒だけは嫌だなぁ……」
「ちょっとまて、君らの俺についての共通認識について少し語り合いたいのだが、どうだろう?」
「そんなことより」
「そんなことより!?」
えぇい、煩いなぁ
話が進まないじゃん
クロスは少し黙っててよ
「嫉妬はどうしたの?」
そう。気になるのは【嫉妬】だ。
まさかAIに嫉妬するような娘じゃないからなぜ獲得出来るのかが全く分からない。
動機が分からない嫉妬ほど怖いものはないからね
獲得条件に「傷つける」ってあるし
そんな僕の質問に対する回答は……
「……秘密」
えぇ……。
まぁ、無理して吐かせようなんて考えてないし、ある分には使えるから別にいいけどさ
はぁ
ステータスに関して考えることは皆一緒か
流石に一つだけに極振りするような間抜けがいなくてよかったけど
と、考えていると不意にクロスが
「……カゲロウはどうなんだよ」
と、(お前もどうせ同じだろ……?)という顔で聞いてきた。
失礼だな。何を今更
「僕こそ普通だよ」
プレイヤー名 『カゲロウ』種族『天悪』
職業『道化師』レベル0
HP 14/14
MP 180/180
STR 14 (20−30% )
DEF 14 (20−30%)
INT 240 (200+20% )
MIND 120 (100+20%)
AGI 14 (20-30%)
DEX 168 (140+20%)
SP
種族スキル
悪天反転
スキル
支援魔法Level1 鎌術Level1 魔化Level1
闇魔法Level1 光魔法Level1 隷属Level1
怠惰 睡眠
称号
風来人 ユニーク種族 怠惰の大罪
狂気の申し子 異常者
装備
武器 初心者の鎌
頭 無
腕 無
服 旅の服
靴 旅の靴
アクセサリー 無
「カゲロウ、お前だよな?散々言ってきたの」
「僕じゃないよ。君たちが勝手に自爆したんだよ?それに、誰だってこんなスキルを渡されたら全て均等か、集中型かになるでしょ?」
まぁ、少し、反転させるステータスにズレを生じさせることで相手にダメージ量を錯覚させることができるけど、それよりかはこの構築をした方がいい気がする。
急激に変化しすぎる速度に対応できなくなるかも知れないけどね
そもそもの話、【悪天反転】は結構ピーキーなスキルだから、十全に扱うとなるとステータスに大きな変革を齎さねばならない。
だからこうして使っている
腐らせるのは勿体無いから
といった理由でこのようなステータスにしているにも関わらず、君たちと同類みたいに言って……もういいや
同類扱いに対して首を振って嘆いていると
「私からみても割といかれてるよ?特に怠惰と
天悪が絡み合いすぎて狙ったのかとしか思えないね」
と言ってきた。
そう言われても、
「怠惰は偶然なんだよね。暇だったから寝てただけなのに……」
「あぁ……カゲロウは起こさない限り起きないからな」
「ね、少し揺すっただけでも起きるのに……何時間でも寝続けるし」
好き勝手いって…
「そう言われてもそういう体質だからね?僕に言われてもどうしようもないよ」
そうして、お互いを褒めているのか、貶しているのかわからないステータス共有が終わった
この時間帯に投稿することに慣れてしまっている自分が怖い
次こそ修正したいなぁ…
今回はそれなりに分量があったけれど、次回が少なめだからそこで勝手に釣り合いを取っているよ