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第四話 チュートリアルで死んだらどうなるの?




種族、スキル、職業、ステータス、設定が確定し、キャラクリエイトは終わりとなった。


無機質ながらも祝福するような声が聞こえる

『これにて、すべての工程が終わりました。カゲロウ様、お疲れ様です』



いやぁ……楽しかったな

キャラクリエイト一つをとってもこれだけ楽しめるのなら、このセカイはもっと面白い。

そう思わせてくれるような時間だったな


出来ることなら、別パターンを試してみたいという気持ちもあるけど………まぁ、それは別にいいや



それにしても、この服着心地がいいね

現実でも着ていたいくらいだよ

実際、僕に服のセンスは無いからね

常に気に入った服だけを適当に選んできているのさ

あとはジャージだね

汚れを気にしなくて済む



って、関係ないか



気を取り直して

「で、今日はこれで終わり?」

『はい。サービス開始は明日ですので。とはいえ、戦闘のチュートリアルだけ先に受けることご可能です』



あぁ、戦闘の体験だけはできるのか


それにしても、チュートリアルか……

ふふっ

ついにあの検証ができそうだなぁ


おっと、いけない

一応悟られないようにしないと


読心ができるような機能があるとは思えないけど念を入れるに越したことはないからね



そう思いつつ、『名称不明』に受諾の意を伝える

「うん。どうせもどっても暇なだけだし、受けるよ」

『分かりました。では始めましょうか『スライム召喚』』


魔法らしきものを唱えたかと思えば、真っ白の地面に魔法陣が浮かび上がり、その中心部分から見るからに弱そうなスライムが現れた。



おぉ!スライムだ

それも不定形のグロくないやつ


そういえば、何で、流動体何だろう


う〜ん、これくらいなら答えてくれるでしょ

じゃあ聞いてみようか


「スライムが流動体なのはなにか理由でもあるの?」

『……女性プレイヤーからのクレームです』

「あっ(察し)」


うん、まぁ……そういうこともあるよね

この件については深く触れないでおこう

パンドラの箱を開きそうだ


『それはおいてといて、早く倒しちゃってください』

急かされた



え〜?

勿体ないなぁ

折角のチュートリアルなんだからさ

もっと遊んでからでいいじゃん


その不満が少し顔に出たのか

『スライムは物理攻撃しかしないので何も不安視する必要はないですよ』

と言われた。


不安じゃなくて不満だけどね

そこは訂正しなければ。

スライム相手に添え思われるのは心外だ


「別に不安に思ってるんじゃないよ。ただ、勿体ないなぁって思っただけ」

『勿体ない…ですか?』

僕の回答に疑問を抱いたのか、聞き返してくる

チュートリアル中だけど……ま、これくらいいいよね


「うん。折角の初戦闘なんだからさ。焦る必要はないよね」

『それは、そうですが……』



声色から困惑しているね

あの無機質な音声からここまで人間味が出ると面白い


まぁ、出なくてもそれはそれでいいんだけどね


うん、計画は順調だ


え?何の計画だって?

いや、読心されたくないから言わないよ


いや、もう作動するからいいじゃん?

あとはタイミングを見計らって……


よし、今ならっ!


「それに面倒くさくなっちゃった。もう寝るね

『悪天反転』」

『………って、寝ないでください!はぁ、遅かったですね。どうしましょうスライムさん』


急に全てに飽きたかのように寝始めたプレイヤーに呆れて、敵キャラとして出したはずのスライムに呼びかける


が、その声が聞こえているのかどうか、それはスライムにしかわからない


ただ、カゲロウが起きるまでスライムは健気にカゲロウに対して体当たりを繰り返していたとさ



6時間後


『起きないですね』

もしかしたら、昨日寝てなかったのだろうか?

そう思うと、あまり起こす気になれない

『もう少し待ってみますか』



12時間後


一向に起きる気配がない

『……他の人のところに行きましょうか』


ここにいても無駄だと判断し、別のプレイヤーの相手をしに行く。


この判断が出来ることが、このゲームのAIの優秀さを物語っている……はず


36時間後

数十人と相手にし、流石に起きてるだろうと戻ってきてみると、まだ寝ていた

ここまでくれば、いかにAIと言えとも、流石に怒る


『いい加減にしてください!!』


怒鳴り声が響いたのか、カゲロウは一瞬で起きた


寝ぼけ眼を擦りながら、文句を垂れる


「ん、煩いなぁ。今何時だと思ってるの?」

『寝すぎなんですよ!スライムさんが可愛そうじゃないですかぁ!』

正論であったが、それで通じるような軟弱者はそもそもこの場で寝ないだろう


案の定

「えっ、あぁ、そういえばチュートリアルの最中だったね」

衝撃の一言に、動揺が止まらない


『えっ、忘れ…て……たん…ですか?』

「うん」

『……もういいです』


この男にまともな感性を期待してはいけない。そう思った瞬間なのであった。




んん?

何故か分からないけど怒らせたみたいだ


大分に寝たが、頭の中はスッキリしている

無駄に容量のいい脳みそに感謝だ


そうしみじみ思っていると


『スキル『睡眠』を獲得しました。

称号【怠惰の大罪】を獲得しました。スキル『怠惰』を獲得しました』


あっ、なんかゲットした


睡眠……レベルが上がるほど睡眠の質が向上し、すぐに寝落ちできる。相手に睡眠の状態異常をかけるとき、状態異常にかかる確率を大幅に上げる


怠惰……バフデバフの威力が増大する


怠惰の大罪……攻撃されながらでも、丸一日動かなかった者に与えられる。【怠惰】を獲得し、SPを50プラスする



凄い称号だ……!

ただ寝てただけなのに……!

でも、ステータスは上がったけど、スキルは今のところ宝の持ち腐れかな


早く支援系スキルを身につけたいな

確か種族の補正にもあったはずだし



と、そろそろスライムが鬱陶しいかな


「構ってやれなくてごめんね。もう少しだけ待ってて」


まだまだ僕の実験に付き合ってもらうよ


さてさて、初心者用の鎌は何処かなっと

あぁ、あったあった


おぉ!現実では鎌に触ったことなんてあんまり無いけど、この握り心地はいいね


僕が試したいこと、それはチュートリアルで死ぬこと


いや、普通に考えたら死ぬことなんてできないんだけどさぁ


ここまでリアルに再現しているなら、もしかしたら出来るんじゃないかな?


それに、出来ないって言われたらやりたくなるよね

こう……真っ向から否定したい感じ


まずは準備しよう


多分こんな感じで首に突きつけて…

いや、引っ掛けるようにしたほうがいいかな

スパッと切り飛ばしたいよね!



よし、

今の僕は攻撃力の方が高いから一撃で死ねるはずだよ

HPが足りなくても、リアル準拠の状態で首を斬って死なないわけがないよね


懸念事項はかなり……それこそ死ぬ程痛いことだけど、それに慣れればあっちに行っても苦労しなくなるでしょ


ということでまずはやってみよう


えー、声が呆然としていることを確認して、

そうだ、スキルも使おうか

これで確実性が増すだろう


レッツチャレンジ!


「『スラッシュ』」


そうして僕は自らの首を刎ねた

最後に見た景色は眼の前が真っ赤になってて分からなかったな


これがやりたかったよね


にしてもやっぱり、デュ○マのゼニスは最高だ……!

デュエ○レもいいけど、紙でも欲しいね

関係無いけど

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