12話
拓哉は脱ぎ捨てられたユリの下着を拾い、部屋の色に合わせた黒の丸いテーブルの上に置いた。
「ごめん。ありがとう」
「凄い下着だよね。パンツなんてほぼ紐じゃん」
「勝負下着よ。何かあった時の為にね。赤の下着とか普段付けないし」
「勝負? まさか、こうなる事を望んでた?」
「そういう事には答えません」
「ずるいよ」
「ずるくない! そっちだってSMの件答えてないじゃない」
くだらない話しで笑い合える時間──瑠璃には感謝しかないが、16歳である事が何処かでブレーキをかけていた。『やる事やってんじゃん』と100人いれば100人中思うだろうが──。
「それとね……」
「また変な質問?」
「違うの。あの刑事が変なおっさんの写真を見せてきたのよ」
「おっさん?」
「うん。見た事ない人だったから知らないって答えたわ」
「その人が事件に絡んでるって事かな?」
「分からないけど、浮浪者のような感じだったわ」
浮浪者と瑠璃の関係性──全く分からないが、意味のない事を警察が調べるとは思えない。何か繋がりがあるからこそ調べるはずだが、瑠璃が訳の分からない浮浪者と接点があるとは到底思えない。
「この人、何か関係あるんです?って聞いたの」
「それで?」
「捜査の事は教えられないって言われたわ。ほんと腹が立って」
警察とはそういうもんだ。こちらからは根掘り葉掘り聞くが、いざ知りたい情報は一切答えない──。
「何故、ユリのところに聴取しに行ったのか謎だな」
「近いうちに来るわよ。何か知ってる感じだったから」
上田カイリの事は瑠璃は知っている。その気になれば連絡先なども容易く手に入るだろう。うちのバイク便をしょっちゅう使っていた訳だし、電話番号、メッセージ、メールアドレス、下手したらSNSも知っていてもおかしくはない。だが、浮浪者だけは本当に違和感がある。何故、警察はその写真をユリに見せたのか、仮にその写真を見せられても全く分からない自信があった。
「あと、お母さん明日来るのよね? 私も行こうか?」
「何で?」
「いや、挨拶しようかなって」




