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八六 魂の行方 2/8
土淵の一番大きな村の中心で役場や小学校(高等小学校、現在の小学5年生〜中学2年生の範囲です)などのあるところを本宿と言います。
ここに豆腐屋を稼業とする政という36,7歳の男がいました。
この人の父が大病で死ぬ時に、この村から小烏瀬川の向こう側の下栃内に普請(土木工事や建築)があって、地固めの堂突(現在の胴突だと思われます。地面を突いて固めたり杭を打ったり、またはそれに使う道具の事です)をする所へ、夕方に政さんの父親が一人で来て人々に挨拶し、
「俺も堂突をしなければな」
と言って仲間に入って仕事をしました。
政さんのお父さんは暗くなってからみんなと共に帰りました。
後で人々は
「あの人は大病を患っておられるはずなのに」
と少し不思議に思いましたが、後に聞けば政さんのお父さんはその日に亡くなられたとの事でした。
人々がお悔やみ申しあげに行ったときにその日の事を語りましたが、その時刻は政さんのお父さんが息を引き取った頃でした。




