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八ニ まぼろし 5/5
これは田尻丸吉という人が遭遇した事象です
彼が少年だったある夜に常居(家族がいつもいる部屋。リビングです)からお手洗いに行こうとして茶の間に入ると、お座敷との間に人が立っていました。
幽かに茫としていましたが、衣服の縞も目鼻もよく見え、髪は垂れていました。
恐ろしかったですがそこへ手を伸ばして探ると、板戸に突き当たりました。
戸の棧(窓や戸の片側に出ている木の板。花瓶や小物が置かれているところです)にも触りました。
しかし彼の手は見えずして、その上に影のように重なった人の形がありました。
その顔の所へ手をやれば、また手の上に顔を見ました。
彼が常居に帰ってみんなに話し、行灯を持っていくと、そこにはすでに何もありませんでした。
丸吉さんは近代的で怜悧(頭が良く、りこうなこと)な人です。また虚言をする人でもありません。
2021年7月16日現在、遠野市議会の議員に田尻という名字の人はおられません。




