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七五 山女 5/5
離森(白見山の山の峰続きなので、おそらく遠野の東北端周辺。詳細な位置は不明です)の長者屋敷にはここ数年前(明治)まで燐寸の軸木の工場の小屋がありました。
その小屋の戸口に夜になると人に伺いゲタゲタと笑う女がいて、シラけてしまうので、ついに工場を山口に移しました。
その後、離森の山中に枕木(電車のレールの下に敷く木です)を伐り出すために小屋を利用した者がいましたが、夕方になると人夫がどこかへ迷いこみ、帰ってきても茫然としていることがしばしばありました。
人夫が4,5人もどこかへ出ていくこともありました。
この者たちが帰ってきたから話を聴くと、女が来てどこかえ連れ出すと言います。
帰ってからは2,3日もものを言えなくなってしまうといいます。




