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四五及び四六 猿の経立 1/2及び2/2
猿の経立は人によく似ていて、女性を好み郷の婦人を攫うことが多いです。
松脂を毛に塗ってその上に砂を付けているので、毛皮は鎧のようで鉄砲の弾も通りません。
栃内(土淵、遠野の町から北東に少し離れた所に広がる広い土地)の林崎に住むある男は、今(明治)は50歳近い(当時としては十分な高齢で、孫がいてもおかしくありません)です。
10年と少し昔の話です。
六角牛山(栃内から見ると南の方向)に鹿を撃ちに行き、オキ(鹿笛、猟師が鹿をおびき出すために吹く笛)を吹いていると、これを本物の鹿と思ってか、猿の経立が地竹を分けながら、大きな口を開け山の方から下ってきました。
男が驚いて増えを吹くのを辞めると、谷の方へ走り去って行きました。




