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ニニ 魂の行方 1/7
佐々木さん(ザシキワラシのハッピーエンドの方です。この話で続柄で表される登場人物はすべて佐々木さんの基準です)の曾祖母が年をとって亡くなられたとき、棺にご遺体を納めて親族の者が集まり、その夜は全員お座敷で眠りました。
曾祖母の娘で、心をおかしくして縁切りさせられた婦人もまたその中にいました。
お葬式までは火の気を絶やしてはならないという風習で、祖母と母の2人だけは大きな囲炉裏の両側に座り、母は傍らに炭を入れた籠を置いて、ときどき々炭を足していると、ふと入口の方から足音がしてくるので、見れば亡くなった老女でした。
普段は腰をかがめて着物の裾を引きずっているのを、三角に折って前に縫い付けていて、母の前を通り過ぎ、(着物の)縞目にも見覚えがありました。
驚く間もなく囲炉裏の脇を通ると、裾で炭取り(炭を入れておく容器、炭斗とも)に触ると、丸い炭取りをくるくると回転させました。
母は気丈な人だったので振り返り老女を見ると、親族の人達の寝ている座敷に近づきました。すると、かの心をおかしくした婦人が、けたたましく
「おばあさんがきた!」
と叫びました。
他の人達も目を覚まし、ただ驚くばかりでした。
マーテルリンク(ベルギーの詩人)の『侵入者』を思い起こすそうです。




