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ニ一 昔の人 4/7

 前に書いた孫左衛門という人は村では珍しい名字をしてして、常に京都から和漢(日本と中国)の本を取り寄せて読みふけっていました。控えめに変人です。


 彼は狐と仲良くなって家を富ます術を教えてもらおうと思い立ち、まず家の庭にお稲荷様の祠を建て、自ら京都に登って正一位の神階(この正一位は功労者に贈られる位階ではなく、お稲荷様の本社(つまり伏見稲荷神社)の分霊を祀っているということです。それでも相当な苦労です)を受けて帰り、それからは1日1枚の油揚げを欠かすことなく、手ずから祠の前に供えて拝み、ついには野生の狐が彼に近づいても逃げなくなりました。その狐の首を抑えたり(じゃれています)したと言います。


 村にある薬師(薬師如来様を祀る寺院です)の堂守は、

「私の所の仏様はなにも供えていないが、孫左衛門の所よりはご利益りやくがあります」

 とたびたび笑いの種にしました。

努力の方向性を60度ぐらい間違えていますね

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