王は修行中だ
はぁ、はぁ、し、死にそうだ。
自分を褒めたくなる。こんな地獄の訓練を9年も続けているのだから。
というか六年前の俺完全にバカじゃん。
何かっこつけて「望むところです」なんて言ってんの?
ありえないわ。
ふぅ。素振り千回完了。やっぱきついなぁ。
この後は走り込みか。
腹筋、背筋、腕立て伏せ、素振りを千回に走り込み20キロなんてどんな冗談だよ。
その上これを5セット。
しかもそのあと剣術指導。
まあ、週に2回剣術指導だけの日はあるけど。
にしても冗談にしか聞こえない。
こんな反論すらも無駄に思えてくるよ全く。
ためにはなるけど・・・俺何でこんな決断したんだろ?
9年前俺はレウスの親父さんに《《本格》》入門した。
今なら認める。ちょっと軽率だった。ちょっと調子に乗ってた。
あの時の親父さんとの会話で俺は親父さんの本格的な弟子になった。
そう、本格だ。
普通とは違う。
ちなみにレウスは普通の弟子である。
普通の弟子は腹筋、背筋、腕立て伏せ、素振りを100回で走り込み10キロである。
これを5セット。
まあ、ちょおっと厳しい師匠さんだねレベルだ。
そして俺のほうは、え?冗談だよね?そんな鍛え方って鬼じゃない?え?マジなの?レベルだ。
どうだ?!違いが判るだろ?
まあでも感謝する部分もあるにはある。
一つは自分じゃ絶対こんなことしない。
二つは剣の教え方が超うまい。これに関しては王家の筆頭剣術顧問にも匹敵する。
三つは親父さんも魔法剣士だったということで魔法を交えた実践的訓練ができる。
この三点だ。
くう、やっと5セット終了だ。
これからは、剣術指導。
「おいおい、どうした?剣筋がヘナっとしてるぞ。もっと鋭く。こんなんじゃ中型にも負けちまうぞ?戦いじゃこんなに疲れることもある。それも受け入れろ。」
く、かはぁぁぁぁぁぁ。
や、ヤバイ。体をいたわらねえと。
いや、そんなこと言ってられねえか。
「よし、今日はこれで終了だ。そしてっ」
「そして?」
「お前は一か月後にはもうここからいなくなる。」
「え?」
え?何?師匠に殺されるの?それとも人格改造?
なに?何するつもり?
「し、師匠。俺死んじゃうんですか?」
すると師匠は「何言ってんだこいつ?」みたいな顔をした。
「あれ、お前聞いてない?来月に王都の学院を受けること?」
「何それ初耳ですよ?!」
王都の学院?!うれしいし楽しみになったがそんな金はどこにあるのだろう?
「師匠、そんな金はどこに?」
そういうと師匠は笑った。
「金があると?あるわけねえじゃん。何言ってんだよ。特待生入学だよ。」
「特待生入学?」
何じゃそら。知りえない情報だな。
「ああ。おい前が受けるのは王都随一の学院ヘネースタシア学院。そこは昔から特待生制を敷いててな、一定の成績を収めれば学院にかかわるすべての費用を学院が負担してくれる。そんな夢のような制度だ。」
マジでかっ!こりゃあいいぞ。風が向いてきた。
ヘネースタシア学院といや超名門。書物でもしょっちゅう目にする名前。
曰く、英雄になりたきゃここに入れって話だ。
「でも筆記試験はどうするんですか?」
「そんなもん要らん。お前のやるべきことは試験官をぶっ飛ばすことだ。」
「ぶっ飛ばす?」
ついに壊れたのかこの師匠?
「ああ。試験官をぶっ飛ばせばもっと強い奴が出てくる。それもぶっ飛ばせばもっともっと強い奴が出てくる。そいつらをぶっ飛ばせ。そうすりゃ入学できる。実証済みだ。」
おい!この人今飛んでも発言したぞ?!危険だ。変態だ。変人だ。
「マジですか?」
「ああ。大まじめだ。まあ、筆記もまあできなきゃなんねえからこっからの一か月はレウスセット一回でいいぞ。」
よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ。。
これで地獄から解放される。
そして、勉強頑張ってやる。
何としてもここへ戻ってくるのは嫌だからな。




