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「メイド……………………決定」


 ラビの生い立ち話に沈黙が包まれる中イノリお姉ちゃんの一言が部屋に響く。

 それに反応してイロハさんも動き出す。


「私も異論はありません」


そう言うとイロハさんはラビに近寄り頭を撫でる。


「な、なんで頭を撫でるの?」

「申し訳ありません。身体が自然とこうしたくなりました」


そう言いながらも撫でるのをやめない。

ラビはくすぐったそうに口角をあげる。


「くすぐったいんだよ」

「そうですか。我慢してください」


慈愛の目で見つめながら抱きしめる。

しばらく続きそうだな。


「イロハさんの意外な一面だ……」

「アリス……………………こっちに」


イノリお姉ちゃんが俺を手招きする。

なので俺もイノリお姉ちゃんに近寄る。


「なんですかイノリお姉ちゃん?」


俺がそう訊ねると抱きしめられる。

えっ! な、なんで!?


「い、イノリお姉ちゃん!?」


「アリス…………………頑張った」

「『はずれ』の犯人……………………ちゃんと見つけた」

「だから……………………こうしたい」


子供のように頭を撫でられる。

これではまるでラビと一緒じゃないか。

けど……嫌じゃない。

むしろ俺、この感触が好きだ。

冷たく熱のこもっていない手のひら。

だけどもの凄く温かく感じる。

まずいな、このままだと…泣いてしまいそうだ……。

俺は涙をこらえる。

ラビだって泣いてすらいないんだ。

ここで泣いたら恥ずかしい。


「イノリお姉ちゃん! それぐらいで!」

「もう少し…………………」


初めてお屋敷に来た時のように困惑する。

誰かこの状況を打ち破ってくれ!

そう思っているとノックの音が聞こえる。


「失礼しま………失礼しました」

「なになにー! すごい光景だねー!」


クロハさんとシロハさんが部屋に入ってくる。

二人からはどう映っているのだろう。

俺予想では、少女二人組が大人組に抱き着かれて襲われている図だと思うんだけど。


「クロハお姉ちゃんー! こうなったら私達も抱きしめ合うー?」

「冗談を言ってる場合ですか!」


クロハさんの鉄拳がシロハさんの頭にズドン!

相変わらず痛そうだ。


「痛いよー!」

「変なことを言うからです!」


そんな二人のやりとりを見てか、イロハさんは咳払いをしてからラビを放した。


「二人ともお嬢様方の前ですよ。大人しくしてなさい」

「そう言うイロハお姉ちゃんだってー!」

「シロハ? 何か言ったかしら?」

「い、いえー! 何も言ってませんー!」


イロハさんがシロハさんを微笑みながら黙らせる。

こ、怖い! クロハさんの拳骨よりも怖いものを感じる。


「ご主人様! ラビが今お助けするんだよ!」


イロハさんから解放されたことを良いことにラビは俺の方へダイブ。

イノリお姉ちゃん諸ともベットの上に倒れる。


「い、たた」

「痛い……………………」

「大丈夫? ご主人様」


川の字で3人ともベットの上で並ぶようになってしまった。

左がイノリお姉ちゃん、真ん中俺、右にラビ。

それに気づいてか二人は俺の腕を取り引っ張り始める。


「ご主人様は嫌がってるんだよ!」

「アリスは……………………私の」

「助けてください! クロハさん! シロハさん! イロハさん!」


誰でもいい、この状況をどうにかしてくれ!

メイド三人組に呼びかけてやっと救出してもらえる。


「イノリお嬢様お戯れもそのぐらいにしてください」

「ラビちゃんもアリスお嬢様が嫌がってるよー!」

「アリスお嬢様! 大丈夫ですか!」


イロハさんがイノリお姉ちゃんを止め。

シロハさんがラビを引きはがす。

クロハさんが俺を救出。

中々のコンビネーションだ。無事助かった。


「次は…………………負けない」

「私もなんだよ!」

「次があるんですか!」


正直勘弁して欲しい。痛いけど気持ちいいし複雑だ。

主張の少ないとはいえ立派に色々と柔らかいのだから理性が吹っ飛ぶ。

そのうち狼になりかねん。……自重しなければ。


「お嬢様方、そろそろ食事にしましょう」

「そうだねー! シロハも遺跡でたくさん走ったからお腹空いたよー!」

「すぐ準備いたしますね」


クロハさんは一足早く部屋を出ていく。

言われて初めて腹の減りを自覚する。

俺もお腹がすいた。


「ご飯! ラビも食べたいんだよ!」

「用意できますか? イロハさん」


一人だけ食べれないのは可哀そうだ。

いちお聞いてみる。駄目だったら俺の分を半分わけよう。


「問題ありません。シロハの分を減らしますので」

「そんなー!」


がっかりしつつも決してラビを責めたりしない。

変わりにお屋敷の主であるイノリお姉ちゃんに目で懇願する。


「シロハ……………………食べすぎ」

「駄目だったー!」


仕方ないなー。と渋々諦める。

まあ、普段みんなの5倍以上食べてるし、大丈夫だろう。

自分の分を半分に減らさずに済んでほっとする。


「とりあえず移動しましょうか」

「そうですね。私もお腹がすきました」

「ラビもご主人様と一緒でお腹がすいたんだよ!」

「お腹……………………ペコペコ」

「シロハもペコペコー!」


こうして俺たちはイノリお姉ちゃんの部屋を後にしてダイニングルームに移動した。


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