8 雪路《ゆきじ》が食《た》べたのはなんの肉《にく》?
店に帰ると、父さんはキッチンで仕込み中だった。
母さんが、ラップでぐるぐるまきにされたものを持ってきた。
「おはようマコト。見てこれ。昨日友だちに電話したら、キジ肉を持ってきてくれたの」
「キジって、桃太郎のおともの?」
「そうそう!」
「へぇー。早く開けてよ母さん!」
「もー。そうせかさないの!」
母さんは、一枚ずつていねいにラップをはがしていく。
出てきたお肉は、スーパーで売っているニワトリの肉ににている。
赤みのつよいピンク色。かたちもほとんどニワトリの肉とかわりない。
「……これがキジ? なんか、そうぞうとちがう」
「はっはっはっ。そりゃあ、ニワトリもキジもトリにはちがいないからな。もしかしてマコトはマンガにでてくるようなキバツな肉を期待してたか?」
父さんがからかってくる。
「そ、そんなことないよ。雪路、待っててね。すぐにカレー作るから」
「おお、わしのカレー!」
雪路はとびはねて、シッポをぶんぶんふりまわす。なんだかご近所のワンコみたい。
昨日と同じベースを作ってしたごしらえしたキジ肉をいためてにこんで、キジカレーの完成!
「さあ、できたよ雪路! こんどこそ、思い出のカレーでしょ!」
「まちかねたぞ!」
トンとお皿をおくと、雪路はガツガツ食べはじめる。
こめつぶひとつのこさず食べきってからひとこと。
「うーむ。ちがう。これでもない」
「ぇええええ! キジでもないの!?」
キジもハズレ。
ニワトリに味がにてるって言ったからキジを用意したのに。
いったいぜんたい、雪路はなんのカレーを食べたの??
「うーん。ネットでわかることにも限度があるよなぁ……………。あ! 私、市立図書館に行ってみる! ネットにのらないようなことものってるかもしれないし」
「それがいいわね。わたしたちは店をひらかといけないから、マコト行ってきなさい」
「わかったわ!」
わからないまんまだとこっちもモヤモヤするし、こうなったら何がなんでも、なぞのカレーの正体をつきとめてやるわ!




