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くさなぎときつねの思い出ごはん。  作者: ちはやれいめい
ざしきわらしの章《しょう》
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29/30

27 今日(きょう)もくさなぎにふしぎなお客(きゃく)さんがやってくる

 朝(あさ)おきたら、雪路(ゆきじ)のシッポがアイマスクになっていた。


「ちょっと、雪路(ゆきじ)!」

「むにゃむにゃ……なんだマコト、カレーのおかわりか?」

「ねぼけないでよ!」


 小町(こまち)にいたっては、たいそうぎぶくろに頭(あたま)をつっこんでねていた。

 

 昨日(きのう)洗(せん)たくしてもらったのに、たいそうぎが毛(け)だらけだ。

 まったくもう。


「マコト、あんまりゆっくりしてるとチコクするわよ。はやくごはん食(た)べちゃいなさい」

「はーい。ユカリちゃん、おはよ。朝(あさ)ごはんだよ」

「うん……おねえちゃん、おはよう」


 ユカリちゃんが目(め)をこすりながら起(お)きる。

 うちでの生活(せいかつ)にすっかりなれて、私(わたし)たちといっしょにごはんを食(た)べる。


「いっしょにごはん、たのしいね、おねえちゃん」

「そうだね。いっしょだとたのしい」


 ごはんを食(た)べたらいそいでカバンをせおってくつをつっかける。


「おねーちゃん、いってらっしゃい」

「いってらっしゃい、マコト」

「より道(みち)せずに帰(かえ)るんだぞ」

「うん。いってきまーす!」


 みんなに手(て)をふって学校(がっこう)へ急(いそ)ぐ。



 夕方(ゆうがた)、学校(がっこう)からかえると店(みせ)の手伝(てつだ)いをする。


 新(しん)メニューのすりながしとうふは人気(にんき)で、一日(いちにち)に五十杯(ごじゅっぱい)は注文(ちゅうもん)がはいる。

 初田先生(はったせんせい)もちょくちょく注文(ちゅうもん)してくれるんだよ。おかわりもするから、すごく気(き)に入(い)ってくれたみたい。



 夜(よる)になり、ようやく店(みせ)じまい。

 私(わたし)はのれんをしまうために外(そと)に出(で)た。


 するとーー


「……あれ?」


 店先(みせさき)に、こま犬(いぬ)が二(に)ひき、ちょこんとすわっていた。

 オバケみたいにはんとうめいだ。



「草凪(くさなぎ)よ。われらも出前(でまえ)というものをたべてみたいのだが」


 浅草(あさくさ)で会(あ)ったときに、出前(でまえ)しようか? と話(はな)したのを覚(おぼ)えていて、たべに来(き)ちゃったらしい。

 

 私(わたし)はこま犬(いぬ)たちに手(て)まねきして、店(みせ)のとびらをあける。


「いらっしゃい、こま犬(いぬ)さん。中(なか)へどうぞ」



 食堂(しょくどう)くさなぎに、今日(きょう)もあやかしがやってくる。






 ざしきわらしの章(しょう) おしまい






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