27 今日(きょう)もくさなぎにふしぎなお客(きゃく)さんがやってくる
朝おきたら、雪路のシッポがアイマスクになっていた。
「ちょっと、雪路!」
「むにゃむにゃ……なんだマコト、カレーのおかわりか?」
「ねぼけないでよ!」
小町にいたっては、たいそうぎぶくろに頭をつっこんでねていた。
昨日洗たくしてもらったのに、たいそうぎが毛だらけだ。
まったくもう。
「マコト、あんまりゆっくりしてるとチコクするわよ。はやくごはん食べちゃいなさい」
「はーい。ユカリちゃん、おはよ。朝ごはんだよ」
「うん……おねえちゃん、おはよう」
ユカリちゃんが目をこすりながら起きる。
うちでの生活にすっかりなれて、私たちといっしょにごはんを食べる。
「いっしょにごはん、たのしいね、おねえちゃん」
「そうだね。いっしょだとたのしい」
ごはんを食べたらいそいでカバンをせおってくつをつっかける。
「おねーちゃん、いってらっしゃい」
「いってらっしゃい、マコト」
「より道せずに帰るんだぞ」
「うん。いってきまーす!」
みんなに手をふって学校へ急ぐ。
夕方、学校からかえると店の手伝いをする。
新メニューのすりながしとうふは人気で、一日に五十杯は注文がはいる。
初田先生もちょくちょく注文してくれるんだよ。おかわりもするから、すごく気に入ってくれたみたい。
夜になり、ようやく店じまい。
私はのれんをしまうために外に出た。
するとーー
「……あれ?」
店先に、こま犬が二ひき、ちょこんとすわっていた。
オバケみたいにはんとうめいだ。
「草凪よ。われらも出前というものをたべてみたいのだが」
浅草で会ったときに、出前しようか? と話したのを覚えていて、たべに来ちゃったらしい。
私はこま犬たちに手まねきして、店のとびらをあける。
「いらっしゃい、こま犬さん。中へどうぞ」
食堂くさなぎに、今日もあやかしがやってくる。
ざしきわらしの章 おしまい




