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【電書化】元侯爵令嬢の辺境使用人ライフ  作者: ユタニ


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46.嬉しい気持ちとブリザード


サニーとケインがサッハルトにやって来て、10日経った。

シーラは本日も、城の窓から見える雪景色に目を細めている。

「雪なんて3日で飽きるよ」とメグは言っていたが、今のところシーラは飽きてはいない。


ディランからのキスを気にして、悶々としていた時は、雪景色どころじゃなかったので、雪を堪能出来るようになってからは10日だが、まだ飽きていない。


ディランから告白されて、その直後にジェラートから皆で見守っている様子を聞かされた時は、恥ずかしくて死ぬんじゃないかと思ったが、その後、特にディランからも、他の者からも思わせ振りな態度を取られたりはしなかったので、恥ずかしくて死んだりはしなかった。


むしろ、あのキスの理由が分かって、シーラの心は軽い。雪は白く輝いて見えるし、何やら気持ちはフワフワしている。

そう、どうやらシーラは浮かれているようだ。


好きだ、と言われた時は、かなり混乱したけれど、時が経ち、落ち着いた気持ちでディランの告白についても考えられるようになってきた。


自分がディランから想いを告げられて、嫌がっていないようだという事は分かる。

どちらかというと、嬉しいみたいだ、という事も分かる。


シーラを、好いているらしいディラン。

しかも、結構前からのようだった。

思い返してみると、ちょこちょこ心当たりが出てくる。


もしかして、ハンドクリームくれたのは、好意からかしら?

城下町に行くのに付いて来ようとしてたわね、あれもかしら?

手紙を監視していたのも、、、好意?だとしたら、好意が重たい人なのかしら?


その全部に全力で噛みついたシーラだ。


「、、、、、、」

可哀想だったかしら?

でも、あのアプローチ達は如何なものかしら?

あれは、私でなくても嫌われるレベルじゃない?


そして、エラスタスの件の後の、お花と付きまとい、は完全にアプローチだったのだと気付く。


あれを、虫除けとしてやってくれてる、と言ったのは、可哀想だったのかもしれない。

私、鈍かったわよね。

自分の鈍さがちょっと恥ずかしい。


さて、そして、ここからどうするのかしら?

ここで、結局、どうしたらいいのか分からないシーラだ。


通常であれば、「好きだ」の後は、「好きだ、付き合ってくれ」とか「好きだ、婚約してくれ」とか「好きだ、結婚してくれ」となって、シーラはそれについての返事を考えるのだと思うのだが、シーラとディランの場合、もう既に結婚はしている。


もう、結婚してるのよね、、、、。

つまり、状態は変わらないけど、気持ちを知った、と。


ここから、私はどうするのが正解なのかしら?

もう一度、ディランの言葉を思い出してみる。


「念のために言うが、愛してる、の好きだからな」


きゃあっ。


こうやって思い出すと、中々どうして、ちゃんとした告白で恥ずかしい。

そして、たぶん、自分は今、嬉しい。


シーラの中で、ディランはもはや、“最低野郎”ではない。

“女好きの最低野郎”から、“ただの最低野郎”になり、“良い領主”になり、“不器用ないい人”になり、“気楽に話せる領主様”になり、今では“意外に頼れる人”で“笑顔が優しい人”だ。

そういう人からの、好意は素直に嬉しい。


私の気持ちも伝えた方が良いのかしら?


ふと、シーラはそう考えつく。


私の気持ち、、、、

って、何かしら?


好きだと言われて、嬉しい事は伝えた方がいいんじゃないかしら?

特に答えは求められてないけれど。


それは、人としての礼儀のようには思う。

なので、シーラとしては、嬉しい気持ちを伝えようと思っているのだが、あの告白以来、ディランとの時間は取れていない。


この10日間、シーラは特にはディランと接触していない。

避けている訳ではなく、シーラはサニーに城の案内やら仕事の説明やらするので忙しかったのと、ディランの執務室には、同じ様に仕事の説明やら何やらで、ケインがずっと張り付いていたので、2人で話すような時間はなかった。


執務室にお茶を持って行く機会も2回あって、ディランは話し掛けたそうにこちらを見てきたが、ケインも居るし、シーラは思わず目を逸らしてしまった。



そんな感じで、フワフワと10日間を過ごした。その10日目の昼過ぎ。


「シーラ、多分、明日の夜からブリザードになるよ」

フワフワしたシーラにメグが言う。

「えっ?もうですか?」

「毎年、これくらいだよ、冬の始まりの特に不安定な時だ、ぐっと冷え込みだして数日後の天気が荒れる日だよ」

「今日は、晴れてますが」

「雲で分かるんだよ、風も速い」

メグが鋭い目で、空を見る。


「へ、へー」

シーラも空を見てみるが、ちょっと分からない。


この日はメグ以外のメイド達も、「明日か明後日には吹雪くわよ、休みの準備しないとね」と言っていて、シーラ達はせっせと内職する大部屋の準備を整え、食糧の備蓄を倉庫から厨房へと移した。

薪も騎士達によって大量に城内に運び込まれ、玄関ホールに積み上がった。


そして、翌日、朝からどんよりと曇っていた空はどんどんと暗さを増し、昼過ぎに雪がちらついたかと思うと、あっという間に雪は本降りになった。


城の扉は全て閉ざされ、メグからメイド達に明日と明後日の休みが言い渡される。


「たぶん、その次の日もお休みよ」

とリリーが教えてくれて、シーラは3日は休みなんだな、と心構えをした。


夜には、外は完全に吹雪いており、風も強い。

部屋の中もかなり寒く、シーラは布団の上から外套を掛けて、震えながら眠った。



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