表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元侯爵令嬢の辺境使用人ライフ【電書化+コミカライズ】  作者: ユタニ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/52

45.ディランの言い分 2

ディラン視点です。

王宮からの帰りの馬車で、腕の中に閉じ込めたシーラに頬を赤く染めて見上げられ、「可愛い、、」と思い、ディランは思わずキスをしてしまった。


そして、すぐに思う。

また、やってしまった、、、、と。



国王と王妃の前で、シーラがディランの手を握り、2人が想い合っているかのような事を言ったのは、王宮に戻りたくないからで、ディランの事を好きだからでない事は分かっていた。


自惚れたつもりはなかったのだけれど、少なくとも、頼りにはしてくれた事が嬉しかったし、どさくさに紛れて、春の結婚についても国王と王妃に告げたので、当分は離縁しなくてもよくなったのに安堵もしていて、要するに少し浮かれていたのだ。


そしてそこに、いい加減、なぜ、こちらの気持ちに気付かないんだ、という苛立ちも重なった所での、予想外の可愛い反応に、勝手に体が動いた。



キスした後のシーラには、表情が無くて、これは、絶対に怒らせた、とディランは思った。


すぐに身を離して、シーラの怒りに備えたのだけれど、馬車では重苦しい沈黙が過ぎただけだった。


その後、宿はばらばらの部屋で、翌日からは馬車もばらばら。シーラは怖いくらいに沈黙していて、とてもじゃないが近寄れなかった。

近寄って、また、以前のような針のむしろのような態度を取られるかと思うと苦しい。


サッハルトに戻ってから、きちんと一方的だったキスを謝ろう。


そう決意して帰ってきたのだが、帰って来ると、シーラにしっかりと避けられた。


ああ、最悪だ、俺の馬鹿。


ディランは1人で打ちひしがれる。


きっと、シーラは数ヶ月くらいは口を利いてくれないだろう。

根に持つタイプなのだ、それくらい、平気でやる。

せっかく、人としての距離は縮まって、恐らく好感くらいは抱いていてくれて、国王と王妃の前ではちゃんとシーラを守れたと思ったのに、衝動的なキスで台無しにしてしまった。


もうダメだ、またあの氷のように冷たい態度を取られるんだ。いや、それならまだマシかもしれない、怯えられたらどうしよう。

怯えさせてしまったら、、、、


そう思うと、とても自分からはシーラに近付けなかった。

ディランは気を紛らわす為にも、溜まった仕事をこなしては、その合間にキスを後悔した。




そして、その日も執務室で、後悔していた。


ああ、何で、キスなんかしたんだ。

「可愛い、、、」って何だ、馬鹿だ、、、、。


形だけだと思われているとはいえ、春には妻に迎える事も、了承してくれたのに、最悪だ、何で、キスしたんだ、何で、、、、


打ちひしがれながら、ディランはそこで、はたと気付く。


あれ?でも、拒まなかったな。

と。


一方的だったけれど、強引ではなかった筈だ。

手を少し突っ張れば拒めるようなキスだった。


でも、シーラは拒まなかった。


あれ?

もしかして、嫌ではなかったのか?


いや、でも、そんな事あるか?

落ち着こう、とにかく、落ち着こう。

自惚れるな、先走るな、慌てるな。

とにかく、落ち着、


コンコン!


そこに、シーラが午後のお茶を用意して現れたのだった。


「どうしてキス、したんですか?」の問いには、「、、、なぜ、拒まなかった?」と硬い声で返してしまう。


結果、ディランはシーラを泣かした。



「揶揄ったんですか?」


揶揄ったんじゃない、好きなんだ、違うんだ。好きなんだ。


上手く伝えられた自信はないが、目の前のシーラは揶揄われたと思って傷付いているようなので、ディランはとにかく、キスは好きだからしたのだ、と伝えた。


シーラが泣き止んで、心底ほっとする。


そして今度は、どうしたってシーラが、“揶揄われてキスされたと思って泣いた”という事が気になってしまう。

それは、つまり、シーラはディランの事を好きだ、という事にならないだろうか?


「、、その、俺の自惚れかもしれないが、揶揄かわれたと思って、泣いたという事は、つまり、」

それ以上は、ジェラートの訪れによって言葉には出来なかった。




そして、今。

シーラへの客として来ていたサニーとケインとのやり取りを終えて、ケインをジェラートに託し、ディランは執務室へと戻ってきた今、あの時、ジェラートに遮ってもらえて本当に良かった、とディランは思っている。


「あなたは、俺の事が好きなのか?」

遮られなければ、言っていた言葉だ。


言わなくて、本当に良かった。

只でさえ、ディランの告白にシーラは混乱していたようなのに、そんな事聞いたら余計に困っただろう。


ついつい、己の希望が先走って、ひょっとして好かれているのでは?などと思ってしまったが、揶揄いでキスされるなど、誰でも嫌な筈だ。うん、たぶん、きっと。


告白の前にも、自分の希望的観測に拘るあまり、「なぜ、拒まなかった?」と聞いてシーラを泣かせているのだ。

いい加減、自分の事は置いておこう。


だから、期待するな。

今は、シーラが口を利いてくれるようになって、しかも、予想していたような冷たい様子では無かった事を喜ぼう。



うん、そうしよ。

ディランは自分を納得させると、仕事に戻った。




お読みいただきありがとうございます!

すみません、あと3話で終わるのは無理そうです。

でも、あともう少しではあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
もう。涙が出るわ!笑いで。
[一言] ちょっと触っては離れるを繰り返すディラン様(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ