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将来有望冒険者ケンスケっ!!  作者: 大石次郎


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アンダーピープル 前編

ノイノイさんはゴーレムスーツの拳に魔力を溜めたっ!


「出力80%っ! メガ爆拳突きっ!!」


強烈な突きで遺跡中層の壁をブチ抜いたっ! その先には・・水草のような臭いの風が吹いてきた、横穴っ!!


「急ごっ! 探知機を先行させるよーっ」


遺跡はいきなり凍結化が解けだして、崩壊の兆候を見せだしていた。揺れも激しい!

俺達は横穴に慌てて駆け込んでいったっ。


「占い的中ですっ」


「なんでスッと普通の出口とか確保した転送ポイントとかに案内できないんだよっ?!」


「なんですか?!」


「ケンスケ、ドルタマが脚遅いっ、連れてけっ!」


「俺かよっ」


俺は仕方なく遅れたドルタマのほうに取って返し片脇に抱えて運びだす!


「むはぁーっ!!」


「うおっ? 変な声出すなっ、ドルタマ!」


謎に興奮しだしたドルタマを抱えた俺は、照明を点けた探知機に続くノイノイさんとロドリーの後を、崩壊の影響範囲から逃れようと必死で走って追っていった。

下り坂になった横穴まで伝わる揺れは中々収まらなかったが、結構な速さで10分は走ってようやく収まった。

途中いくつかあった別れ道へ全てドルタマの指図通りに進んでいた。

ノイノイさんの合図で一度立ち止まり、有線探知で壁や天井等を調べると、一旦ここに留まって来た道に予備の探知機を飛ばして状況を確認することになった。だが、途中で来た道は崩落によって塞がっていた。


「地形や空気の成分からするとこの先は地下水脈の洞窟に続いているんだと思う。この横穴、所々かなり大昔に手を加えられた跡が見えるし、進むだけ進んでみる?」


ノイノイさんの提案で、俺達は取り敢えずこの場の壁に生存と行き先のメッセージを書いて、駆けずに歩いて進んでみることになった。

そして暫く進み横穴の人工的な整備が目立ってきたその先に、


「あら~っ???」


街でリードから離れた可愛い仔犬でも見付けたような声をあげるノイノイさん。

どうも相当コンディションの悪い、大昔の近距離転送らしき円形の台の中央に、おそらくそう時間を置かないタイミングで転送してきたらしい人物が気を失い、横たわっていた。

転送門の起動に合わせて弱々しく点灯していた魔工灯が、俺達の到着に合わせたように完全に壊れて消え、ノイノイさんの探知機と予備探知機の照明だけが、横たわる人物を照らしている。

それは激しく感電したらしく焼け焦げていて、左頬に傷があり、左耳は欠け、全身の部分部分に岩のような特徴を持ち、しかし左腕だけは綺麗で感電の痕すらなかった。

そして何より、


「冥王信奉者、だよな?」


ロドリーがその女性のボロボロの装束を見て呟き、


「導きですよ、導きですよぉ~」


ドルタマはよくわからないことを言い。


「なんか、見たことある気もする、か?」


俺もそんなことを呟いていた。



・・水の匂い。音。左耳も聴こえる?


「っ!」


私は目覚めた。寒いが湿度がある。私はうっすら藻の生えた一応は乾いた岩の上に座らされていた。焦げた装束は変わらないが、身体は概ね回復している。

魔法石の欠片1つを基点に、霊木の灰で描かれた小さな魔除けの魔方陣の中にいる。

鎖の音に気付いて両手を見ると魔力封印の手錠を付けられていた。かなり強力な物だ。

どうやら私は拘束されたらしい。改めて見ると私の左腕は混血の無い人間の腕になっていた。苦笑したくなったが、今は先に周囲の様子を伺った。

川? のある洞窟の中だ。ライトの魔法数個と照明の点いた小型の魔工探査機のような飛行体が2機周囲を照らしていた。

4人の・・冒険者達が水棲のモンスター群と戦っていた。

内、1人は東方遊撃班の防護服を着ていた。見た顔であった気はする。


「・・・」


段々頭がハッキリしてきた。ここは遺跡近くの水脈回廊(すいみゃくかいろう)だ。大昔、ニーベルング達が潜伏活動に利用していた。リーラ州のほぼ全域に通じている。一部は我々も使っていた。

よく見れば洞窟には人工的な加工の後が散見された。私はここの古い転送門にでも強制的にアクセスして飛ばされたんだろう。

そうして冒険者達に発見された。時間はあまり経っていないはず。冒険者達も遺跡の崩壊からなんらかの経緯で逃れて来たんだろう。

横穴の類いが多数遺跡に接している、という話を聞いたことはあった。


「陸に上がって脚の速いのは粗方仕止めた! あとはキリがねーぞっ?!」


「よっしゃっ、ドルタマ! ノイノイさんっ、合わせてっ」


「ライトっ!!」


遊撃班の男とエルフの女が光量を上げたライトの魔法を、ゴーレムスーツを着た痴女のような格好のオーガ族の女は機体と探査機の照明を最大光量で放ち、光に弱い水脈回廊のモンスター達を大きく怯ませた。


「ケンスケ! 女、回収っ!」


私か。私は目を閉じ、気を失ってるフリをした。武器やウワバミのポーチは奪われている。


「俺にばっか運ばせるなよっ」


「前衛の俺が手ぇ塞がったらややこしいだろっ」


「ケンスケ、変なとこ触ってはいけませんよ~」


「うるせっ」


「ケンスケ君早くっ!」


「はいはいっ」


遊撃班の男が私の元に駆けてくると、魔除けの陣を解除し、


「この人、ほんとなんなんだよっ?」


と愚痴りながら私を担いで駆けだした。

私が聞きたいくらいだ。ヨズーは教団の本流閥にも顔が利く、成果と戦力も得た、もう教団に私の居場所は無いだろう・・



治療後も起きない冥王信奉者の女を庇いながら、俺達は古めの地形データとドルタマの占いを頼りに地下水脈の洞窟を進んでいった。

ここで厄介だったのは知性の高い、ディープフィッシュと呼ばれる鬼人化の果てに種族として確立してしまった堕落した魚人族達だ。

しつこい上に地の利を生かしてくるし、武器や魔法も使う。最悪だ!

俺達がディープフィッシュ群相手に後退していると、


「そっちはダメだっ!」


脇の通路から武装したもぐら人(ワーモウル)族と蜥蜴人(ワーリザード)族が駆け付けてきて、俺達が下がろうとしていた通路の先に投石をした。

と、この石に隠された魔法陣が反応し、石材を加工した槍を用いた槍襖(やりふすま)の魔法トラップで奥の通路全体が石の槍だらけになった!

地団駄を踏んで悔しがるディープフィッシュ達っ。


「え~っ?」


「こっちだ! 速くっ」


ワーモウルとワーリザード達はグレネードガンのような武器で霊木の灰のような物を散布させてディープフィッシュ達を怯ませ、俺達を促した。

俺達は顔を見合せ、


「モグさん達に付いてこっ!」


「アンダーピープルってヤツか??」


「行くが吉と出てますっ。あとわたくしも運ぶが吉ですっ!」


「俺かよっ」


「むはぁーっ!」


俺は右の肩に冥王信奉者の女、左の肩にドルタマを担ぎ、俺達はワーモウルとワーリザードの一団についてその場から遁走していった。



途中いくつかの魔除けの結界や隠し通路を抜け、俺達は巨大なドーム型の洞窟の広間にそこそこの規模の野営地がそのままスッポリと収まったような場所に連れて来られた。

明かりは薄暗い魔工灯と明るい電気灯、あとは持久蝋燭(じきゅうろうそく)のカンテラが用いられていた。


「ここまで来ればもう安心! オイラはジョモーン。さっきムキムキのお兄さんがチラっと言ってたけど、オイラ達はアンダーピープル!! 地下暮らしのコミュニティーの住人さっ。税金は払ってない! テヘヘヘっ」


ワーモウルのリーダー格らしいジョモーンは悪びれずに言った。うむ。


「俺はデンバ! ここは地下拠点の1つ、リーラ・南西部・ニョ041だ。俺達には街、って概念は無い。寝泊まりできる場所は全て探窟拠点だっ!」


言い切るワーリザードのリーダー格のデンバ。


「おお~」


「面白そうなライフスタイルだな」


「さっきは助けてくれてありがとねぇ」


「わたくしには見えてました!」


ちょいちょい思ってたがドルタマ、後付けで、わかってた、ってすぐ言うよな。


「冥王信奉者の捕虜も連れてるけど、あんた達、冒険者ギルドだろ? オイラ達、遺跡がブッ壊れたみたいだから様子を見に言ったところだったんだよ」


「まぁ詳しい話の前にポーション飲んで薬草風呂にでも入ったらいいぞ?」


風呂! いいねっ。


「モグちゃん達、通信手段や転送門はあるかな?」


「電信はダメだけど、水晶通信で一番近い他の地下拠点と話せる。地上と繋がってる拠点まで遠いからそっから伝言ゲームになっちゃうだろうけど」


「転送門は緊急脱出用のだけだ。他の拠点までショートカットできるくらいだな」


地下拠点の中でも辺鄙なとこなのか? それともアンダーピープルの基準だとどこもそんな物なのか? ちょっとわからなかった。


「う~ん、まずはお風呂、かなぁ。アンメイル!」


ノイノイさんはゴーレムスーツを解除してボックスの魔法の空間にしまった。いや、スーツ脱いじゃうと完全に水着だっ。


「ふぅーっ。ケンスケ君、その人の身体は私が洗うよ」


「あ、どぞ」


俺は慌てて信奉者の女をノイノイさんに渡した。


「・・チッ」


「っ?!」


舌打ち??


「この人、起きてるぞっ?!」


「離せ、立てる」


俺とノイノイさんの手を振りほどいて立つ信奉者の女! 俺達は身構えた。


「私はレイミ。冥王教団で冥翼王達を指揮していた者だ」


何ーっ?! 幹部かっ??


「盛ってねぇか? 冥翼王が倒されでもして遺跡が崩れて慌てて1人で逃げた、ってか? ホントなら間抜けだな」


辛辣なロドリー。レイミはうんざり顔でため息をついた。


「今は、これ以上話すことは無い。拷問したければ好きにしろ」


「コイツっ!」


ロドリーが突っ掛かろうとしたので俺とノイノイさんで止めた。


「まずはお風呂に入るのが吉でしょう!」


「ドルタマっ、自分が入りたいだけだろっ!」


ドルタマにくって掛かるがスルーされるロドリー。


「とにかく、お風呂に入りましょ? 手錠で洗い難いよね? 背中くらいは流すからね、レイミさん」


「チッ」


「凄い舌打ちしてくるぅ?!」


「ノイノイさんに舌打ちすんなっ、ありがたく背中流されてろ! テロ女っ」


「風呂上がりにアイスコーヒーミルクを飲めばさらに吉っ!」


俺はなんとなく入れずにいると、ワーモウルのリーダー格に防護服の袖をチョイっと引っ張られた。


「うん?」


「オイラ達お金稼ぐ機会少ない。今回の騒動で損失も出る。ギルドはいくら出せる?」


「お~~?? ん~~っっ」


金かぁっ。ギルドの方は俺じゃわからないが、手持ちの金銭を俺は確認することにした。

しっかし、あのレイミとか言う冥王信奉者! 妙に清々しい態度だ。なんだ?? 俺は左腕以外は岩のような特徴を所々持つ相手の顔をマジマジと見てしまったが、目が合うと「チッ」と思い切り舌打ちをされたっ。

取り敢えず、凄ぇ舌打ちはしてくるぞっ?!

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