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第四章 6話 難所に向けての
川を渡り、森を抜けて、一行は、天高くそびえ立つ山脈の麓の村まで着いた。
そしてこの山越えが、この道中の最も厳しい難所でもあるのだが、ハシムとモモタウロスには一つの算段があった。
それがここの山村。
アムル村長以下山村の住人は、作物を育てられる土壌の無いこの土地で、遊牧と偶に来るキャラバンの手伝いをして生計を立てていた。
この山越えを手伝って成功させるには、この村の協力が絶対に必要なのである。
この旅の安全性を考えれば、地中海ルートを選択するのが打倒なのだが、あえてハシムは、山越えを敢行してヌミビア馬の丈夫さをアピールし、高値取引に持ち込みたいとの狙いがあった。
この村では稀に見る大規模キャラバン隊の山越えを完遂させるべく、ハシムとモモタウロスは、アムル村長とのこの難所に向けての交渉を始める。