第百三拾六話 カメラがあなたを狙ってる……! (その2)
カメラにまつわる話題をもう一つ。
中国は、今、監視カメラ大国になっています。
町のあちこち、道路のあちこちに監視カメラが取り付けられており、たぶん死角はないと思います。
監視カメラは、会社の中やお店やレストランの中にも取り付けられています。
ちょっと面白いなぁと思うのは、レストランの厨房の中の監視カメラの映像が、店内にある大きなモニターに映し出されており、食事をしているお客様が厨房の様子を確認出来ることです。これは、『食事の中に変な物を混ぜたりしていませんよ』、『清潔な場所で作っていますよ』という証明になるのだとか。
もちろん、私が働いていた中国工場の中にも数十台の監視カメラが取り付けられていました。会議室に取り付けられているカメラには録音機能付き。怖いわー。
監視カメラの映像は、事務所内にある大型モニター数台に常に映し出されています。
事務所内を撮る監視カメラもあるので、モニターの前に立つと、モニターを眺めている自分の映像がモニターに映っているという∞(無限大)な不思議体験をすることが出来ます。
映像の解像度は非常に高く、しかも高感度カメラなので、夜の屋外でも、まるで昼間のように映像を映すことが出来ます。また、携帯電話やタブレットPCの管理アプリを通じていつでも社内の監視カメラの映像を確認することが出来ます。
日本人から見ても『ちょっと引くわー』という超監視社会なのですが、中国人に言わせると、
『これでみんなが安全に過ごせるのだから問題なし』なのだそうです。
さすが全体が個人に優先される社会主義国家(-_-;)
「胖姐さん、社内で監視カメラに映らない場所ってないですか?」
クリスマスも過ぎた12月のある日、技術部の莫さんに突然こう聞かれました。
「莫さん、どうしてそんな事を聞くの?」
「明日の忘年会に出演する人達が衣装に着替える場所がありません……。女の子の下着姿が社内のモニターに映し出されたらマズいでしょう?」
「あぁ~、そうだよねぇ……えーっと、社長室には監視カメラが無かったと思う。ソファもあるし、控室に使わせて頂こうか。」
……そうなのです。社内に監視カメラがありすぎて死角になる場所がトイレの中しかなく、こんな時に困ってしまうのです。
結局、社長室をちょっとお借りして"出演者控室"として、社長の執務机の上に鏡を立ててドレッサー代わりに使わせて頂いたのでした。(後でキレイに掃除したけど)
監視社会って中に入っちゃうと楽なんだけど、外から見るとやっぱりちょっと異常ですよね。