第百三拾四話 外国人だって寒いものは寒い
今回、私が赴任していたのは広東省の内陸部にある、とある田舎町でした。
田舎と言っても、中国新幹線の駅はあります!高速道路も通ってます!
ただちょっと山ばかりの盆地なだけで……( ;∀;)
中国では田舎町のことを、"四線城市"といいます。"一線城市"が北京と上海のような大都市を指すので、まぁ、"四線城市"というと、かなりそれより格下の地方都市といった感じですね。
私の赴任していた町は典型的な"四線城市"でした。
"四線城市"なのですが、なぜかほとんどの住民は市内中心部にあるピッカピカの高層マンションに住んでいます。高層マンションが流行り?土地があるので一戸建てでもよさそうなものですが、安価で手に入るマンションのほうが人気です。
私が部屋を借りて住んでいたのも、そういったマンションの一室でした。
部屋のオーナー(女性)は、当初は自分が住むために購入したそうなのですが、仕事の都合で地元を離れたため、物件を賃貸にまわしたそうです。家具と一部家電が付いているので、身の回りの物さえ買えば、すぐにでも暮らせる状態になっています。
私が赴任したのは真冬でしたが、いくら暖かい広東省といっても内陸部の気候は全く別で、山間部には雪が降ります。日本よりも気温は高いのですが、湿気があるので骨にしみるような寒さです。北京のバキッとした硬質な寒さとは、まったく別物です。
仕方ないので、毎日、部屋のエアコン(暖房)をフル回転させて寒さをしのいでいました。
ところが、ある日……
「胖姐さん、あなた、リビングの暖房をつけてるでしょ?」
と部屋のオーナーさんから電話がありました。
「はい。とても寒いので、毎日エアコン使ってますが。」
「……あ~、やっぱり。一つ下の階の住民からエアコンの水がベランダに垂れてくるってクレームがあってね。週末にはそちらに戻るので、もしよければ修理の人と一緒にお部屋にうかがうから。」
そして、その週末。お部屋のオーナーさんが修理屋さんと一緒に現れました。
修理屋さんはベランダ外に設置されているエアコン室外機を確認して、ズバッと一言。
「ドレインホースが付いてない。それじゃあ、排水が下の階に垂れ流しでもおかしくないよ」
そして部屋のオーナーさんと修理方法と代金について、ぎゃあぎゃあと交渉を始めました。
やがてキレ気味になったオーナーさんが、最後にこう叫びました。
「胖姐さんが外国人で暖房を使うのが悪いのよ!」
……え?だって寒いものは寒いでしょ?
エアコンって何のためについているの?インテリアかよっっ(-_-;)
その後、地元出身の社員に確認したところ、真冬でもエアコンを暖房モードにすることはなく、電気ストーブなど局所的な暖房で済ませてしまうのが普通だそうです。うーん、さすが広東省。