第百三拾話 足の裏に大穴が開いた日
今回はちょっとグロいかな?ちょっと気の弱い方やお食事中の方は避けて下さいね。
近頃、仕事時にオフィス内で履いている靴が何となくしっくりこないと思っていたら、足裏に大きな”ウオノメ”が出来てしまいました。
小学生3年生以来の再発ですから、なんと40年振りのことです。
歩くと、地味~~に痛い。(T_T)
足の裏から時々刺すような痛みが頭の先まで伝わってきます。
自分を騙し騙し何とか仕事をしていたのですが、とうとう我慢できなくなってきて、思い切って荒治療を施すことにしました。
香港や中国には、昔から『修脚』という技術があります。
修……修理する、脚……足、という意味なので、文字通り足に関する疾患を治療する技術ということですね。具体的には足の角質取り、簡単な巻き爪直しやウオノメ取りなどです。現在では、中国式スパのオプション項目の一つとして存在しています。ちなみに職人さんは昔から上海出身者が多いです。
なかなか専門店で修脚だけをしているところが見付からなかったのですが、ようやく銅鑼湾に専門店を一軒見つけました。
かなり年配の修脚職人のおじさんに私の足裏の状態を見てもらったら、非常に驚かれて、
「何でこんなになるまで放っておいたの?歩くとすごく痛いだろう?日本で治療しようと思わなかったのかい?」
と聞かれました。日本で病院に行っても、時間と費用ばかりかかってすぐに治らないので……と伝えると、職人さんは大きくうなずいて、
「お客さんがここに来たのは正解だね。俺の技術だと一発で直せるから、ここからの帰りはきっと足が痛むこともないはずだよ。ただし、お客さんの状態はかなりひどいので、ちょっとばかり時間がかかるし、その分割増料金を頂きたいんだけどね、それでいいかい?俺の技術に納得してもらいたいから、費用は後払いでいいよ。」
と少し高めの料金提示をされました。(割増料金と言っても納得のいく範囲内でした)
職人さんは、まずは患部をふやかさないと……と言って、私に足湯に入るように言いました。時々、湯が冷めないようにお湯を足しながら、約30分。
私の足裏がようやく職人さんが納得のいく柔らかさになったところで、蛍光灯付き拡大レンズと特殊な小刀一式を使って、いよいよ治療スタート。
「ちょっとじっとしていてね~~。まずは伸びた爪を切ってから、足の裏の余分な角質を削っていくからね~~。」
職人さんの持つ小刀は金属製で平らなヘラのような形をしています。恐らく尖端の一辺にだけ少し刃がつけられているらしく、ヘラが足裏に軽く押し当てられている……というような感触があるだけなのに、面白いように私の伸びた爪やかかとの角質が削り落されていきます。まるで、かつおぶし削りみたいに、ぽろっ、ぽろっ、と皮が落ちます。
そして、職人さんは工具をもっと細いものに替えて、拡大鏡で患部を確認しながら、私のウオノメを削り出しました。非常に集中して無言で患部を削っていく職人さん。冷房の効いている室内なのに、額にはじわっと汗が滲んでいます。途中で何度も工具を替えながら、約15分。その間、痛みを感じることは全くありません。
そして、ようやく……
「芯がとれた!……ほら、見てみる?」
と言って、職人さんが私の手のひらに、半透明をしたゴムの固まりのようなものを”ぽとん”と落としました。何とそれは私の足裏の皮が固くかたまったものでした。……人体の一部とは思えないくらい、本当に固い(^▽^;)
「お客さん、カメラ持ってる?ウオノメをえぐり取った跡がものすごいから、記念に一枚撮っておいたほうがいいよ。自分じゃ見えないでしょ?俺も自分のカメラで一枚撮るからさ。ほんとスゴイんだから。……じゃ、これから、取った跡をキレイにするために、周りの角質を削って整えていくからね。」
会心の笑みを浮かべた職人さんは私の携帯電話でパシャっと一枚撮ったあと、自分の携帯電話でもパシャっと撮影しました。そして、そこに写っていたのは……
クレーターのような大穴の開いた私の足裏でした!!!(゜Д゜;)
こんな大穴が開いているのによく出血しないものだと、本当に感心しましたよ。
職人さんはまた小刀を持ち換えて、穴の周りを”スーッ、スーッ”と削っていきます。
ようやく出来上がった私の足裏は、穴があったことなど全く分からないほど、平らですべすべして、赤ちゃんの肌のような状態になっていました。ヽ(^o^)丿
料金を支払ってお店の外に出た時、職人さんが言う通り、足裏が全然痛まないことに、またまたビックリ!(◎_◎;)
日本に戻ってから約1.5ヶ月が経ちましたが、その後、足裏が痛んだり、ウオノメが再発することもなく、毎日いたって快適に過ごしています。職人技ってホントにスゴ~イデスネ(゜д゜)!