第百二拾八話 コンサートでノリノリ?
最近は、日本の有名歌手がアジア公演を行うのは珍しくありません。
今年9月16日付で引退された安室奈美恵さんも、何度か海外公演を行っています。
私も1997年に彼女のステージを上海で見たことがあります。
小室哲哉プロデュースの歌手達が一同に集まるイベントだったと思います。たった数曲しか歌ってくれませんでしたが、その時、非常に体調が悪そうに見えたので、『どうしたのかな……?』と思っていましたが、後から思えば、SAMさんとの結婚を発表されて、ちょうど悪阻の時期だったんですね。
中国における海外アーティストのコンサートの大きな特徴は、最前列の真ん中あたりの椅子が大きく取り払われており、そこに真っ白なクロスをかけた長テーブルとカバーをかけたふかふかのソファが置かれていることです。そして、テーブルの上にはお茶の入った蓋つきコップが置かれています。
これは一体誰のための席なのでしょうか??
答えは、現地プロモーターが招待した政府関係者のための特別観覧席です。
主賓として招かれるのは、たいていが地区の共産党幹部、または警察関係者らしき人です。すでに観客で会場が満員になっており、開演時間を過ぎていたとしても、主賓が席につかないとステージは始まりません。偉い人達は我々と違ってセカセカしていませんので、チャイナドレスを着た案内嬢に誘導されてゆっくりと席に座った後、まずはお茶を飲んで一息いれてから、ようやく開演の指示を出します。
……まぁ、主賓でお招きされるような偉い人は、たいていが年配者のため、コンサートが始まって5分もしないうちに、大音量で流れる音楽に耐えられずに途中退席されてしまうんですけどね(^▽^;)
中国や香港で日本人歌手がコンサートをする場合、現地の日本人商工会議所がスポンサーになることがあります。
その場合、商工会議所に加盟している企業にチケットの割り当てがあります。
私が上海で働いている時、CHAGE & ASUKAのコンサートが開かれたことがありました。
当時、コンサート開催のお知らせとチケット購入希望の問い合わせが、なんと社内の回覧板でまわってきたんですよ!(思えばのどかな時代でした)
コンサートに行きたかったので、購入希望者の欄にさっさとハンコを捺して、回覧板を次の人にまわしました。チケットの代金支払いは、総務課にしたと記憶しています。(給与天引きではなかった……)
そしてコンサート当日。
定時まで仕事をした後、おもむろに総経理(日本人)がオフィス全体に届くような大声でこう言いました。
「おーい、皆、時間だ。さぁ、コンサートに行くぞ!ウチは5分前行動だからな。遅れないように。」
そして総経理は専用車に乗り込み、私や同僚達はタクシーに分乗して、会場に向かいました。
会場では会社ごとに商工会から割り当てされているブロックに、役職順にずらっと横一列に並んで着席したため、J-POPのコンサートというよりはどこかの企業の全体ミーティングのようです。日本からやってきた熱心なファンの方達とは、水と油という感じ。
「うっ……(=_=) 上司が横にいると、ノレない……。」
コンサート中、隣の上司にちょっと遠慮しながら『YAH YAH YAH』に合わせて拳を振り上げてみた私なのでした。
12月から久しぶりに中国で働くことになりました。(転勤の辞令が下りました)
このサイトって中国から更新出来るのかしら?
今まで足を踏み入れたことのない都市での勤務となるため、また新たなネタが増えそうです。
約20年振りに中国の労働ビザを申請することになるため、果たして承認が下りるのか、今からドキドキしています。