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胖姐看中国  作者: 胖姐
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第百拾九話 獅子舞だってスポーツです

"獅子舞"が中国にもあることをご存じですか?


日本の獅子舞は、赤色の獅子頭に緑色の唐草模様の布を胴体として被り、一人または二人でお囃子に合わせて踊るのが一般的ですが、中国の獅子舞は、赤色や金色で彩られた派手な獅子頭に同色のピカピカの布を胴体として被り、前脚担当者、後ろ脚担当者の二人組でシンバルや太鼓に合わせて踊ります。

中華街のイベント時には必ず付き物のパフォーマンスのため、TVのニュースなどで目にされたことのある方も多いことでしょう。


さて、この獅子舞ですが、中国では立派なスポーツの一種です。

特に中国南方では、昔からカンフー道場に獅子舞の技術が伝わっているため、どちらかというと武術の一種としてとらえられています。

だから、獅子舞はただ音楽に合わせて踊るのではなく、獅子頭をかぶったまま高い足場の上をぴょんぴょん渡ったり、後ろ脚担当者の肩の上に前脚担当者がフワッと飛び乗って立ち上がったような動きをみせたり、雑技(サーカス)のような激しい動きをします。

踊り手二人の息がぴったり合い、音楽に合わせてまるで一匹の動物が楽しく暴れまわっているように見えたら、大成功!

昔、伝説のカンフーの使い手だった黄飛鴻が中国獅子舞の達人だったといいますが、武術に裏付けされた高い技術がなければ、あんなにアクロバティックな動きは出来ないと思います。ジャッキーチェンやジェットリーの映画にも中国獅子舞が出てきますしね(^▽^)/


200X年に私が中国・東莞市で長期研修をしていた時のことです。

ある日曜日の午後、ホテルの自室で何となくTVのスイッチを入れたら、『○○○(スポンサー企業名)記念カップ 中国獅子舞競技大会』という番組が放映されていました。

まるで総合格闘技大会のようなピリピリとした雰囲気のなか、ちょっと危ない雰囲気のいかつい男性達が次から次へと体育館に設けられた特設ステージの上で体操競技のように獅子舞を披露しているのです。

もちろん、ちゃんとTVアナウンサーによる実況放送と解説付きです。


「……さて、次は広東省中山市××武術道場の孫・林ペアの演技です。解説の張さん、××武術道場といえば一昨年の優勝者ですが、今回の演技についてどのようなパフォーマンスを見せると思われますか?」

「はい、××武術道場は昔からキックを得意としていますので、今回も細かい足の動きに注目して頂ければと思います。」

「おおーっと、ここで孫・林ペアが大きな動きを見せた!段差部分のジャンプ失敗!着地に失敗して体勢が崩れました!」

「……うーん、足を滑らせても一瞬で身体を立て直すところはさすが孫選手と林選手ですが、残念ながら減点は免れませんね。」


そして演技が終わったら、体操競技などのようにデジタル表示の得点板に、『8.00』の文字が。がっくり肩を落とす周囲の男性達。……なんじゃこりゃ!?!?

あとで現地の同僚から聞いたところによると、このTV画面に漂う何とも危ない雰囲気は、獅子舞を継承しているカンフー道場の一部が、スポーツ競技団体というよりは黒社会(やくざ)の養成所みたいになってしまっているため、大会になるとヤクザさんが自分の出身団体の応援のために集まっちゃうから……らしい。

日本では伝統的な民俗芸能として扱われる獅子舞ですが、中国だとK1なみに高額賞金のかかる”格闘技”なのです。本当に、”ところ変われば品変わる”、ですね。

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