第百拾話 コーヒー紅茶
世の中、コーヒー好き、紅茶好きは沢山います。
しかし『コーヒー紅茶』が好きだという人はあまり見たことがありません。
『コーヒー紅茶』とは、香港生まれの飲料で、正式名称を『鴛鴦茶』と言います。
中国語で”鴛鴦”とは、異なる2種類のものを組み合わせて1つにしているものについて使われる表現です。例えば、ご飯の上にクリームシチューとトマトシチューが相掛けになっているご飯は、”鴛鴦飯”といいます。
鴛鴦茶は、アイス(凍)とホット(熱)があり、街のちょっとした食堂や地元系ファーストフード店などで飲むことができます。マンダリンオリエンタルやペニンシュラホテルなど超高級ホテルのティールームには置いていません。地元の人達に愛されている、ちょっぴりローカルな飲み物です。
まったく味の方向性が違うコーヒーと紅茶を、エバミルク(牛乳を煮詰めた無糖練乳)が仲立ちして結び付け、一つにまとめている不思議な味わいです。
香港や中国にある茶餐庁(香港風のファミレス)には必ず置かれている飲み物なのですが、お店によって不思議と味が違います。コーヒーの味が強い店、紅茶の味わいが強い店、ミルク味が強すぎる店など……。私は個人的にはコーヒー味が強めに出ているほうが好きです。クラッシュアイスをたっぷり入れたグラスに入っている冷た~い鴛鴦茶は、夏の暑さを和らげてくれる気がします。
グラスに口を付けると、最初の一口はミルクがしっかり入ったコーヒーの味がして、飲み終わった後は濃く入れた紅茶の爽やかでさっぱりした渋みが残る感じです。飲み始めの味覚と飲み終わりの味覚が違うので、初めて飲む人は『???』となるかもしれません。
例えて言うと、飲み始めはジョージアマックスコーヒーで、飲み終わりが午後の紅茶ロイヤルミルクティーという感じかな。
たまに日本でも缶飲料で鴛鴦茶が売り出されることがあるのですが、あまり人気が無いらしく、すぐに販売終了になってしまいます。私も自販機で見かけると買いだめをします。
香港では、インスタント鴛鴦茶がスーパーで売られている(リプトン社など数社から発売されている)のですが、これはあまり美味しくありません。
やはり街の茶餐庁で出てくる鴛鴦茶が、コクのある味わいで美味しいと思います。
私が上海で働いていた時に、よくお昼ご飯を食べに通っていた広東料理の小さなレストランがありました。そこの昼定食には、香港式ミルクティーかレモンティー、または鴛鴦茶が付いていました。裏通りにある小さなお店なのに、かなり腕の良いコックさんを雇っていたらしく、お昼の時間帯は近くで働く香港人サラリーマンでいっぱい!
ある時、このレストランで同僚の香港人マネージャー(男性)と鉢合わせしたことがありました。
「あれぇ~?胖姐さんも中国菜(=中華料理)を食べるんだね。」
「そうですよ。もともと私は中国菜のほうが和食よりも好きなんです。ここのランチは美味しいですよね。セットでついてくる鴛鴦茶もイケてるし。」
「うーん、正直まぁまぁかな。」
「香港人から見て、どこの鴛鴦茶が一番美味しいですか?教えて下さいよ。」
「そりゃぁ……( ̄― ̄)ニヤリ 香港の僕の実家の近くの茶餐庁の鴛鴦茶がイチバン美味い!」
……そんなの行けるわけないじゃん(。-`ω-)、だいたいアナタの実家が香港のどこにあるかも知らないしさ。香港人のイジワル( ノД`)シクシク…。
鴛鴦茶ですが、都内ならば香港人が経営する茶餐庁があるので、常時飲むことが出来るようです。
また、一時期、ファミレスのデニーズでもドリンクメニューに載っていたことがあります。
クックパッドには鴛鴦茶のレシピが載っているらしいですよ。
ファミレスのドリンクバーで、実は、鴛鴦茶っぽい飲料を簡単に作ることができます。アイスコーヒーとアイスティーを3:7くらいの割合で混ぜて、ミルクとガムシロップを多めに入れるだけ!ぜひお試し下さい。