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胖姐看中国  作者: 胖姐
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第百七話 衛星放送が見られない!

最近は、週末になると体調を崩して、寝込んでばかりです。更新が遅れていてすみません。三連休を利用して、何とか立ち直りたいと思います。

インターネットが発達した現在では、自国のTV番組を海外でオンタイムに視聴することも可能です。


しかし、私が中国での生活を始めた1990年代後半には、まだインターネットが発達していなかったので、海外のTV番組は、衛星放送でしか見ることが出来ませんでした。しかも、受信用のパラボナアンテナの設置に役所の許可が必要なため、視聴は、外国人が居住している場所に限られていました。

当時も今も、中国政府を批判したり告発したりするような情報が、海外から無条件に入ってくることを、共産党幹部が非常に恐れているのですね。中華人民共和国では、今でも、Google、Yahoo!、LINE、Twitterなどの使用が制限されています。(香港やマカオでは使用可能)


私が中国に留学していた頃、香港の鳳凰衛視中文台というTV局が、中国語チャンネルの中では、西側諸国の報道姿勢に比較的近く、しかも中国語の字幕が必ず付いているので、私のような外国人にとっては、ヒアリングの勉強にも役立つ、非常にありがたい存在でした。

当時の鳳凰台は、スターTVに属するチャンネルで、香港の実業家がオーナーだったため、かなり中国政府に批判的なことも、遠慮なくバンバン報道している感じだったと思います。


北京に留学して半年くらい経ったある日、寮の自室でTVを見ようとしたら、鳳凰台が全く映らなくなっていることに気づきました。


『おや……?何で映らないのかな?今日は天気がいいから、アンテナの調子か悪くなるはずもないし……?』


その他の中国国内のチャンネルはすべて正常に映っているので、衛星放送の受信に異常が発生しているということは考えられません。(中国は国土が広いので、国内向け衛星放送が存在する)

私が不思議に思いながら、色々とチャンネルをいじっていると、日本人の留学生仲間がやってきました。


「胖姐さん、今日、鳳凰台が映らないよね?」

「うん、昨日までは大丈夫だったのに……。」

「今、学生課に行って聞いてきたんだけど、反政府的な放送をするTV番組は、学生の思想に良くないから、”中国が香港を取り返す日まで”、見られないようにするんだって。」

「え~~っ!(◎_◎;)」


留学生と語学交流を図る、家庭教師をするという名目で、かなりの中国人学生が、外国人留学生寮に毎日のように入れ替わり立ち替わりやって来て、普通では見られない海外の衛星放送を楽しんでいたので、学校側が焦って、TVチャンネルを見られなくするという強硬手段に出たのでしょう。

まだ天安門事件の記憶が薄れていない頃でしたから、民主主義的な考えが中国人学生に触れるようなチャンスを、政府や学校が極力つぶそうとしていたとしか思えません。


その後、鳳凰衛視台は、オーナーが中国の軍関係者に代わり、また、中国に正式に進出するため、報道姿勢を政府寄りにガラッと変えたこともあって、香港返還を待たずして、大学構内でも再び問題なく視聴できるようになりました。

昔のように、中国社会の暗部を暴くような番組は徐々に姿を消し、”中国は素晴らしい!”という体制礼賛番組が増えたのは、とても残念ですが……。

それでも、中国のTV局の中では、外国人が見ても面白く、分かりやすい番組を報道しているチャンネルの一つなのです。

日本でもスカパーに加入している場合は、鳳凰台を見ることが出来るようです。(もちろん受信料がかかりますが)

中華圏からの観光客が増えたせいか、最近は、日本のホテルでも、鳳凰台を見られることが多いです。そんな時は、観光もそっちのけで、ついTV番組に見入ってしまいますね。ドラマよりもニュースが面白いです。

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