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胖姐看中国  作者: 胖姐
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第百五話 チキンゲーム

中国で仕事をしていると、『現地の偉い人とトモダチ』であることが大事だと痛感します。


日本では考えられないのですが、同じ役所内でも、法律解釈や適用範囲が担当者ごとに違うため、普段から税関職員と仲良くしていると、貨物の輸出入の審査がスムーズだったり、なぜか検査に引っかからずに通関出来てしまったりします。

また、税務署から役人がお昼時に監査にやってくるというのは、もはや”お約束”ですね。

企業の総務責任者が、ちょっとゴージャス目のランチを税務署員にご馳走すると、何事もなく15時までにスムーズにお帰り頂けます。(;^ω^)


このようなことは、権力との癒着や汚職にあたりますので、本来ならば絶対に避けるべきことです。

しかしながら、中華文化圏で古くからの商習慣となっているため、共産党が支配する現在になっても、なかなか根絶が出来ていません。


これからご紹介する話は、過去に私の上司だった日本人男性Iさんから聞いた話です。

Iさんは長く中国 深セン市に駐在していました。中国に長く駐在していると、段々と現地の知人・友人が増えてくるもので、Iさんもかなりの人脈を現地で築いていました。

ある日、Iさんは現地社員同士の喧嘩が原因で、近くの派出所から呼び出しを受けました。


「まったくツイてないよ。どうせ警察から経営者の管理不行き届きとか何とか言われて、イチャモンを付けられるんだから。今回は(ほん)(ばお)(賄賂)をどれくらい渡せば済むかな……。」


円満な早期解決のため、出来れば裏金で済ましたいIさん。

ところが、警官は清廉な人柄だったのか、それとも、Iさんからもっとふんだくれると思ったのか、なかなか開放してくれません。

しまいに、Iさんも段々とイライラし始めました。


「時間の無駄なんだよね……。」


そんなIさんの気持ちがつい表に出てしまったのか、警察官はますます居丈高になり、Iさんの態度を責め出しました。Iさんも黙って耐えていたのですが、とうとうこらえきれなくなって、


「すみません、通訳出来る友人を呼びたいので、電話をかけさせて下さい。」


と、とある場所に電話をかけました。


しばらくして……

派出所の表が急に騒がしくなり、複数の人間の足音がやかましく聞こえていたかと思うと、急にシーンとなりました。

そして、中国人民解放軍の将校が一人、コツコツと靴音を響かせて、派出所の中に入ってきました。


「やぁ、Iさん!久しぶり。困ったことになったときいて、助けに飛んできたよ。

(警官に向かって)…君達は、私の友人に一体何の用なんだね?彼も忙しい人だから、あまり拘束してはいけないよ。」


警官に対してあくまでも穏やかに語りかける軍人さん。丁寧な態度に、警官は相手を嘗めてかかったのか、


「この小日本(しゃおりーべん)(日本人に対する蔑称)が悪いから、部下が問題を起こすんだ。我々はそれを是正してもらいたいと言っているだけだ。」

「……(=_=)。そんな下らないことで私の友人を不当に拘束しているのか?君達は、窓の外を見ても、まだ私の友人の貴重な時間を邪魔する気になるのか?」


警察官が派出所の窓から外を見ると、なんと軍隊の一個小隊が、建物の外にいた警察官を抑え込んで、びっしりと派出所を取り囲み、ずらっとライフル銃を建物に向けていました。将校の命令さえあれば、いつでも一斉掃射出来る状態です。


「ヤ、ヤバい……。すみません、Iさん、お互いに誤解があったようです。もうお帰り頂いても大丈夫ですよ。何も問題ありません。」(;’∀’)


急に態度が変わって、ペコペコしだす警察官。それを横目で見ながら、将校とIさんは悠々と派出所をあとにしたのでした。

ちなみに、Iさんは予め準備してきた(ほん)(ばお)(賄賂)をパーッと使い、その日、助けに来てくれた友人とその部下の兵隊さん達に美味しいランチをご馳走する羽目になったのは言うまでもありません。(^▽^;)

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