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胖姐看中国  作者: 胖姐
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第百三話 翡翠のバングル

中国人及び華僑にとって、財産とは『持ち運びできるもの』でなければなりません。

歴史を振り返っても、政変により、命からがら身一つで国外に逃げ出すようなことが多いので、財産は身に付けられることが最重要。したがって、中国人はちょっとお金が貯まると純金や宝石のアクセサリーに替えたがります。


特に、”翡翠”は、中華圏ではダイヤモンド以上に財産としての価値が認められています。

日本では、ダイヤモンドを除く宝石類は、中古アクセサリーになると、金具部分の地金の価値しかなくなってしまうのですが、中国では翡翠は価値がまったく下がらない!

ここ数年来、中国のバブル景気に伴い、翡翠が異常なくらい値上がりしており、今では信じられないくらい末尾にゼロがついた価格の翡翠のアクセサリーが宝石店に並んでいます。


今から10年くらい前に、私が中国東莞市の工場で長期研修をしていた時のことです。

休日にデパートで”翡翠のくり抜きバングル”がワゴンセールされているのを見かけました。


「ふーん、1つ30元(約480円)かぁ……。」

「お客さん、1ついかがですか?」

「いやぁ……(;^ω^) 私は腕が太いから、こんな細いのは入らないよ。」

「そんなことないですよ。ちょっと腕を出してみて下さい。(おもむろに側にあったバングルを1つ取って、むりゅむりゅっと私の腕にはめて)……ほら、入った!よくお似合いですよ。」


店員さんが私の腕に無理矢理はめてしまったバングルは、かなりキツ目で、頑張って外そうとしたのですが、ちょっとやそっとでは外れそうにもありません。

時間もないので、その場で外すのを諦めて(値段も安かったし)、そのまま購入して帰ることにしました。


そして、翌日、やむなくバングルをはめたまま工場に出勤しました。

“翡翠”というと中国人女性の心を刺激するのか、私の周りには、あっという間に現地の同僚女性達の人垣が。


「胖姐さん、そのバングルどうしたの?」

「昨日、デパートのワゴンセールで、半分騙されて上手く買わされちゃったんだよね。」

「ちょっと見せてくれる?……あ~~、これはねぇ……。胖姐さん、このバングル、いくらで買った?」

「30元。」

「う~~ん、そうかぁ……。この値段だから、本当の翡翠じゃないことは分かるよね?材質は軟玉だと思うけれど、あまり質が良くないなぁ。建材レベル?……まぁ、30元ならば、いい勉強になったと思って諦めたほうがいいかもね。」

「騙されたのは自分が悪いので仕方ないと思っていますよ。ところで、このバングルの外し方を誰か教えてくれないかしら?」

「えっ!?!?!?…もしかして、試しにはめたバングルが外れないから、仕方なく買っちゃったとか……。」

「………(*´σ-`)エヘヘ」


あまりの私のおマヌケっぷりに、呆れて声も出ない同僚達。

ため息をつきながら、お風呂で石鹸かボディーシャンプーを腕に塗って滑らせて外す、または、手にビニール袋をはめて、その上を滑らせて外すという方法を教えてくれました。


「もう胖姐さんは外で知らない人に声を掛けられても、ハイハイ応じちゃだめよ。本当に危なっかしい人ね。」


私よりも10歳くらい年下の現地同僚達から、子供に対するように優しくたしなめられて、ちょっとシュンとなってしまった私なのでした。(´;ω;`)

先週末、久しぶりに懐かしの上海を再訪しました。街のあまりの変貌振りに驚きました。電子マネーが普及しており、老人に至るまでスマートフォンを操作して、代金の支払いしているのには本当にびっくり!昔、友人とよく通っていた地元料理のレストランは、PRADAとmiumiuの旗艦店になっていました……。私の青春の思い出がどんどん消えていきます。

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