幸せ
俺はロリ貴族とともにシャーロットの両親が転がっている地下牢に足を踏み入れた。
「こ、こいつは・・・・」
そこに転がっているのは精巧に作られた、蝋人形。このダルマを見たときに感じた強烈な違和感。あの時、何かが足りないと思ったが、その違和感の正体は・・・
「血が、まったく流れていない・・・」
俺の言葉にロリ貴族がうなずく。
「人間の血なんてそんなに大量に用意できないもん。誰かを殺しでもしない限り」
だから血の香りもしなかった。それでも明かりの乏しい地下牢だと死体にしか見えない。
「いったい、どうしてこんな手の込んだことを?」
俺の言葉にロリ貴族はうつむく。
「羨ましかったのよ。だっておかしいじゃないの。私はいつも屋敷でひとりぼっち。平民が家族と幸せそうにくらしているのに貴族の私がいつもさみしい思いをしてるなんて」
「両親は?」
「私が小さい時に死んじゃった。疫病でね。だから私、親のことは何も覚えてないの」
「今も小さいと思うんだけど」
「うるさいわね。私はもう10歳よ」
日本でいうと小学生か。両親に甘えたい年ごろだろうに。
「それで、蛇凶に依頼し、ソアラやシャーロットのように家族と暮らしている娘を狙って、引き離していたと」
「・・・そうよ。親子の愛なんて嘘っぱち。命を奪うと脅せば皆いうことを聞いたわ」
「例えば今回だと、蛇凶に大金を支払い、シャーロットの両親をさらって監禁する。さらに蝋人形を使って蛇凶とシャーロットに両親は死んだと思わせる。そしてその両親にはシャーロットの前から今後一生、姿を消すように依頼する。断れば命は無いと脅す」
「そういうこと」
なるほど。そういうことだったか。
「それにしても悪趣味だぞ。そんなことをしても拷問ロリ貴族が幸せになるとは思えない」
「私の名前はリリーネよ!!・・・でも自分がさみしくて不幸なのに、周りが幸せそうにしているのは耐えられないの」
うーん、わがままというか何というか・・・しかし、まともな親の教育もなく小さな子供が権力をもってしまえば、こんなふうに歪んで成長してしまうのも無理は無いかもしれない。日本でも、大人ですら自分が幸せになるわけでも無いのに、なぜか他人を叩く人がいくらでもいた気がする。
しかしそうは言っても、これは一体どうしたものか・・・。
うん、そうだな。
「じゃあさ、俺達と一緒に暮らさないか?」
「・・・はい?」
そう、幸せは自分の手でつかみ取らないとな。
伏線として、しつこいくらい「壊れた人形のような」「蝋人形」のワードを出してましたが、皆さん気付かれましたか?




