本音に似た嘘
チュンチュン、チチチ。
「……ん……ぅ……朝か……」
昨夜の夢の余韻がまだぼんやり残っている。
剣の稽古。古びた道場。守るべき何か――
そのとき、布団の中からふわりと甘い香りが立ちのぼった。
「おはよう、お兄ちゃんっ」
「……えっ?」
開いた目に飛び込んできたのは、金色の髪と、潤んだ瞳。
俺の胸元に顔をうずめるようにして、ソアラが入り込んでいた。
「ソ、ソアラちゃん!? な、なんでここに……!?」
「寒かったから、くっつきたくなっちゃった」
そう言って、ソアラは俺の胸に頬をすり寄せる。
寝ぼけてるフリでもしているのか、体を少しずつ押しつけてきて……その距離はもう、ほとんどゼロ。
「ちょ、ちょっとソアラちゃん……その……」
「わたし、ずっとお兄ちゃんが欲しかったの。甘えたくて、安心したくて……」
「お、お兄ちゃんて……いや、でもこれはちょっと距離が……」
言葉が出てこない。
吐息がかかる距離、体温が伝わる距離。
なんというか、いろいろヤバい。いや、目覚めにしては豪華すぎるというか。
ソアラの金髪がさらりと頬に触れる。いい匂いがする。
布団の中でソアラが身じろぎすると、さらっとした髪が俺の首筋に触れる。
わざとじゃない……にしては、背中に回した手の動きが妙にゆっくりだ。
視線を落とせば、ソアラのメイド服の襟元がずれて、胸元が見えている。
そのまま見上げる彼女の目が、何かを試すように。
俺をじっと、見つめていた―――
※面白ければ星マークのクリックお願いします!