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第11話 こいこい、異世界転生者

 カジノに入ったトールはギャンブルをするため、一目散に『パチンココーナー』へと足を運ぶ。


「これはヘソが開いてるから回りそうだな……あぁでも打つ時間そんなにないから一発台もありなんだよ〜、はぁ〜、迷うじゃんか!」


 魔王になって久々にパチンコと出会ったトールは目を輝かせ、一般人にはわかるわけもないパチンコ用語を呟きながら、置かれているパチンコ台を選んでいる。

 勝負に勝つため、台に刺さっている釘を1つ1つ目を細くして確認し、パチンコの球が穴に入りやすそうな台を選んでいた。


「よし、決めた! やっぱコイツしかないだろ! いや〜まだあったか、よかった〜!」


 色々見回ってみた結果、俺は昔から大好きだったパチンコ『宇宙番長銀太郎コスモバンチョウギンタロウ2』を打つことにした。


 俺が学生時代にどれだけコイツに触ったことか。

 コイツのおかげで美味しいご飯が食べれたこともあれば、学校の試験を受けるための金を全部持って行かれて、テスト前日に急遽徹夜で働いたなんてこともあったな。


 そんな思い出が色々詰まったパチンコ台に、俺はお金を入れ、椅子に座ろうとした。


「……あのう……何やってるんです?」


 しかし、俺が座る台の右隣で、パチンコ台に顔をなすりつけている変なヤツがいることに気がついてしまった。

 早く打ちたいと思っていたが、横でそんなことをされてたら流石に無視できないと思い、俺はその不審者に声をかけることにした。

 声をかけられたその不審者は、俺に質問をしてくる。


「なぁ、これって……もしかしてパチンコか?」

「えっ!? はい、そうですけど……」


 その不審な男はパチンコ台を見ながらパチンコかと聞いてくる。

 当たり前だろと思っていたが、俺はそうだと答えてやる。


「そうか! この世界にもパチンコがあるのか!? しかも絵が動いてるぞ、スゲー、スゲー!」


 俺は自分とそんなに歳の離れていなさそうな男がパチンコを見ながら大はしゃぎしているのを見て少し引いてしまった。


 カジノに来ててパチンコ知らないとかあるか? パチンコはここ数十年で出始めた新しいギャンブルだけど、人気だし、超有名だろ。

 絵だって動くさ。画面で数字が揃うから大当たりってなるんだから。

 ……でも今変なこと言ってなかったか? この世界にもって言ってたような……


 前が開けそうな服を紐で結ぶ、変な格好をしたその男の言動が気になっていた。


「なぁ、お前……」

「コラ! 何やってんだ!?」


 俺が声をかけようとすると、カジノのスタッフたちは声を荒げてその男を捕まえる。そして容赦無く外に追い出そうとする。


 カジノで変なことをすれば、すぐに追い出されるのは常識。

 手荒ではあるが店のルールだから仕方ないよなと思って、俺は助けに入らず、パチンコ台についている小さなハンドルに手を添える。

 そしてゆっくりと右に回し、パチンコの球を発射させようとしたその時。


「「うわぁぁぁあああ!!」」


 強烈な爆音と共に、さっき男を連れて行ったスタッフたちの悲鳴が聞こえたのであった。


 俺は席を立ち、急いで悲鳴が上がっていたカジノの入り口に行く。

 するとそこには倒れたスタッフたちを見下ろしていたさっきの男の姿があった。

 男の周りには見たことない絵柄のカードが宙を舞っていた。


「……お、さっきのお兄ちゃんやん。もしかして心配で来てくれたんか?」


 俺に向かって男は笑顔で手を振っていた。


「何があった!?」


 俺は状況を知るため、周りで見ていた客に問いかける。

 すると周りの客ではなく、その男が状況を説明し始めた。


「このおっちゃんたちが俺を無理やり連れて行こうとするから、俺の持ってた花札が片手に攻撃しちゃったんだよ。暴れるつもりなんてなかったのに」

「はなふだって何だ? それに君は……」

「ん、花札しらんのか? パチンコは知ってるのに? 変な世界やな、ここって。ああ、そうだ、俺の名前、鬼屋おにや椿つばきって言います。よろしゅう〜。君は?」

「えっ、俺? トール・フォン・ブルム」

「変な名前やな。まぁ、よろしゅう!」


 鬼屋椿と名乗る青年はヘラヘラしながら俺に手を差し出してくる。


 変な名前って……鬼屋椿なんて名前の方がよっぽど変だと思うけど。

 空に浮かんでいる『花札』と呼ばれるカードのようなものが気になってはいたが、俺は礼儀として握手に応じることにした。


 俺と椿は何故か握手を交わす。

 すると、倒れていたカジノスタッフの1人が俺の名を呼ぶ。


「魔王様……どうしてここに?」

「えっ、いやあの、その……」


 俺はスタッフの質問に「パチンコ打ちに来た!」と元気に答えていいものか、冷静に考えて、少し迷っていた。

 セントドグマの王になった自分が復興作業に取り組んでくれている国民がいる中、ギャンブルしに来たというのはどうなのだろうかと思ってしまったのだ。


 俺は何と答えればいいかを考えていると、椿と軽く握手してたはずの手が、どんどん強く握りしめられていくのを感じた。


 何かと思い、椿の顔に目を向けてみると、先ほどのヘラヘラした顔はどこへ行ったのか。

 今は鬼のような形相で俺を睨んでいた。


「トールやっけ? 君、もしかして魔王なん?」

「えっ、う、うん、そうだけど。一応俺がこの国の……!?」

「こいこい!!!」


 俺が魔王だと言った途端、椿は『こいこい』と叫び出し、空に浮かぶカードは急に俺に向かって来る。


 回避しようにも椿に手を掴まれ、逃げることが出来ない。

 俺は『吹き荒れる風(ブラスト)』を発動させ、体の周りを風の鎧で固める。

 俺に飛んでくる花札は想像以上の威力を持ち、握手した腕は肌の表面を切られ、血が床にしたたり落ちる。


「あん? 何やの、こりゃ?」

「くっ、吹き荒れる風(ブラスト)!」

「おおっと!?」


 俺は椿と距離を取るため、『吹き荒れる風(ブラスト)』を椿の腹目掛けて打ち出した。

 しかしその攻撃は椿の花札に阻まれ、威力は激減し、椿は自ら後ろに飛ぶのであった。


「ふぅ、危ない危ない。わりゃ風使うんか! 魔王って言うから火を吹くとか、雷落としてくるって思っとったぞ」


 椿にはダメージが無く、ニコニコしながらイメージしてた魔王について話してくる。

 俺はいきなりのことで何が起きたか理解できず、椿に目的を聞く。

 すると椿はペラペラと自分の素性を話し始めた。


「もっぺん言うわ。俺は鬼屋椿。日本っちゅう、こことは違う世界から魔王を倒すために来た勝負師じゃ。トール、悪いんだが死んでくれんか。いや、悪いヤツだから死んでいいんか、にゃはは〜!」


 椿は陽気に喋ってはいたが、俺への敵意を剥き出しにして、自分の周りに花札を待機させるのであった。

はじめましてゴシといいます。

読んでいただきありがとうございます!

この話を読んで面白そうって少しでも思ってくださる方がいてくれると嬉しいです。

まだまだ話は続いて行きます。これからも更新して行きますのでブックマークの方もよろしくお願いします!


下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

応援されてると思うとやる気めちゃ出てスラスラ書いちゃいます。

これからも愛読と応援のほどよろしくお願いします。

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