言葉。
もしも
もう一度生まれ変わって
この世界に生きることが出来たとして
私はきっと
やっぱり、きっと
あなたのその手を
探して掴んでしまうと思うの。
許されるのなら
あの頃に戻りたい。
「弘人っ」
「…おう。」
救われる道なんて
どこにも無かった。
「もう、聞いたか?優から。」
「なにを。」
「いや…俺らが別れたって話。」
「なんだよ。そんなんで呼び出したのかよ。」
「…」
バツが悪そうな顔してベンチの隣に座った達也は
やっぱりバツが悪そうに俯いた。
「それだけなら、俺帰るけど。」
「…謝りたかったんだよ。」
「は?」
「お前が引っ越す時、お前俺に言っただろ。」
「…」
「優のこと、絶対に大切にしてやってほしいって。やっぱり、俺にはできなかったから。」
「別に。俺にはもう関係ねぇよ。」
「関係ないって言いながら」
空が
「なんでそんな顔してんの。」
こんなにも…
「…」
「あいつさぁ。」
「…」
「お前が戻ってきてから、もう俺のことなんて見てなかった。」
「…なんだ、それ。」
「…わかってんだろ?あいつの気持ち。」
「…笑」
「…」
「あいつは俺が好きだもんな。」
「…お前、本当に変わっちまったな。」
「…」
「…本当に…」
「助けてほしいって」
「…」
「何度も思ったよ。」
「…弘人?」
「…情けねぇだろ。笑」
あぁ…
「…人が死ぬってさ…」
俺は
「…それが自分のせいなら尚更…」
失うものが
「もうどこにも逃げ場なんてねぇんだよ。…一生そこから離れることはできねぇんだよ。」
あまりに多すぎた…
「…弘人…」
だったら感情も
全部
「…」
捨ててしまおうと思った。
「…」
「悪いけど…俺はもうあいつのこと、好きじゃねぇし。」
「…」
「今更付き合うとかそういうの、考えらんねぇから。」
「弘人、」
「悪いけどもう」
「っ…」
「…もう、勘弁してよ。」
ベンチから立ち上がった俺に
「あの人に言われたこと、まだ気にしてんのか。」
達也はそう呟いた。
「…あ?」
「あの人が言ってることもわかるよ…けど…」
「…」
「…」
あの日。
「一生背負って生きていけ。」
あの日
あの人が俺に言った言葉は
今でも心に
心の一番深いところに
刺さって、痛む。
死んでしまえば
きっと楽になれただろう。
だけど
それさえも許されないことを
あの時
その言葉を聞いて
俺は思い知らされた。
奈々が死んでから
俺はどこにもいない
存在しない
なにも望まない
望まれない
なにも求めない
求められない
なにも
愛しちゃいけない…
「…」
嬉しいとか
悲しいなんて感情さえも
もう俺は
持ってはいけないと
あの人が言っているようで
掴もうとしたものが
手のひらから
ぽろぽろとこぼれ落ちていく。
こうやって
俺は
全てを失ったんだ。
【H28.9.20】




