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アイテムが欲しい、ただそれだけ  作者: 秋海棠


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37.丁度いいアイテムがあった

また少し短めです。


 攻略動画の視聴は参考になったといえば参考になった。


 下松中級ダンジョンボスのビッグシャーク攻略戦自体はあまり参考にならなかったけど、木の板をつなげて筏みたいなのを使っていたのは参考になった。

 そもそもあのサメ相手に免許のいらない船を出したとて、スピード面でも防御面でも全く意味をなさないだろう。

 せめてスピードが出る船とかであれば翻弄したり、罠をはれるかもしれないが、そもそも私は運転ができない。

 ただ降り立つだけでいいならば、朔太郎さんが使っていたような筏で十分ではないだろうか。アイテムボックスがあるのだから。

 それを今のうちに依頼して作ってもらう。

 それも一つではなく、壊れされてもすぐ出せるように複数個。

 まあ、まだサメを打ち倒す算段はついていないから攻略はもう少し先になるけど、依頼だけは先にしておこうと思った。

 なので、早速IDC担当の森田さんに連絡を取り、明後日、時間をとってもらえることとなった。


 さて、下松中級ダンジョン攻略はもう少し先だ。

 だが、市川中級ダンジョンのボス攻略動画を見る限りでは、準備をしっかりして挑めば今でも可能ではないかと思える。

 必要なのはボス、トロールの再生を止めるための道具。

 取扱注意のものが多いため簡単には手に入らないから、IDCに相談と報告をと、動画配信していたポンちゃんさんは言っていた。

 思えばこれも森田さん案件だった……二度手間になるところだったので、改めてこの件も相談したい旨伝えておいた。

 ちゃんと整理してから連絡すればよかった、忙しいのにごめんなさい森田さん。



♢ ♢ ♢



 森田さんに相談の日。

 オークション以来、久しぶりにIDC日本支部の本社に来た。やはり大きい。

 セキュリティが強化されていて、IDC所属の《挑戦者》であっても気軽に中には入れない。

 一階の受付で名前と用件を伝え、臨時パスを発行してもらい森田さんの元へ。

 

「お忙しい中、今日はありがとうございます」


「いえ、中級以上のダンジョン攻略はこちらもお願いしたいところですので、願ってもないお話でした。特に下松の特殊フィールドはまだまだ攻略方法は確立できておりませんから」 


 特殊フィールド。

 下松中級ダンジョンのボス戦フィールドは海だ。

 その前にも池や泥なんて階層もあるけど、階層の中でいくつも分かれているのでちゃんと足場もあり、足を取られて戦いづらいということはあるが、なんとかなる。

 だが、ボス戦の海は入った瞬間から海。浜辺は見当たらない。

 ボスボタンを押さず、階層を降りて入ったとしても、扉を開けるとすぐ海が広がっているんだそうだ。

 

「先日、朔太郎さんという方の動画を見まして……こんな筏を作れないかと」


 ネットで見つけた、真四角の筏の写真を森田さんに見せる。

 

「大きさは一辺三メートルにできればなって思いまして」


「三メートルですか……アイテムボックスへ入れてお持ちに?」


「はい、ボスボタンを押して落下してる時に下に出そうかと」


「そうですか……少しお待ちください」


 森田さんはどこかへ電話をかけ始めた。

 そう言った道具を作る技術部とかあるのだろうか?

 電話先に、このくらいの大きさで、真四角の筏だとどれくらいの期間で作成可能か、重さなどを聞いてくれているようだ。

 もはやできる前提で話は進んでいるが、そう簡単に作れるのか?

 「わかりました、失礼します」と電話を切る森田さん。


「お待たせいたしました。重さは大体三百キロほどになりそうですから、月姫さんのアイテムボックスであれば持ち運び可能ですね。ご連絡の時は複数個とおっしゃっていましたが、おいくつ必要ですか? 工賃なども含め、一つ十五万円ほどかかりますが」


「十五万か……最低三つはと思っていたんですが、多いでしょうか?」


「いえ、個数は問題ないとのことですので、おいくつでも。ただ、その分費用は嵩みますが」


「では、五つお願いします。こんなに必要ないかもしれませんが、今後のダンジョンでも使えるかもしれませんし」


「わかりました、五つで依頼しますね。できればお時間は一週間ほどいただきたいのですが」


「問題ないです、よろしくお願いします」


 小心者だから、サメに筏は壊される前提で五個お願いした。

 戦闘が始まれば決着がつくまで脱出できないから、足りないよりはいいかと思って。

 いや、足りないか?なんて思ってきちゃったけど、五個全てダメになったらもう負けと思おう。

 でも、やはり負けるのは嫌だから、筏以外にもしっかり作戦は考えてから挑もう。


 森田さんがまた技術部らしきところに電話をし、個数を伝え、見積書を出してくれと依頼をしている。

 しばらくして森田さんがタブレットを操作し、見積書を見せられ内容を確認し問題ない旨を伝えると、受注書を発行してくれた。

 それに署名し、前金をいくらか支払った。

 出来上がり、受け取りの際に残りの金額を支払うことに。

 


 続いて市川中級ダンジョン攻略の相談だ。

 この話を始めると、何やらいい案があると言い出した森田さん。

 なんでも、劇物の酸などをIDCで購入してダンジョンで使用する場合、必ず使用した量の報告と残量の報告が必要なんだとか。しかも、使用したことがちゃんとわかるように動画も撮らなくてはならず、アイテム「追跡ドローン」の使用が必須なんだとか。

 私は持っていないし、持っていない人のために貸し出しもあるらしいんだけど、それよりもいい案があると。


「このアイテムなどレンタル如何でしょうか?」


 そう言って森田さんが出したのは、小さな杖?だった。

 いや、それよりも……


「森田さんもアイテムボックス持ちだったんですね」


「ええ、初級ですが」


 森田さんが異空間から杖をさらっと出したので、ちょっと驚いた。

 IDCの職員だから持っていても不思議ではないのに、なぜか内勤なんだと思い込んでいた。

 よくよく聞くと、森田さんもダンジョンに入り調査を行なっているんだそうだ。

 私以外にも担当の《挑戦者》がいるらしく忙しいのに、合間を縫ってダンジョン挑戦と調査を並行しているとか。

 頭が下がります、森田さん。

 ついでにレベルも幾つなのかと聞いてみたが、笑顔で流されてしまった。

 めちゃくちゃ気になる……でも、最後まで教えてくれなかった。強いんだろうなぁ……


「話を戻しますが、こちら「マジックワンド(初級)」というアイテムです。一つの属性を選び、魔石を入れると、その属性の『ボール』攻撃が可能となります」


「『ボール』攻撃?」


「火属性であれば『ファイアーボール』、水属性であれば『ウォーターボール』などの攻撃魔法です。初級の属性魔石一つで十発放てます」


「すごい! そんなアイテムもあるんですね」


「はい、こちらは既に属性が選択されており、変更は不可ですが火属性です。レンタル料金一日につき5,000円、別途属性魔石の購入が必要ですが、如何でしょう? 劇物よりも月姫さんには良いのではと思いまして」


 なんでも、「追跡ドローン」を所持していない《挑戦者》にはいつもこっちをお勧めしているとか。

 料金が割高にはなるが、小さく嵩張らないからとても人気なんだそうだ。


「良いですね、それ! それお借りしたいです!」


「こちらは市川中級ダンジョンの入場手続き時にお申し付けいただければ、貸し出し手続きも共に可能です」


 魔法攻撃が出来るアイテム、これは心が躍る。

 自分は槍術士、スキルは使えても魔法は放てない。

 魔法を放つなんて、夢のまた夢が叶うなんて、心踊らない人はいないんじゃないだろうか?

 しかも火属性であれば、トロールの再生も防げるだろう。

 なんだか日常で実用的なアイテムばかり探していたから、魔法を放てるアイテムがあるなんて思っていなかった。

 今度から、全方向でアイテムは探すようにしよう。


 しかしやばい、早く市川中級ダンジョンに行きたくてしょうがなくなっている。

 だけど、今日は流石にもう遅い時間になる。

 明日以降、心を落ち着かせて挑もう。

 こういう時の勢いで行くと、良いことないのはわかりきっているからね。


 相談したいことも終わり、森田さんに「今日は色々とありがとうございました」とソワソワしながら挨拶をして、その場を後にした。

 きっと、浮かれ気分なのはバレバレだと思う。



お読みくださりありがとうございます!

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