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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
48/147

48:タナダタの町攻防戦(夜)-5-

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

2015/7/9:文章手直し

 意識が闇に吸い込まれ、ツリィムの世界へ没入を開始するがやけに意識の回復が遅い。第三組を率いる俺でこうなのだ、皆大丈夫なのか。


『ぐっ、瞼が重い……』


 火の操作で体を動かすこの世界で、目を開く事すら自力で出来ないとは。


『ビュンビュンビュンッ』


 たて続けに同じ座標へと没入してくる音が聞こえるが、第三組の皆も没入できたのだろう。


『動け、動け、動けぇっ』


 俺は制御を重ね、やっとの想いで眼を開ける。


「やぁ、君が一番のりだったね」


 俺の視界には、二十人の人物が確認できた。


 第三組の面子は確かに二十人である。が、俺を含めての話である。


『第四組も同じタイミングで没入を開始した、のか?』


 しかし俺には話しかけてきた人物の姿に記憶が無かった。


「すまない、私は第三組のリーダーアザルだ。君は第四組の者かい?」


 俺は制御をしつつ、丁寧に話しかける。声を出すのも一苦労である。


「いやいや、アザル様。私は違いますよ?」


 ギルド書庫内で軽やかな動作で受け応えする男性。


「いやね、ちょっとばかし力を貸してあげようかと」


 刹那


 俺の視界は高くなり、何が起こったのかと火の制御が不安定となる。


『うわっ、何だ!?』


 違和感を感じ、足元をみるといつの間にか先ほどの男性が俺を肩車しているのである。


「ほら、僕が連れてってあげるからさ。他の子達は引っ張るけど我慢してね」


 未だ他のメンバーは動き出していない、遠距離没入だけで精神力が相当削れているのだろう。


「ほら、行くよ!」


 俺は訳が分からないまま、ガシリと肩車をしてくれてる男性の頭を掴んで身を委ねるしかなかった。


「もしかして、貴方はギルド本部の方なのですか」


 軽やかに歩き続ける足元の男性に話しかけるが


「それもハズレ。もうちょっと奥だったよね、僕の傑作は」


 違うと否定する男性、首を何とか動かし第三組の皆を確認すると口をパクパクさせながら直立不動したまま不自然に体を滑らしながらついてきていた。


「リーダー・マダサキナノデスカ。ワタシタチはイマドウイウジョウキョウナンデショウカ」


 片言で話しかけてくる女性がいるが、俺は一言


「安心して身を委ねとけ、後で説明してやる」


 と、俺も実は何もわかっていないので後回しにしておく。しかし異常なまでに精神力が削れていく、これは十分どころではない。


『やばいな、このままだと五分も持たないぞ……』


「大丈夫だよ、そんな時間はとらせないから。ほらここ!」


 俺の心を読んだ? と疑問を持つも到着した場所は書庫の奥にある一室である。


「ほら、これこれ。いいよねー集束制御って。『フレイザーⅤ』を持ち帰って使ってみてよ。きっと気持ちいいから」


 男性はトンデモナイ発言をする。


「お、おい。『フレイザーⅤ』なんて……」


 俺がそう言おうとすると、背後からバシュンっと音が立て続けになり第三組の大半が現実へと戻っていった。


「あーあ、もう『耐えれない』のかー。でも無事に持ち帰ったようだし問題ないね」


 何を言っているのだろう。ランクⅤなんて規格外な物、神様でも扱えねぇよ!


「目の前にそれがいるじゃないかい。皆の物もたせてあげたんだから、ちょっとは感謝してよな!」


 俺を地面におろし、再び対面する男性。


「何を言って……」


 ニヤッと笑みを浮かべ、俺に一言。


「そりゃ、私が神様だからさ」


『ナン、だと……』


 と、途端に顔をしかめる。


「あちゃ、深浦の奴大丈夫かなー。直撃もらったんじゃね、あれ……」


 神様(自称)は考え込む、ツリィムの世界でそんな軽やかに細かい動きをするのだ、あながち噓ではないのかもしれない。


『ん、、、俺の考えてることがわかるって事は……』


「疑い深いねぇ、とりあえず残りの二十人も誘導したら私は戻るので、後は頑張ってね」


 俺の意識が現実に戻りだす。フレイザーⅤのデータを持ち、現実の戦場へと。


『あれ、そういえば深浦って名前どこかで……』


 どこかで聞いた珍しい名前にひっかかりながら、完全に意識は沈んでいくのだった。

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