49:タナダタの町攻防戦(夜)-6-
2015/7/9:文章手直し
「おい、大丈夫か」
ドサッと立て続けに人の倒れる音が重なる。
『こいつら、本当に大丈夫なのか?』
と疑問を抱きながら、俺達第五組は各々担当した第三組のパートナーを介抱する。
「おい、きぃ失ってる場合じゃないぞ!」
バシンッと強烈なビンタをお見舞いすると、アザルがスッと瞼をあける。
「おいおい、いてぇじゃないかバイン。没入後は実体との感覚差が激しいんだ、もうちょっと優しくしろや」
『とりあえず大丈夫、か。しかし』
あまりにも戻るのが早すぎる、シゼル・第一組・第二組は既に交戦を開始している。その交戦中に水鉄が放った二本の一筋の水を第二組が防ぐも、やけにでかい水鉄が放った一筋の水はシェルター地帯をそれたものの、大地を抉り一筋の傷跡を残した。
「もう大丈夫だ、立てる。ありがとう」
ぎこちない動きで立ち上がり、アザルは書物のページに火を宿す。
「まさか、な。夢じゃないのか……」
アザルが呟き、俺は問いただす。
「何があった、一斉に倒れるなんて異常だぞ。それにフレイザーは回収できたのか?」
フレイザーの回収が出来ていなかったとしたら、絶望的な戦況となる。パラパラとページが開かれていることから、何かしらのデータは回収しているようなのだが。
「やっぱりすまん、肩を貸してくれ。皆と話しがしたい」
本をパタンッと閉じ、意を決したように前に出て振り返る。
「おい、貴様たちも同じデータで間違いない、よな」
一体何の確認なのだろうか。俺は第三組の皆が皆フレイザー以外のデータを回収してきたのだろうか、非常に不安になってしまう。
「俺は間違いなく、今手元にフレイザーⅤを収めた。後は詠唱をするだけだ」
「ああ、俺もフレイザーⅤだ。訳が分からねぇ」
「あれは何だったのリーダー? 後で説明してよね?」
「は、はじめてこんな高ランクの本持ったわ……」
と様々な声が聞こえてくる。
「お、おい」
俺はつい力んでアザルの肩を掴み、振り向かせる。
「冗談、じゃないのか」
声が震える。この第三組は皆が皆、この短時間でフレイザーⅤを収めたというのだ。
「生憎、冗談がいえる状態ではなくてね」
手に持っている本から赤い輝きが発せられ、順に赤色に発行した文字が宙へと集まりだす。
「ほら、これがとっておきだ」
そう言い、空中にはリングの形状をした火の塊が五つ程並ぶ。
「お、お前、まじかよ」
俺は息をのむ。赤色の輝きをしたリングは、直列に並び順にサイズを小さくしている。その最後のリングは砂粒も入りそうにない程に小さい形状をしている。
「どうやら本当にフレイザーⅤらしいわ……」
俺達第四組は唖然としているが、続いて遠くから第五組と第六組の盛大な声が響き渡る。
「これはいけるぞっ!!!」
と、どうやら向こうもフレイザーⅤを持ち帰っているようである。
「おい、フレイザーⅤなんて放てるのかっ!?」
俺はふと疑問に思い問う。ランクⅤなんて今日初めておめにかかる品物だ、制御ができるのかと問いただす。
「はっはっ……わからん」
どうやら皆が皆、同じ意見だったようだ。
「君たち注目ー。動けるようだし問題ないよね? それは一発放つとたぶん全部もってかれると思うから、二人同時に制御する事をお勧めするよ」
いつからいたのだろうか、ギルド員以外の人物が俺達に声をかける。
「これは僕からの贈り物。二人での制御が出来る一品だから安心だね、これも一回きりの使い捨てだけどね」
そういうと、男性は俺たちの首に火のリングをかける。
「おいっ、貴様何をしたっ!?」
思わず声をかけるが、男性は無表情で答える。
「失敗しないでくれよ? 全滅なんて私は全くもって面白くないのだから」
俺達は何を見ていたのだろうか、先ほどまでいた男性の姿がスッと消失した。
それと同時に。
『な、なんだこれは』
唐突だった。体の中から火の力が流れ出す、そしてアザルの中へと吸われ続けているのがわかる。
「何だよこれは」
「わかんねぇ、けどこれなら……」
アザルが先陣をきり、詠唱を開始する。
「……」
詠唱というが、実際は火の制御を書物に宿す行動である。その証拠に五つのリングが急速に回転を始める。
「おい、俺に続け! お前等は一番左側だ。五組一体だ。それに続いてお前等はその右側、お前等はその右、俺達はあの中央の左側だいいな!」
第三組はシゼルの相手をする左側を。第四組は残りの右側を相手取る。
「しっかりと狙え! 外すなよ!!!」
アザルは出せる限りの声量で指示を出す。
「よくわからんが、アザル。俺の力全部使っちまいな!」
「助かるバイン、借りるぜお前の火を!」
手前の一番大きいリングの中央に火急が集まる。
『キイイイイイイン』
回転を速めるリングの中央に火が集束を始め、ツーっと火の輝きが先に延びてゆく。まるでランスの切っ先の如く、その先端を鋭い形に変え。
『ま、まだ第二リングでこれかよ。えげつねぇ』
俺はアザルに火の制御を任せるようにしてるものの、意識がとんでしまいそうな錯覚を覚える。
「きついぜこりゃ……」
アザルも思わず頷く。
「第三フェーズだ」
更に気が遠くなり、火の制御が危うくなる。
「まだだバイン、他の奴らも頑張ってんだ。俺達もしっかり制御するんだ!」
一番辛いであろうアザルに励まされてしまった、俺もまだまだである。
「ふん、言ってろ。俺の制御はこんなもんじゃねぇよっ!」
第四フェーズが進み、ついに第五フェーズへ。
「準備完了、サンキュなバイン」
アザルの声が聞こえる。意識はほぼ遠のいているが放つ反動くらいは俺も共に受けよう。
「やっちまえ……」
精一杯放った言葉の後、身を切り裂くような反動が全身を覆いソレは発射された。
僕は第五組のバインだよ!第五組のリーダーのお話だったんだよ!
たくさんキャラだしてスンマセン。




