124:ギルド本部へ-1-
俺達は今、クゥが喰い潰した大都市の上空を通り過ぎたところである。クゥといえば、あの冷凍タマゴの天ぷらを気に入ったのか、太陽の都に残ったのである。仲良くしていれば良いのだが、こんな惨状を引き起こした原因が近くに居てあの都の人達本当に大丈夫なのだろうか。少し心配である。
「ゆーたー、あそこで休憩しよっ?」
「応、タマコ頼んだ」
相変わらず、タマコに乗ると前方で仁王立ちスタイルをキープするモロさん。俺とサーモ、ミューズは後方でジッと座って振り落とされないようにしていたが、ここで休憩である。
「遊多さん、今更ですが良いですか?」
オアシスで水分補給をしていたら、サーモが俺に話しかけて来る。何故そんなに言い難そうにするのだろうか。
「あの、ですね……お金が無いんですよ」
はて、お金とな? そういえば太陽の都での滞在中も、何だかんだで皆にお金出してもらってたよな。
「応、お金が無いか。何か稼ぎ口探さなきゃなぁ」
「はぁ、やっぱり遊多さんはお金に無頓着なんですね」
「お兄ちゃんはバカだよなー」
お前に言われたくない、とは突っ込まず俺は考える。今後俺達にはお金が必要になるのか、うっ何だか頭が痛くなってきた。
「しかし、働き口といったらギルドで仕事探すくらいか?」
「ゆーた、料理人とか良いんじゃないかな!?」
「そうですよ、それ名案じゃないですか?」
「お兄ちゃんの料理の腕前は羨ましい、こんなお婿さんが私は欲しいな!」
ミューズの発言に二人がキッと睨みつけるが、口笛を吹きながら水を飲みに離れていってしまう。
「んー、俺は飲食業って好きじゃないんだよなぁ」
こう、もっとPCを触り続けれる仕事が良いと言うか。主にネットで情報収集が常に出来る職場が良いな。そんな妄想をしつつ、ネットが無いこの世界に俺は絶望する。
「ぐぅ、ネットやりたい」
「ねっと? 遊多さん、確かそれは異世界のツリィムの事ですよね?」
「そうそう、ツリィムの……おおぅ、ツリィムに没入したい」
「ゆーたー、そろそろ行こうー?」
俺とサーモは会話を中断して、再びタマコの背中へと乗る。
俺達は今、ギルド本部のある街へと向かっている。ギルド組織にとって俺の存在が気になるようで、御呼びがかかっているのだ。その事を、Ⅷ貴族が一人、ライラ様が俺達に伝えてくれたのである。
また、太陽の都へ近づいた時の様な事態にならないよう、事前にタマコの事も連絡を入れてくれているのだ、今回は安心して街まで辿りつけるだろう。
「おっし、取り敢えずギルド本部のある街、『トンカン』へ!」
俺が張り切って声を出してみるも、誰も反応する事無く再び空へと旅立つのであった。
さて、やっとこさ三章スタートです。




