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火の世界の豪炎  作者: PP
二章-精霊降臨-
107/147

107:チャオ

 俺はセンチの説得に成功して、二人で再びライラ様の館へと戻っていた。


「ただいまー」


 戻ると、部屋では神様二人とタマコとジュさん、サーモとミューズとぺアになりそれぞれ雑談をしていたようだ。


「遊多、おかえり」


 サーモが一番最初に反応して駆け寄ってきた。


「あ、センチさんもお久しぶりです」

「何よサーモ、私はついでかしら?」

「そんな訳では」

「ふふ、わかってるわよ。それで知らない顔が増えてるわね」


 センチへそれぞれを紹介していく。


「あの奥で語り合ってるのが火の神様で、名前をトップってつけといた。そんで隣には」

「まって、またアナタは神様に名前なんかつけちゃって、良いのそんな事して」


 呆れ顔で突っ込まれるも、本人《神様達》が受け入れてくれてるので良いんじゃないかな、と返しておく。


「貴女がセンチさんね。私はジュよ、よろしくね」

「あ、はい」


 続いてミューズが近づき、お互い挨拶をする。


「ヒヒ、お兄ちゃんが世話になってるよ」

「え、ええ」


 これで一通り全員が顔見知りになった訳で、俺は改めて作戦会議を実行することにする。


「皆、モロの為に力を貸してくれてありがとう。でもイベント参加条件を満たしただけで、これからが正念場なんだな」

「そうよ、味勝負よね」


 センチがすかさず本題、味勝負と言う。


「そうだ、味勝負で勝って初めてモロを奪還できるんだ。そして、改めて聞くけど料理出来る人はいるかな?」


 俺の予想では、サーモとセンチしか料理は出来ないと推測している。


「火の神《創造主》の俺がわざわざ料理を作れるとでも?」

「わはっ、私は食べ専だよー」


 とまずは神様達、しかし。


「料理はしたことが無いが、この世界の味くらい何でも再現《創造》はやってみせるよ」

「食べ専だけど、私も伊達に神様してるよー。料理くらいスグできるわ」


 と、料理が出来ると言い切る二人の神様。


「タマコは料理わかんないよー、タマゴなら出せるよー」

「私も料理はしたことないな、でもお茶なら任せてもらっていいよ。うんと美味しいトレント茶をいれてやるよ」


 今度は人ならざる者二人が言う。続いてサーモとミューズ。


「遊多さん、魚なら捌けますよ。他はちょっと苦手です」

「王族が料理なんぞするものか、ヒヒヒ。でも戦場となれば力を解放してやろう、きっと私の才能でどうとでもなるわ」


 最後にセンチさん。


「簡単な料理くらい出来るわ、でも本当に簡単な物だけよ」


 俺も一応続ける。


「俺も簡単な物くらいなら作れるな、作ったことないけどレシピだけなら大量にあるわ」


 そして俺の発言に皆がジト目で睨んでくる、何かマズイ事言いましたか?


「遊多さん、料理出来るんですか?」

「お、おう。クゥにだって初歩かもしれんが卵巻きを作ってみせたろ」

「そ、そうなんですか」


 と、引き下がるサーモ。何故か悔しそうにしているが、今は気にしないでおこう。


「取り敢えず、一度調理場かりて試してみるか」


 と俺の発言に合わせたかのように、バウバウが俺の頭に乗っかる。いつから居たんですかこのワンコ。


「バウバウ」(無事揃ったようね、味勝負は一週間後。ギルド地下、新大型スタジアムで開催よ。勝負内容はチャオ、5000皿の用意よ。調理時間は三時間、審査員は集まってくれたお客さんとⅧ貴族よ)


 滅茶苦茶な量を要求してくるバウバウさん、しかしバウバウは続ける。


「バウ」(食材や道具は各自で用意、見事私達Ⅷ騎士に勝てばモロさんは返してあげるわ。何度でも挑戦は受けるから一回負けたくらいで根をあげないでね)


 と言いたいことだけ言い、バウバウは俺の頭を踏み台に部屋の外へと駆けて行く。小型犬の駆ける姿は可愛い。


「厄介なお題がきたものね」


 とはセンチのつぶやき、炒め料理なんてレシピは大量に持ち合わせているし、そこまで難しくないと思ったのだが。


「遊多さん、どうしましょうか」


 サーモまでが不安げな声で俺に迫る。何がどうなってるのだろうか、俺はキョロキョロと戸惑うと意外にもミューズがこたえてくれる。


「ヒヒヒ、油を扱えというのか。このイベント主催者は鬼畜だね」

「油が何かまずいのか?」

「ヒヒヒヒヒ、お兄ちゃんは何もわかってないんだな。まぁ一度調理場に行って試したらわかるわよ」


 ミューズの不穏な発言と共に、俺達はライラ様の館にある厨房を借りることになったのだった。



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