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火の世界の豪炎  作者: PP
二章-精霊降臨-
104/147

104:大所帯

 俺はⅧ騎士の二人と会話を終え、モロを連れて帰る事も出来ずライラ様の館へと戻る。


「ヒヒヒ、それにしてもモロという子はタマコそっくりだ」

「うんー、同じなのー」


 そんな会話を聞きながら、俺は一人悶々悩んでいた。


「遊多さん、大丈夫ですか? お茶いれてきますね」

「ヒヒヒ、私も手伝うよ」

「あ、私は熱々で頼むよ」


 ちゃっかりクゥは熱さ指定までしている始末だ。俺の気も知らずに。


「てか、何で皆俺の部屋に集まってるんだよ」

「タマコは何となくー」

「主様、皆気にしておるんだよ」

「お、応。そ、そうか……すまなかった」


 しっかりと気にされていました、皆ありがとう。


「で、主様どうするの?」


 クゥが核心をついてくる、俺は悩んでいるのだ。


「どうするも、知り合いがな……」


 味勝負には八人という人数が必要になるのだ。そして俺の周りにいる人物と言えば。


 まずは、サーモである。光り物大好き弓師の一三歳。可愛い女の子だ。黒髪が肩の辺りまで伸びており、ちょっぴりきつそうな瞳とふっくらした頬は幼さよりも背伸びした大人っぽさを感じさせる。身長は俺よりも低い158cmであり、俺と出会ってからはずっとサポートをしてくれている頼れる子である。料理の心得もきっと、あるはずだ。


 次にクゥ。暴食の神様であるこの幼女は、食べれば食べる程胸が膨らむ素敵な幼女である。実年齢は知らないけど、知りたくもない。間違いなく……。身長はサーモと近く160cm程だが、これが本当の姿かは怪しい限りである。俺の世界でいうところのゴスロリ系幼女なんだろうが、ローブがメインの服装の南の大陸で見た目をどうこう言っても始まらないので省略してしまう。料理の心得? 間違いなく食べ専だろう。


 三人目はミューズ。タナダタの町でローブに着替えてるのでこちらも服装については言及しない。ザイ国の王族であり、戦神の加護を得ている一六歳だ。俺よりもちょっとだけ背が高い166cmだ。顔がよく崩れる、悪い方向にだ。これも狂人化の後遺症なのか、喋る時もヒヒヒと良く笑う。今は狂人化から解放されたと豪語してるが、俺の豪炎:壁ドンが浄化作用になった理由は定かではない。料理は、王族はやらないだろうな……。


 四人目はタマコ。コカリリスの女の子。擬人化の力で見た目はモロとそっくりの姿をしているが、その実はコカリリスである。鳥頭なので基本的にはバカなのだが、憎めない奴である。身長は168cm、黒髪セミロングでモロと見分けるには頭からはえてるアホ毛で見分けれたりする。鳥の姿だと、人が十人は乗れそうな程の巨体になり、スタイルを良くした鶏とでも表現しようか。移動の際には非常に助けられており、豪炎:フェニックスに反応してくれる頼もしい奴だ。料理は、うん。どちらかというと食べられる側だから何も言わない。


 そして俺である。そう、俺を含めて五人しかいないのだ。更に料理出来るのはきっと俺とサーモだけなのだ。悩ましい、ぐぬぬぬぬ。


「ふふ、何か楽しそうな事になってきたわね。私も微力ながら助太刀しようかしら?」


 そして何の前触れもなく俺の隣に座っているのはトレント族のジュさんだ。身長が170cmと、俺よりも大きい大人のお姉さんだ。優しそうな柔らかな顔つきに、垂れ目が癒し力抜群である。言いたい事をズバズバ言うけど、ふふって笑い方につい流されてしまう。精霊世界の住民である。きっとお茶をいれてくれたくらいだし、料理は出来ると思いたい。


「何で当たり前のように居るんですか、驚きませんけど」


 この世界ではもう何が起きても驚かないようにしている、つもりだが内心めちゃくちゃビビッたのは秘密だ。


「あら、いいじゃない。折角来てあげたんじゃない、貴方が連れてきてくれたんでしょ?」


 と指さす先はローブに装着していた樹の枝である、今は花瓶に何となく水をいれて木の枝を飾っていたりするが。


「ああ、あの枝があれば来れるんですね」

「そういう事、細かい事は気にしないでね?」

「はい、ところでジュさんは料理は出来ますか?」

「ん? 精霊世界では料理どころか食事の必要がほとんど無いからねぇ」

「あっ、はい」

「そんなことよりもここって大所帯ね、変なのが混ざってるし」


 ジュさんはタマコとクゥを一瞥し、そして話を戻す。


「それに、そこの御方はまさかね……」


 その視線の先を見ると、お茶を受け取る男の姿が。


「何で貴方様まで居るんですか」


 俺は思わずジト目で突っ込んでしまう。


「深浦、よく暴食の神を手なずけた。困っていたからね、俺達も。そのお礼くらいは必要だろう? 俺も参加してあげるよ味勝負に」


 お茶を優雅にすするのは間違う事もない、火の神様である。この世界で一番お偉い、創造主様である。三代目らしいけども。


「わはっ、火の神じゃん。何か面白いネタでもあるの?」

「わわっ、やめろよ近づくな暴食。そのさり気なく近づいて神を喰うのをやめろ」


 ポカンと拳骨を放つが、クゥは喜んでその拳をほんの少し膨らんだ胸で受け止める。勿論、火の神と接触して胸が少し膨れたのは言うまでもない。


「もぅ、やっぱ貴方より先代の方が話やすかったわ。暴力はんたーい、はんたーい」

「ぐぬぬ、けしからん奴だ。まぁいい、俺も手伝ってやるから有難く思いな」


 偉そうに言う火の神様、実際創造主の三代目なのだから偉いんだけども。


「はい、正直滅茶苦茶に困ってました。だから有難く、お願いいたします」

「よしよし、わかれば良い」


 と話し方は偉そうだが、クゥに抱き付かれて引き離そうと必死である。身長は170㎝程で、中肉中背だがきっとあの見た目もクゥ同様本体ではないのだろうと推測している。イケメン仕立てだが、何故か髪型がツンツンヘアだったりする。神の世界で流行っているのだろうか?


「取り敢えずこれで七人か、後一人だな」


 俺は声に出し現状を再確認する。後三人集めなければならなかったが、あっという間にジュさんと神様の参戦で残るところは一人なのである。


「そうだ、深浦。俺にも名をつけてくれ、暴食だけ名があるのは気に食わん」

「はいはい、そうですね」


 適当に反応しながら、俺は適当に名をつけておく。


「そうだな、うーん。この世界の頭だし、トップでいいんじゃないか」

「ふむ、それでよい。今日今この時から俺はトップだ、皆宜しく頼む」


 思わず皆苦笑いだが、今は火の神様の力だって借りてモロを取り返さねばならないのだ。


「後一人か」


 俺のこの世界での知り合いは誰が居るか考える。最近あったのは海道と理深である、が二人ともまだ北の大地に居るだろう。無事だろうか?


 北の大地といえば、女リーダーのワーカー、副リーダーのシャイン、俺達を案内してくれたハエンさんの三人とも知り合ったっけか。しかし同じくまだ北の大地に居るだろう。


 それならば、南の大陸に居る知り合いか。メイさんにシゼルさん、シャーケの皆、センチさんも居るな。おお、俺いつのまにこんなに沢山の知り合いが出来てたんだ……。


 そんな事を思いだしながら、俺は一番可能性の高い人を選び出す。


「センチさん、しか居ないか。メイさんが居れば心強そうだけど、遠いしなぁ」


 センチならば水運びでここ、ライラ様の館へと必ず来るはずなのだ。そこを捕まえようという算段である。


「私も、センチさんならいいと思います。きっと助けてくれる」


 サーモも、俺の意見に賛同してくれる。


「タマコもセンチがいいー、優しいもんー」


 タマコも賛同っと。


「ヒヒヒ、まだ他にも女がいるのかなお兄ちゃん?」

「俺は誰でも構わん、でもお前は近づくなっ」

「わはっ、照れちゃって。トップ君は恥かしがりやなんだから、私も誰でもいいわ」

「私も、良いわよ」


 ミューズ、トップ、クゥ、ジュさんと続いて賛同を得て俺はセンチを探しに部屋を飛び出すのであった。

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