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火の世界の豪炎  作者: PP
二章-精霊降臨-
102/147

102:そして再び舞い戻る

「重いよー」


 タマコの嘆き声が空高く響き渡る。現在俺達はタナダタの町から出発して太陽の都へと向かっている。


 俺とサーモ、クゥにミューズと四人を乗せたタマコは文句を言いながらも俺達を乗せ、もう視界に太陽の都が入る程度まで近づいていた。


「それにしても都、大分変ったなぁ」

「そうですね」

「ヒヒヒ、あれが太陽の都か。っとと、こんなのに平然と乗るお兄ちゃん達は変だな! ヒヒヒ」

「主様も変なのをどんどん連れて、変態だな!」

「うー、タマコの事は無視なのー?」


 それぞれが思い思いの事を話しながら、徐々に近づく太陽の都。そこは依然みた都よりも一回り、いや二回りも外周が広がっており、突貫工事で作ったのかハリボテの外壁まで上空からだとみてとれる。


「お前が都市一つ食うから……」

「主様、終わった事を気にしてたら良い男になれないよ?」

「クゥさん、そこは気にしましょうよ」

「ヒヒヒヒ、都市を一つ潰したのかコイツが?」

「コイツとはミューズよ、失礼じゃないかな? お姉さんに謝りなさい」

「なっ、ちょっと胸がでかいからって生意気な」

「笑う余裕もないのかしら? わはっ、可愛いなぁミューズは」

「ヒ、ヒヒ。絞めてやろうか小娘が」

「良い度胸してるじゃない、そうね? 何して勝負しようかしら」

「うー、タマコの上で暴れないでー」


 こんなしょうもない雑談を続けながら俺達は太陽の都へと到着する。今回は直接ライラ様の館前で降りたため、非常に楽な移動となった。


「モロー」


 降りて速攻俺は、モロが気になり休養している部屋へと向かう。が、そこはもぬけの殻だった。


「おや、深浦君じゃないか。もう戻ったのかい?」


 そこにタイミングよく表れたのはライラ様である。俺は思わず失礼を承知で訪ねる。


「お久しぶりです、ただいま戻りました。それで、モロは!?」

「はは、落ち着きたまえ。そうだな、今はサンド亭に居る時間だね。行ってみたらいいよ」


 俺はありがとうございます、と一礼してすぐにサンド亭へと駆ける。事情を説明したら、皆は後ろからタマコに乗って後を追ってきていた。俺も乗っていった方が速かったとは薄々気づきながら、勢いに任せサンド亭まで猛ダッシュをする。


「はぁ、はぁ。モロ、無事か!」


 サンド亭に入ると、そこにはカウンターの奥に立っているモロを発見する。


「いらっしゃいませー、て遊多だ!」


 その場でピョンピョン飛び跳ねてみせるのは、精霊界とのリンクが断たれているモロであった。しかし、その服装は……。


「な、お前その格好どうしたんだよ」

「モロ、働いてるのー。ぐすんだよ」


 モロは涙を浮かべながら、俺を見詰めてくる。今のモロの姿はここサンド亭の制服を纏っており、体調が良くないにも関わらず働かされているのである。


「くぅ、遅くなってごめんなモロ。すぐに……」


 俺は精霊降臨をやろう、と言おうとするがふと思いとどまってしまう。


『口づけをするだけでいい』


 とはジュの言葉である。そう、今すぐ精霊降臨を行おうとすると人目が多いこんな場所でモロと接吻をする事となるのである。


「おっ、深浦じゃんか。やっと戻ってきたか」


 カウンターの奥から更に一人の男性が現れる、この馴れ馴れしい奴は。


「パリィか、モロを返してくれないかな」

「ははは、相変わらず無茶振りが好きだなお前さんは。しかしその返事は出来ない、だ」

「なん、どうしてだよ?」

「そりゃ、色々とお偉いさん方の考えって奴があるんだろうさ」

「何だよ、それ……」


 まぁ座れ座れ、と案内されるがままに席に座る俺達はモロが運んできたメニューを受け取る。


「これ、どうぞ……」


 モロはそれだけ言って、カウンターへと戻っていく。


「本当に、何なんだ」

「遊多さん、落ち着いて」


 そんな俺を気遣うサーモに反して、ミューズとクゥはメニューで何を選ぶか討論しているようである。タマコはというと、席に座ったら目をギュッと瞑ってしまっている。


「バウバウ」

「そう、落ち着いたらいい」


 そしてさり気なくⅧ騎士の内の二人が同席していた。一匹は小型犬のバウバウ、もう一人は土の精霊ワズが同席していた。


「お、応。久々だな、バウバウと……ワズ、さんだっけか」

「うん、覚えていてくれて嬉しい」

「バウバウ」 


 そして俺達は食事を取りながらⅧ騎士に再び絡まれる事となるのであった。

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