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最終話 夫婦円満?

決勝トーナメントは二人とも順調に勝ち進んだ。

そして、夫婦決勝と決まった。



試合会場

「はい!夫婦で決勝を良い闘いに出来たらと思います」

綾はインタビューに答えていた。


「今、オニオンさんは?」

記者からの質問に

「…んーっ」

綾はキョロキョロと辺りを見回し

「あ、あそこにいます……ね!!」

貴俊は女性ファンに囲まれてデレデレしていた。



「…すみませんがあれ、皆さんで撮っておいてもらってもいいですか?」

「えっ?あっ、はい」

数人の記者が一斉に貴俊を撮り始める。

その異常なフラッシュの数に気付いた貴俊。


「まぶしっ!……やりやがったな」

そのまま綾の所へ向かう。


「何か勘違いをしている!!」

貴俊は強気に綾に迫った。


「…何が?あんたの人気を撮ってもらっただけだけど?」

「…え?」

貴俊はしてやられた。


「何?やましい気持ちでもあったの?」

「…無いよ」

「じゃあさっきの言い方は何?」

「ごめんなさい」

「何に対してのごめんなさい?」

「勘違いをしていると勘違いしていたことに」

「勘違いって?」

「か、んちがい?」

貴俊は大袈裟に首を傾けた。


「ごまかせるとでも?」

「…テレビの前だよ?」


「……もう!あんたがどれだけ人気か知ってほしかっただーけ、ふふっ」

綾は貴俊と強引に腕を組んで、肩に頭を乗せた。

そして小さな声で

「後で覚えてろよ?」

と呟いた。


「ははっ、ははは!もう!」

貴俊は笑うことしか出来なかった。

「ねぇ!もう、ねぇ!」

そして記者達にも笑うように誘った。




控室


「綾、さっきのはダメじゃない?」

「何が?」

「いや」

「私がインタビュー受けてるときに他の女と腕組んだりピースしたり握手したりしてるからでしょ」

「ファンサービスってものがあるでしょ?」

「…ねぇ、知ってる?」

「ん?」

「私は男性ファンとは少し離れて写真撮ってるの」

「……」

「腕も組まないしハートマークも作らない」

「……」

「ごめん、これは私の勝手であんたに押しつける事じゃないわよね、忘れて……」

綾はその場から離れた。


「あっ、ちょ!ごめん!」

「いいわよ、別に。私が勝手にやってた事だもん」

「ちょ!」

綾はスタスタと出ていってしまった。


「…やっちまった」

貴俊は頭を抱えながらその場に座り込んだ。



「フッフッフ、揺さぶりオーケー!!」

綾は悪い顔をしていた。


後ろを振り返ってみると頭を抱え、泣き出しそうな表情の貴俊がいた。


「…少しやりすぎたかしら」

悪いことをしている気持ちになってしまった。




決勝

名前が呼ばれた二人は別の方向からステージに上がった。


「綾、あの…」

「…私も言い過ぎたわ、ごめん」

「僕もごめん」

貴俊のダメージは大きかった。

そんな貴俊の姿を綾は見ていられなかった。


「……猫背!!」

「…!!はい!」

貴俊は背筋をピンッと真っ直ぐにする。


「眉毛がハの字!!」

「はい!」

「頬を少し細めて!」

「……」

「返事は!?」

「はい!いや、声を出すと頬は戻るって…」

「口答え?」

「いえ!」

「シャキッとしなさい!!」


綾は貴俊の体を思いっきり叩いた後で

「さっきはごめん」

と言い、席に向かった。



「…ったく」

貴俊は少しにやけながら席に向かった。



試合開始

ステージ上ではまるで楽しんでいるかのように笑顔で闘う二人がいた。




「あんた、そんなに大きなステーキ食べられるの!?」

貴俊の前に出てきた料理を見て綾は心配した。

「…大丈夫!!」


大会は貴俊の優勝に終わった。

綾は自分の中にある少しの罪悪感にさいなまれ、とどめをさせる場面で手元が狂ってしまった。



そして訪れたステーキ屋。

貴俊は調子に乗って普段食べない量のステーキを注文していた。


「……おいしい!」

貴俊は止まることなくステーキを食べている。


「いや、おい、ちょっと待て」

「ん?どうしたの?美味しいよ?」

「…うん、今ので確信した。普段の私の料理は不味いって事だな?」

「…え?」

突然の綾の言葉に貴俊は動きが止まった。


「そんなに食べる姿を見たこと無いし。美味しいとそうやって食べるんだ……。ごめんね、私の料理が不味くて」


「い!いやいや!!綾の料理もとても美味しいよ!!」

「…じゃあ何で毎日少し残すの?」

「……それは、その」

確かに貴俊は綾の料理を残していた。


それは食べる量が少ないからだと綾は思っていたが今それは違ったと思った為に攻めに攻めようとしていた。


「はっきり言って?」

綾は上目遣いで聞いた。


「……うん、ちょっと美味しくないかな」

「じゃあ日本に帰ったらあんたが料理当番ね!!」

「えっ?ちょっと!?」

「あんたが作る料理はさぞ美味しいんでしょうね!?」

綾は腕を組んでそっぽを向いた。


「…綾?言わせてもらっていい?」

「な、何よ」

「…作ってないよね」

「な!ななな、何をバカな事を!!」

「…僕はね、結婚する前までは惣菜ばかり食べてきた。何が言いたいかわかるよね?」

「…そ、そそそ!そんな事。そ、そうよ!証拠!証拠は!?」


「…この前の焼きそばは作ってくれたでしょ。あんな美味しいの惣菜で食べたことない」

「そうでしょ!?私、焼きそばだけは得意なんだ!!…あっ!!」

「…結構チョロかった」

「な!何がよ!へん!そうですよ!毎日スーパーの惣菜を皿に乗せかえてましたよ!!」

綾は自供した。


「日本に帰ったら毎日二人でご飯作ろう?」

「…そうしたらあんたの家事担当が全部になるけど?」

貴俊は料理以外の家事を全て担当とされていた。


「…ご飯だけは家事って事にしないで二人で作ろうよ。買い物も一緒に行ってさ」

「………そ、それでいいならいいわよ?」

「うん、じゃあそうしよう」

「…なんかムカつく」


「何で!?」

「いつか私の手料理であんたをギャフンと言わせてやる!」

「料理食べてギャフンはないと思う……」

「口答え?」

綾は右手にフォークを持った。


「うん、落ち着こう。それはダメだ」

「別にあんたを刺そうとはしてないわよ」

「そう見えたよ?」

「じゃあ今夜はそうしてあげる」

「遠慮しておきます」

「…プッ、ハハハハ」

「ハハハ…、え?」


二人はその後もプロとして活動を続けた。

常に日本のトッププレイヤーとして研鑽しあい、その戦術の広さから貴俊は運営会社のオブザーバーとして迎え入れられる事となった。


そして貴俊が浮気して綾からとんでもない目に合わされる事になるがそれはまた別のお話……。

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