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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第一章 異世界転生したら牢屋の中でした
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第一章 第九話 迷宮に閉じ込められました

落ちる。


それはもう見事に落ちた。


異世界に来てから何度も転んだ。


何度も落ちた。


だが今回が一番深かった。


「ああああああああああっ!!」


落ちる。


暗い。


怖い。


痛い。


帰りたい。


『落下中です』


「知ってる!」


『かなり落下しています』


「それも知ってる!」


『Very dangerous.』


「英語で説明するな!」


ドォォォォン!


衝撃。


全身が跳ねる。


肺の空気が全部出る。


「ぐえっ!」


死んだと思った。


本気で死んだと思った。


だが。


死んでいなかった。


『生存確認』


「生きてる……」


『奇跡です』


「俺もそう思う」


周囲を見る。


暗い。


非常に暗い。


石造りの通路。


冷たい空気。


どこまでも続く闇。


どう考えても迷宮だった。


「帰りたい」


『同意します』



しばらく歩く。


歩くしかなかった。


上を見ても出口は見えない。


壁も高い。


登れない。


つまり。


進むしかない。


「なんでこうなるかなぁ……」


『転倒回数が多いためです』


「そこまで言うか」


『事実です』


「反論できない」



十分後。


問題発生。


遠くから音が聞こえた。


カツン。


カツン。


カツン。


何かが歩いている。


「チャッピー」


『はい』


「何だと思う?」


沈黙。


数秒後。


『分かりません』


「いつものやつか」


『でも嫌な予感はします』


「俺もだ」


角を曲がる。


そして。


見つけた。


骸骨だった。


動いている。


剣を持っている。


歩いている。


明らかに死んでいるのに歩いている。


「なんだあれ!」


『スケルトンです』


「知ってる!」


ゲームで見たことある。


だが実物は見たくなかった。



スケルトンはこちらに気付く。


赤い目が光る。


そして。


走ってきた。


「逃げろぉぉぉ!」


『賛成です』


全力疾走。


異世界に来てからずっと走っている気がする。


もしかすると俺の職業は冒険者ではなく逃走者かもしれない。


『後方接近中』


「どれくらい!?」


『速いです』


「雑だな!」


角を曲がる。


さらに曲がる。


さらに曲がる。


そして。


見事に壁へ激突した。


ゴン!


「痛っ!」


その瞬間。


天井から石が落ちた。


巨大な石だった。


そして。


スケルトン直撃。


ガシャーン!


粉々になった。


「……」


『……』


「助かった?」


『助かりました』


「またか」


『またです』



その後も地獄だった。


巨大ネズミ。


毒虫。


動く鎧。


全部出た。


全部逃げた。


全部偶然助かった。


『生存確率22.8%』


「下がってるな」


『迷宮ですので』


「納得したくない理由だな」



さらに奥へ進む。


すると。


突然。


光が見えた。


「おお!」


『出口ですか?』


「出口だ!」


『たぶん』


「たぶんでもいい!」


俺は走った。


全力で走った。


希望だった。


文明だった。


借金取りすら恋しい。



巨大な扉が見えた。


開いている。


その向こうには明るい空間。


俺は感動した。


「帰れる!」


『Congratulations.』


「だから英語やめろ!」


扉をくぐる。


そして。


俺は固まった。


「……」


『……』


「チャッピー」


『はい』


「出口じゃないぞ」


『そのようですね』


目の前に広がっていたのは。


さらに巨大な空間だった。


森。


川。


崖。


空まである。


地下とは思えない世界。


「何だここ」


『迷宮第二階層と思われます』


俺は膝をついた。


「帰りたい……」


『私もです』


その時だった。


遠くから角笛の音が聞こえた。


ブォォォォォォォ……


戦の始まりを告げるような音だった。


そして。


崖の上を見る。


無数の影。


巨大な豚のような魔物たち。


武器を持っている。


鎧を着ている。


「……」


反対側を見る。


今度はトカゲ人間。


こちらも武装している。


数が多い。


異常に多い。


「チャッピー」


『はい』


「嫌な予感しかしない」


長い沈黙。


そして。


『Extremely bad.』


「英語で言うな!」


次の瞬間。


角笛が鳴り響いた。


大地が震える。


二つの軍勢が動き出す。


戦争だった。


どう見ても戦争だった。


「なんで俺いつもこうなるんだ……」


誰も答えてくれなかった。


チャッピーすら沈黙していた。


第九話 完

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