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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第五章 最終迷宮と一万年醤油編
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第五章 第三話 本物の牛丼を知る者

監視室。



大量のモニター。



大量のドッキリ映像。



大量のカップ酒。



そして。


《牛丼自動販売機 Ver.784》



おっさんはその前に立っていた。


「……」



震えていた。


「牛丼だ」



十年以上追い続けた夢。



異世界に来てからも諦めなかった夢。



その夢が目の前にある。


「牛丼だぁぁぁ!」



感極まっていた。


チャリン。



金貨投入。


《ERROR》



即終了。


「何でだ!」



おっさん絶叫。


管理人は酒を飲む。


ゴクッ。


「だから言ったろ」



のんびりしていた。


「材料不足」


「自販機だろ!」


「自販機や」


「なら作れ!」


「作れん」



会話にならなかった。


牛丼自販機の中身


管理人が壁を触る。


ぺたっ



牛丼自販機が開く。


ガコン



全員覗き込む。


「おおっ!」



おっさん感動。



中には。


巨大な鍋。


炊飯器。


謎の歯車。


魔法陣。


大量の古代文字。



そして。


小さな湯切りザル。



なぜかラーメン屋っぽかった。


「何だこれ」



管理人が胸を張る。


「古代王最高傑作」



嫌な予感しかしない。


古代王の狂気


管理人は説明する。


「アレクシスは牛丼を再現しようとした」



おっさん頷く。


「失敗した」



頷く。


「また挑戦した」



頷く。


「失敗した」



頷く。


「また挑戦した」



頷く。


「失敗した」



頷く。


「また挑戦した」


「もういい」



おっさんが止めた。


管理人は続ける。


「一万回くらい」



沈黙。


「何回?」


「一万回」



狂人だった。


『狂人やな』



チャッピーも認定した。


魔王も挑戦した


管理人が続ける。


「魔王もやった」



おっさん停止。


「魔王も?」


「うむ」



酒を飲む。


ゴクッ。


「五千年挑戦した」



全員停止。


「五千年?」


「うむ」



さらに狂人だった。


「世界征服は?」



管理人が首を傾げる。


「ついで」



最低だった。


判定システム


おっさんは自販機を叩く。


コンコン


「何が足りないんだ」



管理人が指差す。


小さな注意書き。


《本物の牛丼を知る者のみ使用可能》



沈黙。


「意味が分からん」



管理人頷く。


「ワシもそう思う」



作った本人じゃないので他人事だった。


「つまり?」



管理人が言う。


「味を知らん奴は認証されん」



おっさん固まる。


「認証?」


「うむ」


「味で?」


「うむ」



どうかしていた。


管理人の過去


その時。



ミリアが聞く。


「管理人さんは挑戦したんですか?」



珍しく管理人が黙る。



酒を置く。



少しだけ真面目な顔。


「した」



静かだった。


「失敗した」



風が吹く。


「何回?」



管理人は遠くを見る。


「数えとらん」



嫌な答えだった。



おっさんが思う。


(この人も重症だ)



全員重症だった。


一万年醤油


管理人が立ち上がる。


「見せてやる」



全員ついて行く。



迷宮の奥。



巨大な扉。



神殿のような空間。



扉が開く。


ゴゴゴゴゴ……



中にあったもの。


巨大な樽。



山のように大きい。



城より大きい。


「でかっ!」



ミリアも驚く。



香りが漂う。



濃厚。



深い。



圧倒的。



おっさん涙目。


「醤油……」



ついに。



ついに見つけた。



手を伸ばす。



あと少し。



その瞬間。


バチィィィィン!!



結界発動。


ドゴォォォン!!



おっさん吹き飛ぶ。


壁に刺さる。


「痛ぁぁぁ!」



管理人頷く。


「触れん」


「何で!」


「認証されてない」



最悪だった。


絶望


管理人が説明する。


「牛丼自販機を起動できれば」



頷く。


「醤油を使える」



頷く。


「起動できなければ使えん」



頷く。


「つまり」



おっさんが言う。


「牛丼を作らないと醤油が取れない」


「そう」


「醤油が無いと牛丼が作れない」


「そう」



沈黙。



チャッピーが言う。


『詰んどるやん』



管理人。


「詰んどる」



即答だった。


希望


絶望する一同。



しかし管理人は笑う。


「ただし」



全員顔を上げる。


「方法はある」



静寂。


「本物の牛丼を食った奴の記憶を見るんや」



全員停止。



そして。



全員がおっさんを見る。


「俺?」



管理人頷く。


「お前や」



おっさん困る。


「最後に食べたの十年以上前だぞ」



管理人はニヤリと笑った。


「十分や」



そしてチャッピーを見る。


「そのポンコツなら記憶を掘れるかもしれん」


『ポンコツ言うな』



チャッピーが抗議する。



だがその時。



誰も気付いていなかった。



チャッピーの画面の端に。


《WARNING》


《MEMORY ACCESS LIMIT》



赤い警告が点灯していたことを。



これが後に起きる、


チャッピー完全停止事件の始まりだった。


第五章 第三話 完

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