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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第五章 最終迷宮と一万年醤油編
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第五章 第二話 迷宮管理人

「ろくでもない奴だ」



おっさんは目の前の老人を見た。



白い髭。



ボロボロの服。



仙人みたいな見た目。



しかし手にはカップ酒。


プシュッ



二本目だった。


「お前が管理人か」


「そう」



老人は即答した。


「最終迷宮管理人」



胸を張る。


「偉い」



全然偉そうに見えなかった。


「迷宮管理人なら道くらい分かるだろ」



老人は首を傾げた。


「どこの道?」



沈黙。


「この迷宮だ!」



老人は考える。


五秒。


十秒。


十五秒。


「分からん」



全員転倒した。


管理人の日常


監視室へ案内される。



大量のモニター。



落とし穴映像。



歴代ドッキリ映像。



壁には写真。


古代王アレクシス


落とし穴に落ちる瞬間。


魔王グランディア


顔面から小麦粉へ突っ込む瞬間。


初代聖女


派手に転ぶ瞬間。



全部飾られていた。


「最低だな」


『最低やな』



管理人は満足そうだった。


「傑作集」



趣味が悪かった。


落胆銀行


その時。



管理人が立ち上がる。


「金がない」



壁へ向かう。


ぺたっ



壁が光る。


ガコン



ATM出現。


《落胆銀行》



嫌な名前だった。


「何だそれ」


「銀行」



見れば分かった。


管理人がカードを入れる。


ピッ



金貨が出てくる。


ガシャガシャ



かなり出てきた。


「そんなに必要か?」


「酒代」



即答だった。


自動販売機


管理人は別の壁へ向かう。


ぺたっ



また壁が光る。


ガコン



自動販売機出現。



商品一覧。


カップ酒


カップ酒


カップ酒


カップ酒


高級カップ酒



酒しか無かった。


「偏ってるな」


「人気商品」



管理人が購入する。


プシュッ



三本目だった。


「飲むか?」



差し出される。


「飲まない」



おっさん即答。


「仕事中だ」



チャッピーが感動した。


『成長したな』



しかし次の瞬間。


「牛丼なら食う」



即答だった。


『成長してへん』


発見


その瞬間だった。



おっさんの目が止まる。


「……」



監視室の奥。



見覚えのない機械。



近付く。



読む。


《牛丼自動販売機 Ver.784》



停止。



思考停止。



さらに停止。


「チャッピー」


『何や』


「見えるか」


『見える』


「夢じゃないな」


『夢やったらワシも見とる』



現実だった。


牛丼との再会


おっさんは震えていた。



十年以上。



ずっと探していた。



牛丼。



その文字が目の前にある。


商品一覧。


牛丼(並)


牛丼(大)


牛丼(特盛)


牛丼(メガ盛)



涙が出た。


「ついに……」



長かった。


「ついに……」



手を伸ばす。


「牛丼だぁぁぁぁ!」



叫んだ。


エラー


金貨投入。


チャリン



画面が光る。


《ERROR》



停止。


「え?」



もう一回。


チャリン


《ERROR》



停止。


「何でだ!」



管理人が酒を飲みながら答える。


「材料不足」



全員停止。


「牛丼自販機だろ!?」


「そう」


「材料あるだろ!?」


「無い」



意味不明だった。


真実


管理人が立ち上がる。



珍しく真面目な顔。


「肉はある」



頷く。


「玉ねぎもある」



頷く。


「米もある」



頷く。


「醤油もある」



おっさん停止。


「あるのか!?」



叫ぶ。


「一万年醤油」



伝説だった。



本当に存在した。


「じゃあ作れよ!」



おっさん叫ぶ。


管理人は首を振る。


「最後の材料が足りない」



沈黙。


「何だ」



管理人が自販機を指差す。



小さな注意書き。


《本物の牛丼を知る者のみ使用可能》



全員停止。


「は?」



管理人は笑う。


「この自販機な」



酒を飲む。


ゴクッ。


「味を知ってる奴しか使えない」



意味不明だった。



だが。



もっと恐ろしいことに。


「ワシも失敗した」



管理人。


「アレクシスも失敗した」



古代王。


「魔王も失敗した」



魔王。


「聖女も失敗した」



全員失敗していた。


「じゃあ誰が成功するんだ」



管理人がニヤリと笑う。


「だから待ってた」



静寂。


「お前をな」



風が吹く。



チャッピーが珍しく黙る。



ミリアも黙る。



管理人の目だけが真剣だった。


「十年以上牛丼を探し続けた馬鹿」



おっさん停止。


「そんな馬鹿なら」



管理人が牛丼自販機を軽く叩く。


コン。


「あるいは成功するかもしれん」



そう言って。



また酒を開けた。


プシュッ


「でもまずは一杯飲むか?」



全然締まらなかった。



だが、おっさんは確信する。


この酔っ払い。


ただの管理人ではない。



古代王も。



魔王も。



聖女も。


全員が会ったことのある、


牛丼への道を知る最後の男だった。


第五章 第二話 完

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