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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第四章 大草原編
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第四章 第九話 聖女と魔王の封印

空飛ぶ牛を追跡して三日目。



おっさんは巨大な遺跡の前に立っていた。


「牛は?」



周囲を見る。



牛はいない。



いつも通りだった。


『牛はおらん』


「知ってた」



最近のおっさんは学習していた。



期待すると負ける。



目の前には巨大な石造建築。



崩れた神殿。



空へ伸びる塔。



巨大な壁。



超巨大な門。


「何だこれ」


『遺跡やな』


「見れば分かる」



その時。



おっさんの頭がズキリと痛む。


「っ!」



見たことがある。



夢の中。



悪夢の中。



古代王の記憶の中。


「ここだ……」



無意識に呟いていた。


「俺はここを知っている」



ミリアが驚く。


「来たことが?」


「無い」



しかし知っていた。



意味が分からない。


封印の門


門には巨大な文字が刻まれていた。


《聖女の間》



左側。


《魔王の墓所》



右側。



そして中央。



巨大な封印。


《四つの試練を越えよ》



嫌な予感しかしない。


「帰ろう」


『ここまで来てか』


「罠だ」


『罠やな』



珍しく意見が一致した。


その時。



チャッピーが光る。


ピカッ


『解析開始』



頼もしい。



久しぶりに頼もしい。


第一の封印


石版が浮かび上がる。


《朝は二本》


《昼は四本》


《夜は三本》



おっさんが言う。


「知ってる」


『人間です』



チャッピー即答。



正解。



門が開く。


ゴゴゴゴ



おっさん感動。


「優秀だな」



チャッピーの画面に文字。


【標準語モード】


【正解率100%】



納得した。


「ずっとそれでいろ」


『無理です』



嫌な予感。


第二の封印


第二の石版。


《最強の武器とは何か》



難しい。



哲学的だった。


ピカッ


【関西弁モード】


【正解率80%】



チャッピーが答える。


『愛や』



沈黙。



床崩壊。


ドォォォン!



全員落下。


「違うじゃねぇか!」


『20%引いたんや!』



逆ギレだった。



落下先で再挑戦。


『あ』


「何だ」


『鈍感力や』



全員ミリアを見る。


「私ですか?」



石版発光。


ゴゴゴゴ



正解だった。


「何でだ!」



誰も分からない。


第三の封印


巨大な扉。



第三の試練。


《聖女を救う者とは》



難問。



非常に難問。


ピカッ


【東北弁モード】


【正解率50%】



おっさん絶望。


『んだべ』


「何が」


『けっぱれ』


「分からん」


『んだんだ』


「もっと分からん」



ミリアも分からない。



おっさんも分からない。



チャッピー本人も分かっていない気がする。


『だっぺ』


「翻訳しろ!」


『ワシも分からん』


「お前が言ったんだろ!」



結局。



全員で勘で考える。


ミリアが前へ出た。


「助ける人です」



石版発光。


ゴゴゴゴ



正解。


「当たった」


『50%やし』



運だった。


最終封印


最奥。



巨大な黒い門。



禍々しい紋章。



圧倒的な存在感。


《魔王とは何か》



空気が変わる。



おっさんも緊張する。


「来たな」


『来たな』



チャッピーが光る。


ピカァァァ


【一発芸モード】


【正解率10%】



全員絶望。


「終わった」



チャッピーが答える。


『牛丼を盗み食いした近衛兵の顔』



顔芸。



無反応。


「違う!」


『第二回答』


『醤油瓶を落とした大臣の顔』



顔芸。



無反応。


「違う!」


『第三回答』


『牛肉を全部食べた王子を見つけた料理長』



顔芸。



無反応。


「全部顔芸じゃねぇか!」



正解率10%。



むしろ高い。


その時だった。



チャッピーが止まる。



一瞬だけ。



完全な標準語。


【標準語モード】



声が変わる。


『回答します』



空気が変わる。



遺跡が静まり返る。


『魔王とは』



沈黙。


『願いを諦められなかった王です』



光。



轟音。


ゴゴゴゴゴゴゴ!!



門が開く。



封印解除。


「正解か」


『正解です』



チャッピーは続ける。


『そして王とは』



おっさんが振り向く。


『願いを捨てられない愚か者です』



一瞬だった。



古代王の声だった。



聞いたことのない声だった。


「今のは」



チャッピーは答えない。


『Error』



戻ってしまった。


聖女の間


門の先。



巨大空間。



神殿。



祭壇。



そして。



一人の女性の石像。


「……」



ミリアが固まる。


「私?」



似ていた。



そっくりだった。



初代聖女そのものだった。


祭壇には文字。


《世界を救った聖女》


《魔王を愛した者》



全員停止。


「え?」



ミリアが固まる。



おっさんも固まる。


「今なんて?」



その瞬間。



反対側の魔王の墓所から轟音が響く。


ドォォォォォン!!



地面が揺れる。



神殿が震える。



チャッピーが震える。


『非常に嫌な予感がします』


「珍しく同意だ」



こうして。



おっさん達は。



聖女と魔王の真実へと近づいていく。


そしてまだ誰も知らない。



その魔王が、


おっさん以上に牛丼へ執着した、


とんでもないポンコツだったことを。


第四章 第九話 完

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