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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第三章 地下帝国編
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第三章 第四話 姫様を探せ

地下帝国第一皇女。


ミリア。



美人。



天才。



剣聖。



政治家。



完璧超人。



そう聞いていた。



しかし今。


「姫様が行方不明です!!」



王宮中が大騒ぎだった。



兵士が走る。



侍女が走る。



役人も走る。



全員走る。



理由。



姫様が迷子になった。



王宮の中で。


「意味が分からん」


『ワシも分からん』



チャッピーは今日は広島弁だった。



もう突っ込まない。



疲れるからだ。



俺は近くの兵士へ聞いた。


「よくあるのか?」



兵士は真顔で答える。


「週三回ほど」



俺は黙った。



チャッピーも黙った。


『重症やな』



結局。



捜索隊が編成された。



そして何故か。



俺も参加だった。


「なんで?」



兵士が答える。


「姫様が貴方をご指名です」



嫌な予感しかしなかった。



非常に嫌な予感だった。


「俺、昨日会ったばかりだぞ」


『気に入られたんやろ』


「最悪だ」



こうして。



地下帝国第一皇女捜索作戦が始まった。



国家規模で。



本当に意味が分からない。


王宮探索


王宮は広かった。



異常に広かった。



地下帝国の中心。



巨大な石造建築。



廊下だけで迷宮並み。



部屋数は数千。



おっさんは思った。


「これ設計した奴馬鹿だろ」


『おるな、たまに』



一時間経過。



見つからない。



二時間経過。



見つからない。



三時間経過。



全く見つからない。


「本当にいるのか?」


『実在するんか?』



その時だった。



遠くから声。


「助けてくださーい!」



全員が止まる。



兵士たちが走る。



俺も走る。



チャッピーは揺れる。


『酔うわ』


「スマホが酔うな」



声の先。



そこは王宮地下倉庫だった。



巨大な食糧庫。



そして。



山積みの樽。



その頂上。



ミリア姫がいた。


「……」


『……』



姫様。



樽の上。



なぜか座っている。



本人も困惑している。


「降りられません」



兵士全員が頭を抱えた。



俺も抱えた。


「どうやって登ったんだ」


「覚えていません」



完璧超人とは。


『何やろな』



とりあえず助ける。



梯子を持ってくる。



降ろす。



終了。



かと思った。


「そうだ」



ミリアが突然言う。


「見てください」



樽を指差す。



大量にある。



食料だろう。


「何だ?」



ミリアの顔が曇る。


「これです」



樽を開ける。



穀物。



さらに別の樽。



干し肉。



さらに別。



豆。



何の問題も無い。



ように見えた。


「食料じゃないか」



ミリアは首を振る。


「足りません」



空気が変わる。



少しだけ。



初めて姫の表情が真面目になる。


「地下帝国は人口が増え続けています」



さらに樽を開く。



数字の書かれた帳簿。



大量の帳簿。



チャッピーが覗き込む。


『うわ』


「何だ?」


『本当に足りん』



意外だった。



珍しくチャッピーがまともだった。



帳簿を見る。



難しい。



数字だらけ。



頭が痛くなる。



だが一つだけ分かる。



食料消費量が増えている。



毎年増えている。



かなり危険なペースで。


「生産は?」


「増えていません」



ミリアが答える。


「貴族たちは争っています」


「予算を奪い合っています」


「責任を押し付け合っています」



俺は遠い目をした。


「会社だな」


『会社やな』



異世界なのに。



結局やっていることは同じだった。



縄張り争い。



派閥争い。



責任転嫁。



人類はどこでも変わらない。


「面倒だな」



思わず呟く。



ミリアが苦笑する。


「そうですね」



その笑顔だけは少し寂しそうだった。



そこで。



俺はふと思った。


「農地は?」



ミリアが首を傾げる。


「あります」


「増やせば?」



静まり返る。



嫌な予感。



非常に嫌な予感。


「……」


「……」


「……」



全員が俺を見る。



やめてほしい。



本当にやめてほしい。


「何だよ」



ミリアが呟く。


「その発想はありませんでした」



また始まった。



第二階層で何度も見た流れだった。



俺は頭を抱える。


『王様ムーブやな』


「違う」


『皇帝ムーブやな』


「もっと違う」



その時。



王宮の外から鐘の音が響く。


ゴォォォン


ゴォォォン



兵士たちの顔色が変わる。



ミリアも振り向く。


「始まったようですね」



嫌な予感しかしなかった。


「何が?」



ミリアはため息をついた。


「皇位継承会議です」



チャッピーが呟く。


『面倒くさいやつや』



正解だった。



とても。



とても面倒くさいやつだった。


第三章 第四話 完

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