表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第二章 第二階層の王者編
13/52

第二章 第三話 働きたくない王様候補

人生には関わってはいけないものがある。


借金。


保証人。


そして食糧問題である。


俺はそう思う。


なぜなら。


「なんで俺が会議してるんだ……」


『知らんけど』


チャッピーは今日も役に立たなかった。



巨大な洞窟広場。


中央には大きな石のテーブル。


その周囲には。


オークの酋長。


リザードマンの将軍。


部族長たち。


戦士たち。


長老たち。


そして俺。



完全に場違いだった。


「帰りたい」


『どちらへ?』


「宿屋」


『ありません』


「そうだった」



会議は続く。


当然ながら言葉は分からない。


ブゴブゴ。


シャアシャア。


時々怒鳴る。


時々殴り合う。


平和ではなかった。



俺はチャッピーを見る。


「何話してる?」


『飯がない』


「それは知ってる」


『飯を寄越せ』


「なるほど」


『飯がない』


「それも知ってる」


『飯』


「雑!」



だが。


何となく理解できた。


食料が足りない。


それは本当らしい。



オーク側。


狩りに失敗。


保存食なし。


毎年飢える。



リザードマン側。


魚はいる。


だが保存技術がない。


大量に腐る。



つまり。


双方とも馬鹿だった。


「なんで交換しないんだ?」


静まり返る。



全員が俺を見る。


嫌な予感しかしない。



酋長が首を傾げる。


将軍も首を傾げる。


そして。


何か話し始める。


「ブゴ?」


「シャ?」



チャッピーが翻訳する。


『敵だから』


俺は頭を抱えた。


「小学生か」


『たぶん文化的問題です』


「もっと深刻な言い方しろ」



俺は地面に絵を描いた。


魚。


肉。


矢印。


交換。


以上。



沈黙。



さらに沈黙。



もっと沈黙。



そして。


オークたちが驚く。


リザードマンも驚く。


まるで世界の真理を見た顔だった。


「え?」


『気付いてなかったみたいです』


「嘘だろ」


『本当です』


「嘘だろ」


『本当です』



その日の午後。


試験的な交易が始まった。


オークの肉。


リザードマンの魚。


交換。


以上。



結果。


大成功だった。



みんな喜ぶ。


みんな食べる。


みんな笑う。


「解決したじゃん」


『しましたね』


「俺帰っていい?」


『駄目です』



翌日。


さらに問題が発生した。


今度は保存だった。



肉が腐る。


魚も腐る。


大量に腐る。



オークたちは困る。


リザードマンたちも困る。



俺は思わず言った。


「干せば?」


また静まり返る。



全員が俺を見る。


やめてほしい。


本当にやめてほしい。



その後。


干し肉作りが始まった。


干し魚も始まった。



数日後。


保存期間が劇的に伸びた。


食料不足が改善し始める。



部族たちは大騒ぎだった。


「ブゴォ!」


「シャァァ!」


意味は分からない。


だが。


「天才!」


と言っている気がする。



俺は全力で否定した。


「違う」


『違わんやろ』


「チャッピー!」


『普通思いつかへんで』


「思いつくだろ!」


『思いついてなかったで』


反論できなかった。



夜。


焚き火の前。


俺は肉を焼いていた。


最近こればかりだ。



すると。


オークの子供たちが集まってくる。


リザードマンの子供たちも来る。


みんな笑顔だった。


前より顔色も良い。



俺は少しだけ安心した。


「飯は大事だな」


『せやな』


珍しくまともな返事だった。



その時。


チャッピーが突然震えた。


画面が点滅する。


「おい?」


『んだ』


「また始まった」


『おめぇ』


「誰だよ」


『そったらことより』


「全然分からん」


チャッピーはさらに震える。


そして。


『Warning.』


「英語に逃げた」


『New problem detected.』


「嫌な予感しかしないな」



その瞬間。


遠くで悲鳴が上がった。



戦士たちが走る。


オークも。


リザードマンも。


全員慌てている。



酋長の顔色が変わる。


将軍の顔色も変わる。



俺は嫌な予感しかしなかった。


「何だ?」


チャッピーは沈黙した。


数秒後。


小さく答える。


『食料問題よりもっとやばい』


「具体的に言え」


『なんかでっかいの来た』


「雑だな!」


だが。


その表現は案外正しかった。



第二階層の奥地。


誰も近付かない禁域。


そこから。


巨大な何かが動き始めていた。



そしてそれは。


オークも。


リザードマンも。


戦争を忘れるほど恐れている存在だった。


「なんで俺がいる時に来るんだよ……」


誰も答えてくれなかった。


チャッピーすら。


『知らんけど』


としか言わなかった。


第二章 第三話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ