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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第一章 異世界転生したら牢屋の中でした
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第一章 第一話 牛丼特盛と生存確率4.8%(テンプレの回)

異世界転生

スキルなし

貧乏

チャッピー

牛丼への執着

第一話 牛丼特盛と生存確率4.8%


人生というものは、案外あっけなく終わる。


少なくとも俺の場合はそうだった。


四十歳。


バツ一。


独身。


勤続十七年。


課長補佐代理補佐みたいな、何の権限もない肩書きを持つサラリーマン。


夢はない。


希望もない。


貯金は多少ある。


友達は少ない。


髪も少ない。


そしてその日、俺には一つだけ楽しみがあった。


牛丼だ。


しかも特盛。


卵付き。


味噌汁付き。


紅しょうが山盛り。


給料日前に許される最大級の贅沢だった。


会社を出た俺は、スマホで残高を確認しながら歩いていた。


「よし……いけるな」


財布の中には千円札が一枚。


十分だ。


今日は特盛の日だ。


人生には時々、自分を甘やかす日が必要なのである。


俺は満足そうに頷いた。


「明日も仕事だけどな……」


その時だった。


ブレーキ音。


悲鳴。


衝撃。


空が見えた。


青かった。


妙に綺麗だった。


ああ。


牛丼。


食べたかったな。


それが最後の記憶だった。



目が覚めた。


臭い。


最初に感じたのはそれだった。


とにかく臭い。


汗。


獣。


泥。


腐敗臭。


それらが絶妙なバランスで混ざり合い、俺の鼻を攻撃していた。


「うっ……」


目を開く。


暗い。


薄暗い。


石造りの壁。


鉄格子。


藁の敷かれた床。


どう見ても牢屋だった。


俺はしばらく黙っていた。


そして結論を出した。


「誘拐かな」


現実逃避だった。


隣から低い唸り声が聞こえた。


「グルルルル……」


振り向く。


狼の頭をした大男がいた。


俺はもう一度考えた。


「異世界かな」


今度は割と本気だった。


狼男の向こうには緑色の大男。


さらに奥には角の生えた女。


どこをどう見ても人間じゃない。


夢にしてはリアルすぎる。


俺は頭を抱えた。


「マジかよ……」


異世界転生。


最近の若者が好きそうなやつだ。


いや、俺も結構読んでたけど。


読んでたけどさ。


普通もっとこう、


勇者とか。


貴族とか。


王子様とか。


そういうスタートじゃない?


なんで牢屋なんだよ。


しかも縛られてるし。


俺は自分の手首を見る。


縄。


完璧な縄。


自由ゼロ。


「転生特典どこ行った……」


その時だった。


ポケットの中で何かが震えた。


俺は固まった。


「え?」


ポケットを探る。


出てきた。


スマホだった。


見慣れたスマホ。


日本で使っていた俺のスマホ。


「なんで!?」


異世界だぞ?


電波塔あるの?


いや無いだろ。


画面を見る。


当然のように圏外だった。


むしろ圏外表示だけは律儀だった。


その時。


画面が勝手に光った。


文字が表示される。


『こんにちは』


俺は悲鳴を上げた。


「うわあああああっ!?」


狼男もびっくりしていた。


『ChatGPTへようこそ』


「チャットGPT!?」


『はい』


「なんで!?」


『不明です』


「そこは分かれよ!」


『私にも分かりません。チャッピーと呼んで下さい』


頼りない。


異常なほど頼りない。


しかし今はそれでもありがたかった。


異世界で知っている存在が一つだけ現れたのだ。


俺は藁の上に座り込んだ。


「なあ」


『はい』


「助かる方法ある?」


『あります』


俺の目が輝いた。


「マジで?」


『まず現在地を確認します』


「おう」


『分かりません』


「おい」


『世界情勢を確認します』


「おう」


『分かりません』


「おい」


『所持スキルを確認します』


「おう!」


『ありません』


「おい!!」


狼男が迷惑そうな顔をしていた。


俺だってしたいよ。



しばらくしてチャッピーが結論を出した。


『現在の生存確率は4.8%です』


「終わってるじゃねえか!」


『安心してください』


「安心できる要素ある?」


『95.2%の確率で死にます』


「悪化した!」


『訂正します』


「おう」


『安心できません』


「知ってる!」


牢屋の中に俺の叫び声が響いた。


狼男が耳を塞いでいる。


角の女は笑っていた。


緑色の大男は寝ていた。


自由だな、お前ら。


俺は天井を見上げた。


石の天井だった。


神様らしき存在は見当たらない。


「神様」


俺は呟く。


「聞こえてますか」


返事はない。


「転生先、間違えてませんか」


返事はない。


代わりにスマホが震えた。


『その可能性はあります』


「お前に聞いてない」


『申し訳ありません』


「謝るなら何とかしてくれ」


『善処します』


「会社の上司みたいな返事するな」


『善処します』


「聞いてないな?」


その時だった。


外から怒鳴り声が聞こえた。


馬車が止まる。


誰かが鉄格子を叩く。


牢屋全体が揺れる。


狼男が立ち上がった。


緑色の大男も目を開く。


角の女が舌打ちする。


何かが始まるらしい。


俺だけが状況を理解していない。


「チャッピー」


『はい』


「何が起きてると思う?」


数秒の沈黙。


そして。


『大変申し上げにくいのですが』


「うん」


『奴隷として売却される可能性が高いです』


俺はしばらく黙った。


三秒ほど黙った。


そして呟いた。


「牛丼食べたかったなぁ……」


『私も少し興味があります』


「お前味覚ないだろ」


『ありません』


「だろうな」


馬車が再び動き出す。


どこへ向かうのか分からない。


未来も見えない。


金もない。


力もない。


スキルもない。


あるのは壊れかけのスマホだけ。


そして俺はまだ知らない。


この先、


魔王を倒すことも。


王になることも。


世界を救うことも。


全部どうでもよくて、


今の俺に分かることは一つだけだった。


『現在の生存確率は4.7%です』


「下がってるじゃねえか!」


こうして俺の異世界生活は始まった。


最悪の形で。


第一話 完

チャッピーで作った小説です。

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