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ゲーム世界のモブ悪役に転生したのでラスボスを目指してみた 〜なぜか歴代最高の名君と崇められているんですが、誰か理由を教えてください!〜  作者: 八又ナガト
第四章 王立学園編

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92 原作シナリオを高みの見物しよう! ②

 一年生の模擬戦が全て終了し、次は二年生の番に。


 ソフィアが勝利したことへの驚愕を引きずったまま、俺は舞台袖へと移動した。

 しかし足が動いていようとも、頭の中は目の前のことではなく、たった今起きた出来事へと向かい続けていた。


 なぜ、なぜこんなことになった。

 原作の流れに従えば、この合同授業のタイミングでソフィアはルークに敗北するはずだった。

 その敗北こそが彼女の転換点。

 プライドと向き合い、心機一転し、さらなる実力者へと成長していく――それがソフィアというヒロインの根幹となるエピソードなのだ。


 にもかかわらず現実には、彼女はルークを傷一つなく打ち倒してしまった。

 いったいなぜ――


(……ん? 心機一転……?)


 不意に、ソフィアと初めて出会った日のことが脳裏をよぎった。


「次! クラウス・レンフォード対アベル・フランシス!」


 原作通り傲慢な振る舞いを見せるソフィアを前に、俺は何を考えたか。

 このままでは、将来ラスボスとして君臨する俺と戦うのには相応しくない――そう思ったのだ。

 だからこそ【エルトリア大迷宮】で強引にレベリングを行い、【王家一族の指輪】を渡し、【冥府の大樹林】では直々に魔術の指導まで行った。

 その全てが積み重なった結果として、入学段階のソフィアの実力は原作から大きくかけ離れ――今日、ルークを圧勝するに至った。


「ようやく相まみえることができたね、クラウス・レンフォード。私はアベル・フランシス! 最強と名高い君を打ち倒し、この学園での立場を強固なものとする!」


「模擬戦、初め!」


 つまり、全てはあの日の自分の行動から始まったという訳で――――



「何やら心ここに在らずといった様子だが、先手必勝さ!」


「し……」


「喰らえ――【サイクロンバースト】!」


「しまったぁぁぁあああああ!(【魔術反射アンチ・マジック】!)」


「――へ? ぐわぁぁぁぁあああああああああああ!」



 ドォォォオオオオオン!!!!!


「…………ん?」


 唐突に響き渡った爆音によって、思考の海に沈みかけていた意識が強制的に呼び起こされた。

 遅れて、体内の魔力波長の動きから、自分がたった今【魔術反射】を使ったことを理解する。

 そのまま周囲を見渡すと、いつの間にか俺は舞台のド真ん中に立っていた。


「はっ! 既に俺の出番が来ていたのか!?」


 どうやら思考に没頭するあまり、呼び出しの声や試合開始の声すら聞き流していたらしい。

 ただ、身に迫る脅威――魔術に対し、反射的に【魔術反射】を発動したという流れみたいだ。

 無意識化でこれほどの防衛反応を発揮できるとは。

 これも日々、マリーとともにトレーニングを行ってきた成果といったところだろう。


 とまあその辺りはさておき、俺は改めて状況把握のため視線を先にやる。

 たった今跳ね返した魔術だが、どうやら(誰かは不明だが)対戦相手に命中したようで砂塵を撒いていた。


 そして十数秒後、砂塵が静まり視界が開けた時、目の前には気絶した金髪の男が横たわっていた。


(……ん? そこで気絶しているやつ、どこかで見た覚えがあるような……)


 直後、



「「「わぁぁぁぁぁああああああああああ!!!」」」



 闘技場全体が、一斉に大きな歓声に包まれた。


「嘘だろ!? あのアベルを瞬殺だぞ!」


「噂には聞いていたが、ここまでの実力だったのか……!?」


「凄すぎる……たった一年で追いつける気がしねぇよ……!」


 のように、称賛の声が聞こえてくる。


「さすがはクラウス様です!」


「むぅ、剣技を見たかったところだが……」


「……何度見ても慣れそうにはありませんね」


 と、ソフィア、エレノア、アリエルの言葉が続く。

 そんな中、


(ん? というか待てよ、確かアベルって――)


 改めて横たわっている男に視線をやる。

 それを見た瞬間、なぜか俺は嫌な予感が止まらなくなり――――



 ――――その予感の正体が分かったのは、翌日の放課後のことだった。



 学園内の掲示板。

 そこには生徒会長選への立候補者および他薦者の名前が張り出されており、誰が出馬するのか確認しようと大量の学生が集まっていた。

 推薦数の多い者から順に並んでいるようだが、その並びはというと――


 アリエル・ジ・エル・フロレンツィア(他薦:多数)

 ソフィア・フォン・ソルスティア(他薦:多数)

 クラウス・レンフォード(他薦:多数)


 といった風になっていた。

 なんということか、原作ではソフィアからの他薦を受けて出馬するはずのルークに関しては、名前すらなかった。

 あともう一つ、会長選でアリエル以外のライバルとして登場するアベルの名前もない。

 原作ではその三人で会長選が展開されるはずなのにだ!


 特にアベルは万年3位と二つ名がつくほど、常にエレノアとアリエルの後塵を拝してきた人物。

 今回の会長選にかける思いは強く、何としてでも成り上がろうというプライドを持っていた人物のはずなのだが、なぜ――


「やあ、クラウス・レンフォード!」


 ――そう疑問に抱いていると、覇気のある声が響く。

 見るとそこにはアベルが立っており、彼は周囲の学生からの注目など気にすることもなく、笑みを浮かべていった。


「昨日の模擬戦は完敗だった! 自分を見つめ直すいい機会になったよ! 本当は会長選にも出馬しようと考えていたが、今の自分ではきっと相応しくないと……代わりに私の支持者を説得し、君への推薦をお願いさせてもらったよ!」


 コ、コイツ……! なんて余計なことをしてくれたんだ……!


 このままではまずい。

 俺がこのまま会長選に出て上手くいく未来が見えない。


「いや、待て――――」


 何とかアベルを説得し、俺の代わりに会長選へ出てもらわなければ――そう考えるも、既に手遅れだった。



「レンフォード侯爵、どうかアベル様の分まで頑張ってください!」


「聖女アリエル様や王女ソフィア様とライバルは強力ですが、アベル様が認めた貴方ならばきっと」


「アベル様ファンクラブ一同、応援しています!」


「そういうことだ! 期待しているぞ、クラウス・レンフォード! さあ、君の輝きをもっと私たちに見せてくれ!」



 俺の声など聞こえていないかのように、盛り上がり始めるアベル一行。

 その声はやがて周囲の学生すら巻き込み、無関係だったはずの者たちまで各々に応援の声を上げ始める。


 くそっ、くそっ、くそっ!

 今回は何もせずちょっと高みの見物を決め込み、原作のシナリオを堪能しようと思っただけなのに!


(何でこうなったぁぁぁぁぁあああああ!!!)


 俺は心の中でそう絶叫するのだった。



 

 ――――しかしこの時、絶望のあまり俺は一つのことを見落としていた。


 本来であれば合同授業で発生していた、もう一つの重大イベント――

 それが、とある理由から発生しなかった事実に。

皆様に大切なお知らせがございます!


明日の9月11日(金)、本作のコミカライズ版第1巻が発売となります!

村上メイシ先生の手によって最高のクオリティに仕上げていただいており、皆様にも楽しんでいただけること間違いなし!

紙版、電子版、どちらでも嬉しいので、ぜひ手に取っていただけると幸いです!


さらに明後日の9月12日(土)には、小説版第3巻が発売予定!

小説版は早めに並ぶところも多いようなので、11日に両方揃っている書店様も多いと思います!

『第四章 王都編』の清書版が先行して掲載されており、もきゅ先生による素晴らしいイラストも載っています!

ぜひぜひWeb版とあわせ、小説版、コミカライズ版も楽しんでいただけると幸いです!


さらにさらに、小説版とコミカライズ版の発売を記念して、10日(木)、11日(金)、12日(土)、13日(日)と連続更新予定!

頑張って執筆していくので、何卒よろしくお願いいたします!!!

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