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【コミカライズ】ナイナイ尽くしの異世界転生◆翌日から始めるDIY生活◆  作者: ナユタ
◆第十三章◆

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*8* 一人と一匹と孫達、祖父の自宅改造計画②

「マリ、こんな感じで如何でしょうか?」


「おおぉ〜……切り口が綺麗だ。最初の頃の私より明らかに上手いぞ」


【ふむ すんぽうも くるい なしです】


 あざと可愛い祖父には日曜大工の才能があったらしい。何か一緒に作業がしたいというサイラスに、単純作業だけど数が必要な木板作りを頼んだら、あっという間にノコギリの使い方に目覚めてしまった。


 小一時間でこれだけ作れるなら、正方形の木板については複製しなくて済みそうだ。これの使い道は追々としても、作業工程を考えればありがたい誤算だな。他の手間がかかるパーツの複製にスキル使用回数が回せる。


「驚いた。ノコギリ使うの初めてなんだよな?」


「ええ。始めは押すのも引くのも難しかったのですが、チュータの指導のおかげでだいぶ使い慣れました。こちら素材として使えそうですか?」


【はい とても いいしごと わたしも さいすん がんばりますので このちょうしで じゃんじゃん ぞうさん しましょう】


「あ、コラ忠太。サイラスはこのメンバー内だと最年長なんだから、労らないと駄目だろ。第一忠太だって小さいんだ。力仕事は――」


「ふふ、それなんですがねマリ。僕は結構力持ちなんですよ。単純作業も好きですし。こう見えてゴーレムなもので」


 そう言って楽しそうに笑うサイラスの手は、高速鋸引きで正方形の板を生み出している。確かに早い。まるで業務用木材切断機みたいだ。今更だけど、いくら見た目が薄幸な未亡人でも、ゴーレムなんだと実感してしまった。


 ご機嫌な彼の仕事を奪うわけにもいかないので、木材に採寸と印つけをしてくれる忠太とタッグを組ませて、私と金太郎と輪太郎は床の塗り残しがないかを確認したのち、ドラム式洗濯機の収納棚を箱から出して組み立てる。


 思っていたよりもネジやら何やらと部品が多かったため、金太郎と輪太郎と一緒に結構頭を悩ませつつ作業をしている後ろで、ギコギコゴリゴリとリズミカルに木材を切る音と、シャーッと忠太が木材に線を引く音が響く。


 今日は流石に金太郎もふざけることなく、設計図を見ながら使用箇所ごとのネジを仕分けながら、分かりやすいよう図の上に並べていってくれる。輪太郎はパーツごとに組み合わせて支え、私は組み合わされたパーツにネジを差し込み、固定していく。流れるような分担作業だ。


 最近のこういうやつって、一人暮らしだとどうやって組み立てるんだろうか。手伝いがいないと絶対ネジやビスを余らせる自信がある。引っ越し屋とかで組み立てるオプションとかもあるんだろうか?


 二班に分かれて黙々と作業を進め、昼頃には何とか私達のチームは収納棚を完成させ、乾燥させておいた小屋の一角に設置を完了。残る百均で買い漁った黒板やワイヤーネットなんかのアイテムは、全体のバランスを見ながら最後にくっつけていくことにして。忠太達のチームも頼んでいた板の枚数を揃えてくれたわけではあるが――。


「お……おぉ~……やるなぁ」


 設置を完了させて小屋の外に出てみれば、小屋の周辺はちょっとした製材所みたいになっていた。すっかり大工の顔になっているサイラスと忠太に近寄ると、一体と一匹はそれぞれの得物であるノコギリと※曲尺(かねじゃく)(L字型の物差し)を見せつけ、ニヤリと笑う。かっこ……いや、可愛いな?


 サイコロ状に切られた角材の上に脚を組んだ(組めてない)忠太が、尻尾の先であらかじめ打ち込んでいたスマホの文面を指す。


【どうです まり われわれの はたらき とくに さいらす すごい しごでき です】


 全部読んでから忠太の木屑まみれになった身体を払い、その耳許で「流石は忠太。現場監督もお手のものだ」と囁やけば、森林の香りを纏ったハツカネズミは「チュッ」と鳴いて恥ずかしそうに顔を覆う。可愛いので思わず首筋に鼻を埋めてネズ吸いしてしまった。干した布団と木の香り。グッドスメル。ああヤバイ……整うな、これ――じゃなくて。


「ありがとうサイラス。これだけやってくれたら、ぐんと完成までの時間が短縮出来るよ」


「それは楽しみですね。ですがチュータ吸いはもう良いのですか?」


「んん……あとで吸うから良い。からかうなよ。他に何か質問は?」


「ふふふ。ではこの正方形の板達は何に使うのでしょう。同じ形のものばかりというのに意味があるのですよね?」


 ふにゃふにゃのアイピローみたいになった忠太をスマホの横に寝かせ、完成した正方形の板を手に取る。それを地面に四枚、枡形になるように立てた。


「こうやって正方形の底がない箱型をいくつか作って、床板にする長い板を合体させる。分かりやすく言うと、長いベンチを何本も作る感じ。それをモルタルで平らにした床に並べる。それでその上にブロック畳を敷くんだ。格好は悪いけど、簡易小上り座敷ってことで」


「成程。ですがそれでいくと、床板にかませる箱は長く作った方が楽ではありませんか? 数も少なくて済みますよ」


 こちらの説明で大まかな形を想像したサイラスが、至極当然な疑問を口にする。彼の疑問に答えようとしたその時、ぐにゃぐにゃだった忠太が覚醒。スマホに飛び乗って鬼気迫るフリック入力した。


【はこの かたち せいほうけい いくつも かませることで きょうどぶそく かばーします ちょうほうけいは めんの おおきさが ちがう くわわる あつりょく ぶんさんして きょうど ふそくする】


 私が説明するより分かりやすい。必要な部分を簡潔に説明するのは、忠太先生にお任せあれだ。AI検索機能もこれくらい言語化が上手くなってほしい。


「そうそう。一箇所にかかる圧力は、小さい正方形の方が逃げにくい……らしいぞ。私も調べてから初めて知ったけど。DIYで階段型の引き出しとか作りたいなと思ったんだよ。でも素人が作ると強度が危ないらしくてさ。止めた」


 昔の映画とかドラマで背景に映った階段箪笥。格好良かったから作り方を調べたけど、大人の体重に耐えられるようにしようと思ったら、家を建てる大工や家具職人レベルの技術がいるとあって諦めた。


 ネットで売ってる似たような階段箪笥の安価なやつは、大抵が強度のないインテリアらしい。本物は伝統工芸とかで普通に高い。偽物をつかんで怪我するくらいなら、買わないのが吉だろう。


 上を歩いてる時に壊れて落ちるだけならまだしも、踏み抜いた板で脚がズタズタとかになったら、目も当てられないからな――と、まぁそんなネットで得たDIY知識はさておき。


「今からこれを使って木枠を作るんだけど、それも補助とか手伝ってくれると助かる。全部複製しちゃうと、あっという間に一日の上限個数に達しちゃうから。それとあとは座敷にサイラスの長めの文机を作ろうと思ってる。でも正座はしんどいだろうから、座敷に座ったままで掘り炬燵っぽくしたくてさ」


 完成予想は座敷の端っこをベンチ型の椅子に見立てて、本来なら洗濯機が収まる部分に、フレームの幅を超える長さの背高テーブルを作る。空想上の祖父宅にある書斎。後ろで孫が騒いでも許してくれるような、そんな空間だ。


 優しい祖父なんていなかった。血の繋がった親の顔もほとんど思い出せない。そんな私のどこまでいってもテレビドラマの受け売りで、少しも現実味がない下手くそな説明を聞いたサイラス達は、一斉に頷いて笑ってくれた。

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― 新着の感想 ―
>業務用木材切断機 ギャップが!またも!。゜(゜ノ∀`゜)゜。アヒャヒャ なんなん、1キャラにつきいくつのギャップが備わるの(笑)
一仕事してドヤっているだろうチュータとサイラスが目に浮かんで…可愛すぎるw しかも脚組めてないww もう、本当に大好きです!!
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